堅調に成長する米デジタル広告
5月19日、米調査会社のeMarketerは、2015年度のアメリカのデジタル広告を業種別に調査したベンチマークレポート「Digital Ad Spending Benchimarks By Industry」を発表しました。2012年から始まった本レポートは、今回で4回目になります。
発表記事によると、米国デジタル広告売上高は、活況な経済状況を背景に、広告技術の進化と効率の向上を追い風に引き続き堅調な成長を維持し、2015年末で586億ドルに達するだろうとのこと。「モバイル」「プログラマティック」「動画」の3つのキーワードが軸になっているようです。
小売(Retail)が引き続き大きな割合
堅調な成長のドライバーの一つは、小売業界のようです。
586億ドルの内訳では、全体の22%を1位の小売(Retail)が担っており、2位の自動車(Automotive)の12.5%を大きく引き離していくだろうと算出されています。なお、自動車は今回の調査で初めて金融(Financial Services)を上回ったとのこと。上位の業種が、小売・金融・自動車・通信(Telecom)で占められているのも他の調査と共通していますね。
飲料や消費財などのCPG(Consumer Package Goods)は、以前はマス広告が多く、インターネット広告にはなじまないと言われていましたが、近年めきめきと活用事例が増えており、順位が上がってきています。モバイルや動画などとも親和性が高いと思われます。
以下は「モバイル」の業種別グラフですが、やはり小売が際立って強いようです。2015年でもEコマースの売上高は小売全体の7.2%にとどまると予測されており、9割以上の購買活動は実際の店舗で行われていますが、その店舗への誘導を促進する施策としても、モバイルの活用が進んできているといえるでしょう。
プログラマティックディスプレイでは、小売に次ぐ2位にCPGが躍り出ているのも面白い結果です。P&Gは、2014年のデジタル広告予算の7割をプログラマティックディスプレイ広告に費やしたとも言われており、このような調査結果の証左となっているようです。
動画広告でも小売が強いという調査結果が出ています。動画広告だけあって金融が下がりCPGやEntertainmentが全体順位に比べて上がっていることが分かります。自動車業界は動画広告の成長が著しく、新車などの製品発表時に動画が活用される事例が増えているようです。
詳細版のフルレポートはeMarketerの有料会員のみが閲覧可能ですが、簡易版のサマリーは以下のページからダウンロードできます。