2015年12月の記事ですが、Facebook からトラフィックとコンバージョンに与える影響についての調査がリリースされていましたのでご紹介します。
リンク:Measuring Campaign Effectiveness: Making Search Work Harder | Facebook IQ
“現在コンバージョンの45%はファーストタッチからデバイス・チャネルが切り替わっており、検索連動型広告単体の出稿でブランドの新規発見や競合を出し抜くことは難しくなっている。だからこそマーケターは消費者がどこに滞在しているかを把握するためにチャネルを横断してキャンペーンをプランニングする必要があるのだ。”
(意訳です)
と前置きした上で、そのプランニングを手助けするために Facebook の マーケティングサイエンスチームが「Facebook広告の出稿がどれだけ検索へのインパクトを及ぼすのか」を調査した結果が以下になっています。
調査の方法
Facebook は本調査にあたり2015年7月から9月の間に配信されていた23のキャンペーンに基づいてコンバージョンリフトのメタ分析を行いました。23のキャンペーンはEコマース、小売、自動車、旅行、金融、教育、テクノロジー、通信業界それぞれの広告主が出稿していたものです。
Source:Facebook IQ
Facebookのモバイル広告は検索を生む
調査によると、Facebook広告を見たユーザーはモバイルで検索行動に移ることが明らかになり、キャンペーンの約1/4が検索経由でのトラフィックに統計的に有意な上昇を示しました。より多くより効率的なトラフィックに加え、下位ファネルのコンバージョンの増加も確認できたそうです。中小企業のキャンペーンの場合はコンバージョンの母数が少ないため、リフト効果にも大きな差異が生じています。
さらに検索の効率を上げることも確認でき、広告を見たことでコスト効率のよいブランド関連のキーワードを検索する可能性が高まり、入札が激化している一般キーワードを検索する率が低下したようです。
公表されている数値では、Facebook広告を見たことによってモバイルでは平均6.3%、デスクトップでは平均9%検索でのトラフィックが増加しています。
要因を理解する:デスクトップとモバイルの比較
“Facebook significantly increases … mobile engagement with our brands. [This] in turn drives more awareness and search [traffic], as we saw in this study. … Customers are consistently moving from mobile to desktop (and vice versa), and [with] more studies like this and as attribution advances, the better we will understand the customer journey.”
(Facebook で我々はモバイルでのエンゲージメントを大量に増加させました。認知度と検索のトラフィックをドライブさせたのです。調査結果にあるように、顧客はデバイス間を常に移動していますので、今回のような調査やアトリビューション分析を実施することによって、カスタマージャーニーをより深く理解することが可能です。)
Mindshare NA, Group Director Search & Social, James Cooley氏
広告効果をドライブさせる
自動車、金融、小売などの広告主のキャンペーン分析を通して、Facebook がペイドメディアとしてオンラインでの販売も含め低位ファネルのKPIに有意義なリフト効果をもたらしたことがわかりました。
小売業界の広告主の大半の事例では、バスケットサイズが大きくなり売上が向上しています。Facebook はユーザーにとって快適なペイドメディアだったようで、検索経由のコンバージョン増加は調査の初期段階から確認できた、と伝えられています。
“Facebook and paid search have proven a winning combination for increasing conversions in paid search, and this research shows that those effects extend beyond online sales into other areas. Facebook plays a key role in increasing consumer interest in store visits and boosts order frequency and value, all of which play a role in building long-term brand loyalty.”
(Facebook と検索連動型広告の組み合わせはコンバージョンを増加させるための勝ちパターンであることが証明されています。また、この調査はオンライン販売の枠組みを超えて効果をもたらすことも示しています。Facebook は来店に対する消費者の関心を高める上でも重要な役割を果たし、購買頻度と単価を向上させます。その全ては長期的なブランドへのロイヤリティを構築させる役割を担っているのです。)
Resolution Media, CMO, Viji Davis氏
以下、Facebook の総括を意訳しましたのでご参照ください。
今回の分析から、検索連動型広告と Facebook の両輪でクロスチャネルキャンペーンを展開することで、それぞれの効果を補完し合うことがわかりました。
チャネル全体で表現を合わせる
クリエイティブとコピーを検索連動型広告とその他チャネルで合わせてください。表現を合わせることで、消費者がブランド関連のキーワードを検索する機会を創造できます。
効果測定は総合的に
消費者がモバイルで多くの時間を過ごしていることから、クロスチャネルの検索を無視した効果測定はすべきではありません。人ベースの測定が正しい効果測定を可能にします。現在の環境で実現が難しければ、サードパーティーのツールを導入することも検討しなければいけません。
予算配分をテストして評価する
各チャネルの予算配分を変化させることで、消費者の自社ブランド発見を推進し、最終的に検索に役立つ可能性があります。Facebook 上でも強弱をつけることで、検索に大きなリターンをもたらすことができます。
******
今回ご紹介した記事は検索連動型広告との共存を謳う珍しい内容でしたが、やはり各チャネルに点在するユーザーの心理状態や購買活動へのモチベーションを考慮すると、「様々なチャネルを横断してキャンペーンを展開するのが効果的だ」という調査結果は非常に腹落ちします。
現在は各チャネルで様々なターゲティング手法が提供されていますが、最もモーメントを捉えられるのは検索連動型広告ではないかと思いますので「いかに優れたパスを出し続けられるのか」は全体を設計する上で重要なポイントになるのではと思います。