Googleは、2023年5月18日に同社ブログにおいてプライバシー・サンドボックスについてのいくつかのアップデートを行いました。
※参考リンク：
プライバシー・サンドボックスAPIの一般公開
まず、7月のChromeリリースから数週間かけて、プライバシー・サンドボックスの関連性と計測関連APIをすべてのChromeユーザーが利用できるようになります。開発者はこれらのAPIを利用して、サードパーティCookieを使用しない運用の準備として、大規模なライブトラフィックテストを実施することができます。
2024年第1四半期にサードパーティCookieを1%を廃止
次に、2024年第1四半期に、Chromeユーザーの1%についてサードパーティCookieを非推奨にする予定とのことです。これにより、開発者がサードパーティCookieを使用しない製品の準備と有効性を評価する実験を行うことができるようになります。さらに、2023年第4四半期には、開発者が設定可能な割合でChromeのサードパーティCookie非推奨をシミュレートできる機能を導入する予定です。サードパーティCookieを使用しないトラフィックの割合が高くなることで、開発者によるテストがより現実味をもったものになります。
この計画は、英国の競争市場庁（CMA）と協議の上、策定されたとしています。Chromeユーザーの1パーセントを超えるサードパーティCookieの非推奨化に向けCMAと協調していく予定です。
Criteoが声明文を発表
Googleの発表に呼応する形で、Criteoは2023年5月18日に投資家向けウェブサイトに声明文掲載しました。
※参考リンク：
【原文の日本語訳を掲載】
ブログに記載されているように、GoogleがChrome ユーザーの1%を対象としたテストをサポートしていることは、2022年12月に公表したCriteoのブログ記事に記載の通り、実環境での検証結果を得るべきという当社の提言に沿った前向きな展開です。また、英国競争・市場庁(CMA)の評価に不可欠な要素となることが期待されています。そして、時間軸という観点からも、2022年7月にGoogleが発表したものと一致しており、発表された内容はすでに当社の事業計画に組み込まれています。
変革を続けるCriteoのコマース メディア プラットフォーム戦略に沿って、現在当社のビジネスの半分近くを占め、さらに将来的には事業の大部分を占めることが期待される新しいソリューションを通じて、Criteoのお客様はサードパーティの識別子を使用することなくファーストパーティ・データを活用してオーディエンスにリーチし、エンゲージメントを図ることができます。
同時に、Criteoは自社の多角的なアイデンティティ（識別子）戦略の一環として、長年にわたりGoogleと協力してきており、プライバシー サンドボックスにおけるパートナーのうち最大手の一社であり続けています。GoogleのAPIを検証し情報提供を続けてきた中でもたらされた生産的なコラボレーションと結果はCriteoにとって大変意義のあることです。当社がChromeと緊密に連携して特定のユースケースを開発していくことは、当社の優れたパフォーマンスを実現することに繋がると考えています。
プライバシー サンドボックスはエコシステムの構築に向けた取り組みであり、当社による投資はプライバシー保護のためのソリューションに貢献し、パートナーや広告業界全体に利益をもたらします。
今回の発表についてのコメント
1%のトラフィックでサードパーティCookieを廃止する件に関しては、ボリュームは大きくないものの、いよいよ2024年後半に向けてGoogleが本格的に動き始めたという点ではインパクトのある内容だったと思います。実際のトラフィックによってわかってくることも多くなるでしょう。
Criteoは単独で声明を発表していますが、ブログにはOpenX、RTB Houseからのサポートメッセージも掲載されています。基本的にはプライバシー・サンドボックスに対しての前向きな支持を表明しています。各社ともプライバシー・サンドボックスに対するコミットメントを見せることで、広告主や株主をはじめとするステークホルダーの懸念を払拭するのが目的ではありますが、ポストクッキーのソリューションについては他の選択肢もある中で、プライバシー・サンドボックス陣営にいかにインパクトのある会社を取り込むかはGoogleとしても重要事項であると考えられるので、今後もこういった支持は増えていくことが考えられます。
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