Googleは、近い将来モバイル広告から直接商品を購入できる「購入ボタン(buy button)」を設置することを認めました。
リンク: Google Confirms “Buy” Button Is Coming To Search Ads
同社のオミッド・コーデスタニ最高事業責任者(Chief Business Officer)は27日に開催されたRe/Codeのカンファレンスで、購入ボタンの設置は具体的な時期こそは明らかにしませんでしたが、間もないと述べました。ボタンがどのように動作するかについてなども言及はしませんでしたが、ウォールストリートジャーナル紙によると、モバイル検索広告(商品リスト広告と言われている)をクリックした後に、Googleが用意した特別なページに遷移し、取引を完了するとしています。
この特別なページで商品のサイズや色などを選択した後、Googleが複数の支払いオプションを提示するものとみられていますが、支払いに関するデータはGoogleからマーチャントには渡されず、メールアドレスなど一部の顧客情報の提供に限定する模様です。商品出荷に関してはマーチャントが直接行うとしています。
有名大手百貨店などがすでにロンチ時の参加を表明しているとのことです。Googleは、Trusted Storesプログラムを始めた際も、受注および出荷に関するデータフィードの提供を義務付けていた点でマーチャントから反発を受けていましたが、これを後に取り下げたことで、マーチャントの参加は飛躍的に伸びたと言われています。立ち上がりのマーチャントの参加率がどうなるか、気になるところです。
今回の取り組みではGoogleがマーチャントから取引のうちの一定割合を手数料として受け取ることはないようで、以前広告からの収益のみを見込んでいるようです。これはAmazonへの参加を控えてきたマーチャントにとっては朗報で、スマートフォンなどモバイルでの取引が増え、少しでも購入完了までのステップ(Googleのコーデスタニ氏はFriction – 摩擦と言っている)を減らすことを望む場合には有効になる可能性があります。
しかしながら、これまでGoogleがとってきた送客というスタンスからは大きな変更であり、マーチャントの間ではGoogleは味方なのか敵なのかといった議論を呼んでいるようです。ある商品を探していたとして、検索結果(広告)に複数の選択肢が出ていて、購入ボタンがあるものとないものが出た場合、ユーザーのアクションはどうなるのでしょう。大変興味深い取り組みだと思います。このGoogleの方針転換がどのように受け入れられるかは実際に始まってみないとわかりませんが、マーチャントは少なくとも、この取り組みに乗る必要性が出てきた場合に備え、商品データベースの整備は進めておいたほうがよさそうです。