目次
- 1 「モバイル」「マシーンラーニング」「プライバシー」
- 2 「Be there」「Be useful」「Be responsible」
- 3 Discovery Adsの発表
- 4 Gallery Adsの発表
- 5 Deep linking in Google Ads
- 6 Maximize conversion value
- 7 Campaign-level conversions
- 8 Conversion value rules
- 9 Seasonality adjustments
- 10 Bumper Machine
- 11 カスタムオーディエンス(Custom Audience)
- 12 オーディエンス拡張(Audience expansion)
- 13 リニアTVの広告在庫拡大
- 14 新しいGoogleショッピング体験
- 15 ショーケース広告の配信先拡大
- 16
- 17 情報の透明性・選択・操作
「モバイル」「マシーンラーニング」「プライバシー」
米国時間 2019年5月14日(火)、GoogleはGoogle 広告、Googleアナリティクス、Google Marketing Platform(以下GMP)などの広告関連プロダクトに関するアップデートや、開発の方向性を発表するGoogle Marketing Live 2019(以下GML2019)をサンフランシスコで開催しました。
このイベントは昨年7月に行われたGoogle Marketing Live 2018(以下GML2018)を引き継ぐイベントです。去年の発表については以下の記事をご覧ください。※2019年5月28日(火)、記事の内容を一部修正・加筆しました。
GML2019のオープニングトークは、Googleの最高業務責任者であるPhilipp Schindler氏が務めました。様々なスマートデバイスの登場や、それに伴うユーザー行動の変質など目まぐるしく変化する環境下でのマーケティングでは、どのような準備をすればよいかという問いに対して、「モバイル」「マシーンラーニング」「プライバシー」の3つを挙げました。
GML2019のキーノートスピーチで発表された主要なプロダクトを以下にまとめました。Unyoo.jpで既に記事にしているものもありますが、この機会にぜひまとめてご一読いただければ幸いです。
「Be there」「Be useful」「Be responsible」
続いてGoogleの広告ならびにコマース製品を統括するシニアヴァイスプレジデントのPrabhakar Raghavan氏が登壇しました。
スピーチ内で今回の新機能発表に関するテーマを掲げています。※の部分は、筆者の意訳になります。
「(how can we)Be there」※どのようにユーザーインテントをとらえた広告を出すか
「(how can we)Be useful」※どのように利便性を担保するか
「(how can we)Be responsible」※どのように責任を果たすか
特に「Be responsible」については、プライバシー保護を意識した標語となっており、改めてGoogleとしてプライバシー保護に力を入れていることが伝わってきました。
Discovery Adsの発表
最近のGoogleとIpsosの調査で、76%の消費者が買い物をするときに思いがけない体験を期待していること、また消費者の85%が製品を発見してから24時間以内に製品関連の行動を起こすことが判明しました。そのような背景をもとにGoogleは、Discovery Adsを発表しました。
Discovery Adsとは、Googleのモバイルアプリならびにモバイルブラウザからgoogle.comにアクセスした場合に表示されるものでした。YouTubeのホームフィード、Gmailのプロモーションとソーシャルタブ、ディスカバー(Googleのモバイルアプリならびにモバイルブラウザからgoogle.comにアクセスした場合に表示)のフィードに、スワイプ可能なカルーセル形式の広告を配信するものになります。
Discovery Adsは、2019年後半に世界中の全広告主に提供される予定とのことです。
またDiscovery Adsの事例を、TechStyle Fashion Groupの最高メディア責任者であるLaura Joukovski氏が発表しました。同社は、Discovery Adsをベータ版として活用しており、検索を含む他のチャネルと比較して、Discovery Adsは約25%低いコストでリードを獲得しており、急成長している広告の一つと説明しています。
Gallery Adsの発表
続いて、Googleのモバイルアプリ広告部門のヴァイスプレジデントであるSissie Hsiao氏が登壇しました。75%のスマートフォンユーザーは、すぐに情報を入手することを期待していることに言及し、そのニーズに応えるためにGallery Adsを発表しました。
Gallery Adsは、画像とテキストを併用した広告形式です。画像はカルーセルの様にスワイプすることができ、検索結果の上部に表示されます。アセットは、4~8つの画像、最大70文字のイメージタグライン、3本の見出しを登録することになります。この広告を通して、企業は更にブランドストーリーを伝えることが可能になります。
Deep linking in Google Ads
Deep linking in Google Adsとは、ユーザーが既にアプリをインストールしている場合、検索、ディスプレイ、ショッピング広告から直接モバイルアプリの関連ページにリンクさせることが可能な機能です。
Deep linking in Google Adsを使用した初期テストでは、平均して2倍のコンバージョン率をもたらしました。
ブラジル最大の小売企業の1つであるMagaluは、同社のモバイルアプリをインストールしているユーザーが、広告をタップした場合、直接モバイルアプリにリンクさせることで、モバイル経由の売上を約40%増加させたようです。
続いて、Google 広告とSearch Ads 360を担当しているProduct Management DirectorのAnthony Chavez氏が登壇し、Googleマシーンラーニングを活用したsmart biddingのソリューションを発表しました。
Maximize conversion value
まず1つ目は、コンバージョン値を最大化させる自動入札機能です。こちらは、今までスマートショッピングキャンペーンのみで可能でしたが、今回の発表で検索キャンペーンでも使用可能となりました。
Campaign-level conversions
2つ目は、キャンペーンレベルで最適化させるコンバージョンアクションを選択できるようになる機能です。キャンペーンAでは、商品購入を目的としたコンバージョンで最適化を掛けて、キャンペーンBでは、会員登録を目的としたコンバージョンで最適化を掛けるといった選択が可能となります。
Conversion value rules
3つ目は、Google 広告のコンバージョン値の定義を再設定する機能です。今までは、外部からデータをGoogle 広告に取り込む必要がありましたが、今後はGoogle 広告に直接設定ができるようになるようです。例えば、特定のリストに追加されている顧客に関しては、コンバージョン値を通常の2倍で設定するなどが可能になるようです。
Seasonality adjustments
4つ目は、過去のデータを参考に、サマーセールなどの季節要因も踏まえた自動最適化を行う機能です。特に、サマーセールなどイベントが実施される期間をGoogle 広告に設定することで、コンバージョン率が変動することを予測し、最適化が実施されます。
ここからは、YouTube広告のプロダクトマネジメントディレクターであるNicky Rettke氏が登壇し、最初にYouTubeのログインユーザーが月間20億を超えたことを発表しました。またバンパー広告を使用した動画広告シーケンスの調査結果にも触れ、広告想起率が107%、購入意欲が134%向上した結果がでたようです。そのため、よりバンパー広告を活用しやすくするために、Bumper Machineが発表されました。
Bumper Machine
Bumper Machineは、90秒以下のYouTube動画から、3~4つの異なるバンパー広告を作成するツールです。こちらのツールを使用するにあたり、追加の費用は発生しません。
カスタムオーディエンス(Custom Audience)
今までカスタムインテントやカスタムアフィニティを活用していましたが、これらが統合してカスタムオーディエンスになるようです。カスタムオーディエンスの設定方法自体は、カスタムインテントなどのようにキーワードやURLを複数選択して、設定することになります。また、カスタムオーディエンスが使用できる配信方法は、Gmail、YouTube、Googleのディスカバーとディスプレイ面です。
オーディエンス拡張(Audience expansion)
こちらはFacebook広告などに実装されている類似度の拡張機能と同様の機能になります。本機能を活用した事例としてGoogleは同じ投資額で、コンバージョン数を最大約50%まで増加させたと発表しました。
本機能についてニュースをまとめておりますので、下記記事もご参考ください。
リニアTVの広告在庫拡大
Display & Video 360から買い付け可能なリニアTVの在庫拡大を発表しました。また、今後これらリニアTVの在庫とコネクテッドTVの広告在庫を一括で買い付けできるようにするアップデートを予定しているとのことです。
新しいGoogleショッピング体験
続いて、Googleの旅行・ショッピング関連製品のヴァイスプレジデントであるOliver Heckmann氏が登壇し、新しいGoogleショッピング体験について述べました。
今回Googleショッピングのデザインが一新されました。[ショッピング]タブにパーソナライズドされた画面が表示され、お気に入りの機能やお気に入りのブランドに基づいてフィルタをかけたり、レビューを読んだり、商品に関するビデオを見たりすることができます。たとえば、ヘッドフォンを探しているのであれば、ワイヤレスや探しているブランドで絞り込むことができます。
また購入準備が整ったら、オンラインサイトで購入するか、近くの店舗で購入するか、Googleから直接購入するかの選択が可能です。小売業者やブランドは、広告、店舗誘導および購入までを1つの画面にまとめて、消費者と適切なタイミングで連絡を取ることが可能です。
ショーケース広告の配信先拡大
ショーケース広告は、これまでGoogleショッピング、Google検索、Google検索パートナーが配信対象でしたが、今後Google画像検索、ディスカバー、YouTubeが配信面として追加されます。
事例として、ショーケース広告経由で小売店のサイトへ遷移したトラフィックの約80%は、ブランドを発見したばかりの新規訪問者だったということも発表されています。
Googleショッピング関連の新機能を使うためには、Shopping Actionsプログラムに参加してほしいとのことです。ただし、現状Shopping Actionsプログラムに参加できるのはUSのみのようなので、日本でも適用可能になることを待ちたいと思います。
最後は、Googleとユーザーとの信頼関係構築や個人情報保護の推進を担当しているシニアプロダクトマネージャーのChetna Bindra氏が登壇しました。
プライバシーに対しての人々の関心は高まっており、2016年と比べて、myactivityの検索数が約1000%増加したとのことです。また、Googleアカウントページには、25億ユーザーが訪問したようです。
情報の透明性・選択・操作
個人を保護してくために重視する要素として、透明性(Transparency)・選択(Choice)・操作(Control)を掲げました。また、これらを実行に移すための例を3つ挙げています。
一つは、プライバシーポリシーの明確化。なぜユーザーの情報を集めるのかを明らかにするべきということを指しています。
二つ目は、first-party measurement solutionの利用。また必要に応じてGoogleタグマネージャーやGoogleサイトタグを設定します。
三つめは、個人情報保護を理解し、尊重することです。
以上が、GML2019のキーノートの内容を簡単にまとめたものになります。それぞれ新機能の発表にも注目が集まりましたが、最後のプライバシー保護に関する発表は昨年のGML2018ではなかった内容だと思います。今後マーケターとして、マーケティングの知識やスキルを追い求めるだけでなく、個人情報や個人の尊厳をしっかりと守るという姿勢も大事だと感じさせられました。
今回のまとめたキーノート以外にも、GML2019では様々なセッションがあります。詳しい現地でのレポート記事は、後日弊社高瀬が執筆予定です。お楽しみに!