アトリビューション特別対談:Fringe81代表田中弦×アタラCOO有園雄一(2/4)

アトリビューション特別対談:Fringe81代表田中弦×アタラCOO有園雄一(2/4)

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※本記事は、2011年7月に公開されたAttribution.jpからの転載記事です。

第2部/全4部(2011年7月27日公開分)

 

 

広告代理店さんがアトリビューションを取り入れる場合

 

田中:ちょっと視点が変わりますが、広告代理店さんでこうしたアトリビューションをやろうとすると部署がわかれているのでややこしいと思いますね。

 

有園:そうですね。

 

田中:アトリビューションはやる方が大変だと思いますが、お客さんにとってアトリビューションはとても得なことだということを伝えたいです。

 

有園:伝えたいですね。

 

田中:アトリビューションは新しい概念で、捉えどころのないフワフワしたものと思われがちです。しかし、やり尽くしたものもあれば、まだ手をつけていないもの(ディスプレイ)もある。これらを適切に組み合わせたら、もっと改善できるし結果も出せるでしょう。それを実現するのがアトリビューションだよということを強烈に謳っていきたいです。

 

有園:そうですね。代理店さんの話が出ましたけど、実は、代理店さんからもアタラにお問い合わせがあります。代理店さんに対してアトリビューションの勉強会をさせていただいてたり、代理店さんからのご依頼でクライアントの情報を分析してシミュレーションしてお返ししたり、ということをやり始めてます。

 

田中:そうですか。

 

有園:代理店さんのなかにも、「アタラと一緒に仕事をやりたい」というスタンスのところもあれば、「やりにくい」という声もあるかと思いますが、部署を横断的に考えてアトリビューションについて前向きに捉えようという動きは代理店さんの中でもかなりでてきていると感じています。

 

田中:それは本当に思いますね。先日、ある代理店さんに聞いて「ほ〜う」と思ったことがあります。

 

有園:ぜひ聞かせてください。

 

田中:その代理店さんはサーチをかなり大規模にやっていて、ビッグクライアントも沢山もってらっしゃるのですが、「アトリビューションとか出てくると、また面倒臭い事になると思います?」って質問したら「そうではない」と。

 

有園:へぇ〜。

 

田中:「サーチとディスプレイを組み合わせる」と言う考え方は広告代理店の得意分野なんだと。広告代理店は、いろんな集客手段を組み合わせてどういう風に集客していこうか考えるのが仕事なので、アトリビューションの概念は好きだよと言っていました。そういう考え方をしてくる代理店さんもいるんだなというのが驚きでした。

 

有園:なるほど。ある意味、アトリビューションは代理店さんの本領発揮みたいなところがありますよね。複数媒体を扱えるからこそできることがありますね。

 

田中:そうなんですよね。だから余計に、広告代理店さんがどんな組み合わをするのか見てみたいって思っています。代理店さんからもアトリビューションに対して前向きな言葉をかけていただくんで、一斉に声をかけられると大変ではありますが、きっと盛り上がると思います。

 

アトリビューションを解明する

 

田中:あと、アトリビューションについては、日本で誰も解明していないというところが良いですよね。

 

有園:解明?

 

田中:ビュースルーコンバージョンって本当にあるんだっけ?とか、ディスプレイって本当にサーチに貢献してる?とか、みんな気になっているけれど誰も解明していないじゃないですか。これを解明できたら楽しいですよね。

 

有園:なるほどなるほど。多分、そういうことをきちんと調査してリリースを出している広告代理店さんや会社は日本ではまだ無いですよね。アメリカのほうだとけっこうありますが。

 

田中:アメリカにはありますね。実績あるはずなのに、小出しにしているかんじではありますが。もっとデータを出してくれたら良いのにって思いますよ。

 

有園:まだアトリビューションという言葉だけではちょっと響かないときもありますが、アトリビューションに関連するニーズの高まりという点では、広告主の方は段々と高まってきたと思います。媒体社さんの反応はどうですか?

 

田中:媒体社さんはまちまちですね。ただ、RSSのアドネットワークは専門系の媒体社さんが多いので、専門系の媒体社さんは単価が高いからCPC換算すると広告主さんは、「ちょっと高いよね」と必ず二の足を踏んでしまうんです。

 

有園:そうですね。

 

田中:でも、メディアさんに、「実は、それは間接効果を出したら結構なボリュームのコンバージョンを出していたことが分かると売りやすくなりますよね?」と聞けば「そりゃそうですね」という風になります。これは喜ばしいことです。

 

有園:はい。

 

第三者配信エンジンの魅力

 

田中:そもそも、三年位前には同じことをやるためには第三者配信エンジンが必要なんですけど、「第三者配信でやりましょう」と言うと「嫌だ」と言われましたね。

 

有園:ちょっとそこに、それを入れたくないみたいな。入れたくない理由って何なんですかね?

 

田中:いろいろあると思うんですけど、一番大きかったのは掲載可否確認。特にアメリカの第三者配信でいうと自由にばんばん入れ替えられるって方式が主流なのでチェックできないところがあったりするので。

 

有園:では掲載可否の管理ということですね。いわゆる枠管理みたいなのはどうなんですか?

 

田中:枠管理はあらかじめ何枠と決まっているので、それは例えば30枠あって10枠が第三者配信になるかどうかというのはあまり問題じゃないですね。

 

有園:ということは、変な広告は出したくないというところの確認は人間がしなければならないのでしょうけれど。

 

田中:はい。でもそれはベンダーとメディアさんでちゃんと紳士的にやれば解決します。全部事前に可否をとっておくとか。あとは第三者配信でやると全部見えてしまうということがあったりします。

 

有園:全部見えるんですか?全部見えるというのは、クリック数とかインプッション数とかという話ですか?

 

田中:それもそうですし、例えばフリークエンシーとかもわかるので。ただ多いフリークェンシーが駄目だというわけでもないので、そこはちゃんと言えばいいですし。なので、間接コンバージョン見て、もっと価値上げていきましょうよという話をして、第三者配信をしましょうと言うと、まあ90%は大丈夫です。

 

有園:そうですか。なるほど。では、見えてしまうということよりも効果を見せる方が大事だという風に媒体社さんの意識も変わってきているわけですね。

 

田中:かなり変わってきています。

 

有園:媒体社さんによって反応はまちまちだけれども増えてきていると。例えば、10社に話をするとどのくらいですか?

 

田中:9社はOKです。

 

有園:なるほど。それで間接効果を出していきましょうというのも皆その方向で動いていると。

 

田中:そうですね。

 

有園:大手も結構そうですか?

 

田中:大手もそうですね。

 

有園:新聞社さんであったりとか、日本で一番大きなYahoo!さんとかはまた違うかもしれませんが。

 

田中:Yahoo!さんとかはまだですけれども、他の媒体社さんはもうほとんどOKじゃないですかね。あまり駄目と言われたことがないんですよ。ポリシー的にまだ受け入れていないというところはありますけれども「ここだけだったらどうですか」という話をすると「それはOKです」と言われます。

 

有園:それは中面みたいな話ですか?

 

田中:そうですね。「中面だったらいいですよ」というのは出てきてますね。なので、今は拒否されることがない状態ですね。

 

有園:実は、私もとある媒体社さん、大手のニュースペーパーなんですけど、アトリビューションの勉強会をしてほしいと言われてお話をさせていただいたことがあります。そういう意味では、媒体社さん側でも温度が上がってきていますね。

 

田中:そうですね。

 

有園:媒体社さんとしてもアトリビューションをやることで広告の間接効果をきちんと出せるようになり、売り上げを上げていけるんじゃないかという思いが出てきているんでしょうね。

 

 

間接効果と直接効果はどっちが偉い?

 

田中:ところで、方法論とかそっちの方に入っちゃうかもしれないんですけど「直接コンバージョン」っていうとめちゃくちゃ偉い感じがするじゃないですか。「間接コンバージョン」「間接効果」っていうと、あんまり偉くない感じですよね。

 

有園:あははは。それは、「所詮、間接的でしょ」「あんた最後に力発揮してないじゃん」みたいなことですか?

 

田中:そうです。そうです。日本語の印象では、直接よりも間接の方が弱いと思われることってあるんじゃないかなと思って。

 

有園:たしかに。

 

田中:たとえば、バーナーを見て実際にクリックする人ではなく、バナーを見て、後から他の経路で、たとえば、サーチとかでアクセスする場合をビュースルーアクセスというのですが、計測してみるとクリック数の二倍から十倍のアクセス数が出ます。直接のクリック数が100だとすると、200から1000ぐらいアクセス数が出るんです。純広告で良い枠だと、そりゃあ広告を見たでしょうね。そうじゃないとなかなかサーチってしませんよね。

 

有園:はい。

 

田中:ということを考えると、純広告をCPC換算で300円で買ってました、という場合、トータルの流入数はまた違うわけです。二倍でも実は150円でした。アクセスを誘発しているので。十倍だったらCPCってあれ何だったっけとなる。

 

有園:なりますね。

 

田中:だから純広告ってアクセス稼ぐだけにしても単純に直接のクリック数だけ見たのではだめだなと。ビュースルーだけ見てみても、二倍から十倍に増えているじゃないですかと、アクセスめちゃくちゃ増えていますよと。それでも間接効果って言うんですかね?って気がしてしまうんです。

 

有園:なるほどね。

 

田中:何かいい言葉ないかと思ってます。間接って言葉のインパクトが弱くて。間接効果っていうと、たまたま流れ弾にあたったみたいじゃないですか。

 

有園:流れ弾って(笑)田中さんの会社の資料に「迂回コンバージョン」って書いてあるのは、そうゆう理由からですか?

 

田中:そうそう。間接って言葉が嫌いだから、自分で考えてつけたんです。

 

有園:そうでしたか、正直「迂回ってなんだよ。間接でいいじゃん」って思っていました(笑)いま納得です。

 

田中:流れ弾って言ったら語弊があるかもしれないですが、「たまたま効果があった」みたいに思われるのが悔しいんです。

 

有園:たしかにね。

 

田中:アシストってあったじゃないですか?あの概念。あれも、すごくショボイネーミングな気がするんですよね。ゴール前でちょろっとパスしましたみたいな。

 

有園:しょせんアシストだろう?と。アシスタントみたいな感じですね。主役ではないと。なるほどね。じゃあ、「リードジェネレーション」とかどうでしょう?ちょっと違うかな?

 

田中:どうなんですかね。多分、アトリビューションっていった時に「間接効果を明らかにして予算配分を変えましょう」と話をすると、間接とかアシスト効果って言うと軽くちょろっとしかやっていない感じがしちゃうので、実際はすごく重要なことなのにその大切さが伝わらないような気がして。それがネックです。

 

有園:おもしろいですね。言葉に関してはそこまで敏感には考えていなかったのですが、田中さんがおっしゃりたいことは理解できます。

 

田中:よかった(笑)

 

 

松井とイチローはどっちが偉い?

 

有園:じつは、先日、Attribution.jpに投稿したのですが、その中で、松井とイチローの例を使っています。最後に刈り取るのが得意なのはリスティング広告になるわけですが、野球でいうと、リスティング広告は打点をあげているようなものです。そうすると、松井はリスティング広告。最初にウェブサイトにランディングさせる施策は一塁ベースに出ていくことに似ています。シングルヒットを打つイチローです。バナー広告はイチローだと。

 

田中:おもしろい例えですね。

 

有園:そういったときに「松井とイチローはどっちが偉いんですか?」と聞けば、現状で評価が高いのっておそらくイチローの方ですよね。あれだけシングルヒットを打つイチローには高い評価がある。

 

田中:そうですね。

 

有園:ウェブサイトにランディングさせるためには、たくさんのビュースルーが必要です。そのビュースルーを評価しないということは、イチローを評価しないのと同じですよってことを言いたかったのです。田中さんのいう、間接効果を評価しなくてもいいのか、みたいに。

 

田中:うんうん。

 

有園:サッカーに例えた「アシスト」と「ゴール」と言う説明は使い古された感があるので、あえて野球に例えてみました。イチローって偉大だろうと。

 

田中:偉大ですね(笑)一塁に出れないと点数は入らないですからね。間接っていうとバントだけしているみたいに聞こえます。

 

有園:そうそう。イチローは一塁にも出るし、盗塁だってするんだぞと。さらに先に進塁するのは、ある意味で、態度変容を引き起こしているみたいなもんですよ。イチローを評価するならバナー広告だって評価しないとダメですよってことが言いたくて。

 

田中:おっしゃるとおりですね。きっかけは何ですかって話ですよね。

 

有園:そうなんですよ。

 

コンバージョンのきっかけは何か

 

田中:商品名とか知らない人が、いきなり指名買いワードで検索してくるわけないですよ。知るきっかけが必要で、それがバナー広告だってことはよくあります。もちろん、記事広告やタイアップ広告などいろいろありますが、きっかけを評価しましょうってことを強く言いたいですね。

 

有園:そうですね。

 

田中:アシストを評価する、間接効果を評価するって言うと響かないのかもしれませんが、コンバージョンとなるきっかけを評価しましょうって言うと少しは違うのかなぁと。きっかけがないとコンバージョンしませんからね。

 

有園:ごもっともです。広告の言葉で言うと、アテンションとかインタレストとかAISASでいうやつですね。購買サイクルの中での認知。認知していないと指名検索はないじゃないですか。だから、アトリビューションは認知を評価しましょうって言っているのに近いと思うこともありますね。いかがですか?

 

田中:どうなんでしょうね。いわゆる、AISASとかはマーケティング的には正しいと思いますよ。ただ、おもしろいことに、バナーを一回見ただけでコンバージョンする人もいるんです。

 

有園:へぇ〜。

 

田中:ダイエット食品のバナー広告を見ただけで「痩せたいから買おう!」即クリック、即購買と。いきなりAIDMAのAからAまでボーンと飛んでしまうんです。

 

有園:おもしろいですね。

 

田中:そう考えると、AさんとBさんとCさんにとってバナー広告の果たす役割は違うんですよね。Aさんにとっては認知。Bさんにとっては即コンバージョン。Cさんにとっては検討するきっかけになってサーチに結び付くことはあります。そう考えると「認知」だけではないのかなって思っています。

 

有園:認知だけではないと思います。きっかけとおっしゃったので、そこでいうと認知かなと。

 

田中:コンバージョンパスの中にある認知ならそうですが、単なる認知ならちょっと違うのかなと思いますね。

 

聞き役: 有園 雄一(Yuichi Arizono)

3/4に続く(2011年7月28日公開)】

第1部(2011年7月26日公開)
第2部(2011年7月27日公開)
第3部(2011年7月28日公開)
第4部(2011年7月29日公開)

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