2021年1月27日(米国時間)、GoogleはiOS14以降のポリシーアップデートに対する準備について発表しました。
AppleがiOS14以降に適用するAppTrackingTransparencyフレームワークでは、ユーザーをトラッキングしたりIDFA(iOS端末の広告識別子)にアクセスしたりするのにユーザーから事前に許可の取得が必要になります。
このため今までIDFAを利用してトラッキングや広告のターゲティングを行っていたメディアへの影響が大きく、FacebookがAppleへの抗議文を発表した ほか、各メディアの動向に注目が集まっていました。(Facebookは「これはプライバシー保護ではなく、利益を得ることを目的としたものです」と強い言葉でAppleを非難しています)
そんな中で発表されたGoogleの対応について、以下でまとめます。
App Tracking TransparencyとSKAdNetworkについて
AppleはiOS14の発表時に、2つの新しいフレームワークについて予告していました。
1つ目がAppTrackingTransparency(以下、ATT)で、ユーザーをトラッキングしたりIDFAにアクセスしたりするのにユーザーから事前に許可を得るフレームワークです。
2つ目はSKAdNetwork 2.0(以下、SKA)、IDFAにアクセスせずに広告キャンペーンの成果を測定するフレームワークです。
このためSKAを利用すればIDFAの取得なしで広告の成果測定が可能ですが、SKAではデータの受信にタイムラグがあったりキャンペーン数に制限があったりと課題があることに注意が必要です。
なお、iOS14からこれらのフレームワークが適用されると発表があったため「iOS14対応」等と称されますが、iOS14自体は既にリリースされており、ATTフレームワークの適用が延期されている状態です。ATTの適用は2020年の時点で「early next year(=2021年初め)」と発表があった後、2021年1月の発表では「early spring」と記載があるため、2021年の春には適用されるようです。
参考リンク:
必要な準備、変更点
アプリ広告主、広告会社
- SKAの実装のため、Google Analytics for Firebaseの最新バージョンにアップグレードしておく
- iOS14以降のトラフィックにおける 推定コンバージョン の適用範囲が広がる
- iOSアプリごとにアプリインストールキャンペーンは8つ以下に統合する
- アプリインストールキャンペーンではtCPIまたはtCPA入札のみを使用する(ベータ版として提供されているtROASは使用できなくなる)
- ATT適用後、SKAのレポートデータを表示できる画面が登場する([レポート] > [その他] > [SKAN コンバージョン])
なお、本件の影響はアプリ広告だけでなくウェブ広告も受けるため、ディスプレイ、ビデオなどウェブベースの広告キャンペーンでもパフォーマンスが変動する可能性があることにご注意ください。
参考リンク:
アプリベンダー
- 自社のアプリに広告を掲載している場合、SKAのサポートなど新機能に対応するため、Google Mobile Ads SDKのバージョンを7.64以上にアップグレードしておく
- アプリでIDFAを取得する場合、ATTに対応する(IDFAオプトインのためのメッセージを表示する)
Googleが自社アプリについて「一部のiOSアプリでは、ATTに該当する情報(IDFAなど)を使用しなくなります」と述べているように、IDFAを取得しない、つまりATTに対応しないというのも判断のひとつです。
How we’re complying with ATT
When Apple’s policy goes into effect, we will no longer use information (such as IDFA) that falls under ATT for the handful of our iOS apps that currently use it for advertising purposes.
これからはSKAのデータのみでアプリを運用していくか、IDFAを取得してターゲティングや計測の精度を維持していくか、早めに決定しておきましょう。
参考リンク:
Appleに強く抗議の意を表しているFacebookに対し、Googleの発表は極めて淡々と必要な対応が記載されたものでした。
これはGoogleが3rd Party Cookieなしでの広告効果計測やターゲティングを可能にする「Privacy Sandbox」の提案をしていることと、Androidの開発元としてApple同様にルールを作る側である強みがあると言えるかもしれません。
いずれにせよwalled gardenの壁がさらに高くなっていくことは確実で、変化していくルールに乗り遅れないよう、キャッチアップに努める必要がありますね。
参考リンク: