「Criteo アプリインストール」の提供開始を発表
2019年11月19日、Criteoはモバイルアプリにおける新規顧客獲得を目的としたソリューション「Criteo アプリインストール」の提供を開始すると発表しました。同日には記者発表会が行われ、機能の詳細説明や先行して活用していた企業の事例紹介などが実施されました。
アプリ領域でもフルファネルをカバーする存在に
Criteoは2019年より「Open Internet」を新ビジョンに掲げ、「リターゲティングからフルファネルへとポートフォリオを拡大すること」と「新たな分野の広告主獲得を強化すること」を推進すると宣言していました。
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すでにディスプレイ広告分野では、新規見込み顧客を獲得するソリューションである「Criteo Customer Acquisition」を2018年にローンチしており、フルファネルへのポートフォリオ拡大を達成していました。
一方アプリ領域においては2013年から、Criteoが得意とするリエンゲージメントやダイナミックリターゲティング向けのソリューションを提供していたものの、新規見込み顧客獲得向けのソリューションはこれまで発表されていませんでした。今回Criteoアプリインストールがローンチされたことで、カスタマージャーニーの全てのタッチポイントにおいて、一気通貫で顧客獲得が可能となりました。
また、昨年11月にはアプリインストール広告ソリューションを手掛ける米国Manage.comを買収したことで、これまでCriteoが得意としていたECや旅行、不動産、人材といった業態の他に、ゲームや電子書籍、コンテンツ配信などのアプリファースト企業にもアプローチできる体制が整ったといえます。
Criteoアプリインストールとは
今回ローンチされたCriteoアプリインストールは、モバイルアプリにおいて主に新規顧客を獲得することを目的とするソリューションで、「App Install CPC(CPC課金)」と「App Install CPI(CPI/CPM課金)」の2メニューが選択可能です。それぞれに配信可能な配信先や、利用可能なクリエイティブが異なることに注意が必要です。
また、それぞれの課金形態に適した対象業種も示されていますが、必ずしもこの通りに選択する必要はなく、例えばEC業種の企業がCPI課金を選択することも可能だそうです。
またApp Install CPI/CPMを選択した場合は、課金形態をクリック課金・ビュー課金で選択できるほか、動画視聴開始時をビューとする、もしくは視聴完了率25%/50%/75%/100%でクリックとみなすのかを選択できるなど、価値の重み付けを顧客自身が自由に選択することができます。
近年取り沙汰されているアドフラウド対策についても考慮されており、透明性を担保するため、顧客が申請すれば配信面データの開示も行うようです。
モバイルアプリ市場の加熱と課題
現在、モバイルアプリ市場は世界的に活気を帯びており、モバイル計測およびアドフラウド防止ツールを提供するAdjustの調査によれば、モバイルに関するテクノロジーやサービスの売上は過去最高の3.9兆ドル、アプリのインストール数は1,940億件、有料広告経由でのインストールも昨対比で4%増加しているそうです(2018年末時点)。
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勢いを増すアプリ市場の中でも特にAPAC地域での加熱は激しく、APAC地域でのCriteoのオンライン取引動向を見ると、2019年のQ1、Q2共にアプリが全体の約半数を占めています。
その一方で、アプリマーケティングの課題としてよく挙げられるのが、インストールユーザーのLTVの短さです。Criteoによると、2018年の日本における1人あたりのアプリダウンロード数は平均100以上ですが、5回以下の利用で、ユーザーの64%が休眠ユーザーとなるそうです。
Criteoは、今回のソリューション提供によってアプリインストール段階から、休眠ユーザーのリエンゲージメント、さらにLTVを伸ばすためのリターゲティングまで、フルファネルでユーザーを追いかけることができるようになったこと、さらに、それを下支えする最適化のための機械学習アルゴリズムや、購買行動に特化したビッグデータであるCriteoショッパーグラフなどが最大の特徴であるといえます。
各広告媒体においてもアプリを強化する動きが出ていますが、Criteoも、加熱するアプリ市場に一石を投じる存在になるのではないでしょうか。