アナリスト予想を4億ドル上回る売上で着地
2019年第二四半期(4−6月:以下「Q2」)の決算報告によれば、今期の売上高は168.9億ドル、1株あたりの利益は0.91ドルでした。
アナリスト予想が165億ドル/1.88ドルでしたので、広告製品の規制を受けながらも前年同期比で +27.7% 成長という結果は、順調に売上を伸ばしたと言えるでしょう。
※米連邦取引委員会(FTC)に対する制裁金を50億ドルの支払いで合意していますが、その分を除くと1株あたりの利益は1.99ドルになります。
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なお、Q2では過去最高額の売上をマークしつつも、上述の制裁金で利益には当然影響が出ており、前年同期比では大幅に減少しています。日本円にしておよそ5,400億円もの圧迫ですが、株価には影響せず、むしろ発表直後の時間外取引で3%の上昇を見せました。
広告の売上構成比も、ストーリーズを含む Instagram の成長もあってかモバイルの比率がさらに上昇しており、決算報告の中でもハイライトとして以下のようにコメントされています。
Mobile advertising revenue – Mobile advertising revenue represented approximately 94% of advertising revenue for the second quarter of 2019, up from approximately 91% of advertising revenue in the second quarter of 2018.
(モバイル広告の収益 – モバイル広告の収益は、2019年Q2の広告収入の約94%を占め、2018年Q2の約91%から増加した。)
ユーザー数も緩やかに増加
まず月間アクティブユーザー数(Monthly Active Users:以下「MAU」)ですが、前期比 +1.6% の24.14億人と増加しました(前年比は +8%)。成長率は前期に比べやや鈍化はしていますが、アジア太平洋地域を中心に成長を続けています。
次に1日あたりのアクティブユーザー数(Daily Active Users:以下「DAU」)ですが、MAUと同じ成長率で前期比 +1.6% の15.87億人としました(前年比もMAUと同じく +8%)。
内訳を見ていくと、重要マーケットであるヨーロッパ地域を増加させた前期に対し、今期はヨーロッパ地域で停滞した一方、北米地域で微増しアジア太平洋地域が最も成長した四半期になりました。毎日の利用率(DAU/MAU)も 66% で高止まりしています。
アジアと「その他の国々」が成長を牽引
ARPU(ユーザー1人当たりの売上:Average Revenue per User)を見ていくと、興味深い結果が見受けられました。
まず、グローバルで7.05ドルとアナリスト予想の6.87ドルを上振れているのですが、その内訳が売上の大半を占める北米・ヨーロッパ地域での前期比増がありながらも、アジア太平洋地域とその他地域でホリデーシーズンのQ4を超える ARPU を叩き出しています。
Facebook がまだ新興媒体だったころは各地域でこのような現象が見られましたが、近年では珍しいことです。これは、マーケットが成熟してきている北米・ヨーロッパ地域が前年度の Q4 を上回ることはここ最近は難しくなってきている一方で、アジアとその他地域ではまだまだポテンシャルがあることの証左だと考えます。
アジア太平洋地域は単体でも10億人のユーザーを抱えていますので、ヨーロッパ並の ARPU をマークするようになれば単純計算で北米の売上を上回る巨大マーケットに変貌します。
各地でほぼ毎期ARPUを伸ばし続けていた3年前の決算発表:
Facebookファミリーの総DAUは横ばいか
今回の発表でもFacebook ファミリー(Facebook、Messenger、Instagram、WhatsApp)全体のユーザー数にも言及されていましたが、前四半期から大きな変動はなく、MAU 27億人、DAU 21億人としています。
In addition, we estimate that more than 2.1 billion people now use Facebook, Instagram, WhatsApp, or Messenger (our “Family” of services) every day on average, and more than 2.7 billion people use at least one of our Family of services each month.
(毎日平均21億人以上の人々が Facebook、Instagram、WhatsApp、Messenger(当社の「ファミリー」のサービス)を使用し、毎月約27億人が当社のファミリーのサービスを使用していると推定しています。)
ハイライトの中でヘッドカウントを前年同期比で31%増加させたとのコメントもありますが、2019年7月に FTC とプライバシープログラムの包括的な拡大を実施することに合意しており、引き続きユーザープライバシーの遵守と監視プロセスの大幅な強化が求められています。
広告製品のアップデートにぜひ期待したいところではあるものの、開発リソースの大半をセキュリティ要員に割かなければいけない状況がしばらくは続きそうです。
※同記事で引用しているアナリストによる予想数値は、以下を参考にしています。
1) Following record FTC fine, Facebook stock pops on Q2 earnings beat – TechCrunch
2) Facebook reports better than expected second-quarter results – CNBC