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アナリスト予測を大幅に上振れ
2018年第四四半期(10−12月:以下「Q4」)の決算報告によれば、今期の売上高は169.1億ドル、1株あたりの利益は2.38ドルで、アナリスト予想の163.9億ドル/2.18ドルを上回りました。
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例年、Q4はブラックフライデーやサイバーマンデーといった年末商戦の影響で年間最高の売上高を記録していますが、今期は前年同期比 +30% としており、大幅な売上増と言えるでしょう。
広告の売上構成比もモバイルの比率が上昇しており、決算報告の中でもハイライトとして以下のようにコメントされています。
Mobile advertising revenue – Mobile advertising revenue represented approximately 93% of advertising revenue for the fourth quarter of 2018, up from approximately 89% of advertising revenue in the fourth quarter of 2017.
(モバイル広告の収益 – 2018年Q4のモバイル広告の収益は約93%となり、2017年Q4の約89%から増加した。)
半年ぶりにすべての地域でDAU増加
2018年のQ2、Q3はヨーロッパの1日あたりのアクティブユーザー数(Daily Active Users:以下「DAU」)が減少、北米がゼロ成長と、広告売上の7割以上を占める2地域で苦しい状況が続いていましたが、Q4 はグローバル全体で前年同期比 +9%、前期比 +2% の15.2億人とし、ヨーロッパ・北米でも2四半期ぶりとなる増加を見せました。
MAUもアジア中心に伸長(北米は停滞気味)
月間アクティブユーザー数(Monthly Active Users:以下「MAU」)も DAU 同様に順調に増加し、2018年は前年比 +9% の23.2億人となりました。
北米では前期比で横ばいで、百万人単位での成長がないことがやや気がかりではあるものの、ビジネスでは重要な DAU が増加し、グローバル全体としてもアクティブ率(DAU/MAU)も66%と高止まりしていることから株価へのネガティブな影響も見られず、後述する北米の ARPU(ユーザー1人当たりの売上:Average Revenue per User)が前年比 +30%と大きく伸びたこともあり、決算発表当日は4.3%高で終了しています。
また、Facebook ファミリーである Instagram、WhatsApp、Facebook Messenger も含めた MAU は約27億人と発表され、Q3 の発表では「26億人超」と伝えていましたので、およそ1億人近く増加させた計算になります。
躍進を支えた Instagram の成長
前期比で約1億人増という驚異的な伸びを見せる Facebook ファミリーのサービス群ですが、その中心にいるのが間違いなく Instagram です。
新たなデータとして、Instagram ストーリーズの MAU が5億人、ストーリーズに配信している広告主が200万以上という発表がなされました。決算会見で CEO のマーク・ザッカーバーグ氏も「喜ばしいサプライズ」とコメントしていましたが、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を続けています。
また、2019年1月25日(米国時間)の The New York Times のニュースでは Instagram、WhatsApp、Messenger の間でメッセージ機能を統合させ、相互からコミュニケーションが取れる計画を立てていると報じられています。
ザッカーバーグ氏は決算会見の中でロードマップを発表し、セキュリティとプライバシー保護のための短期消滅と暗号化に触れた後、メッセージ機能の連携強化、グループ機能の充実、Instagram で実装されているショッピング機能の拡大などについて語りました。
このことからも、サービス間の相互連携をより強固なものにすることで、ユーザーを逃さないエコシステムの構築に向かっていることが伺えます。
各地域でまんべんなく増加したARPU
Q3 では北米・ヨーロッパ・アジアを除くその他地域で 4.7% 減少した ARPU が回復し、+16.5% と大幅に増加しています。ある地域に依存することなく堅調に売上を伸ばしたことも株価上昇の背中を押す形になったのではないでしょうか。
2018年はセキュリティー関連のアップデートに追われ、広告などビジネス面の機能拡充に消極的にならざるを得なかった Facebook ですが(雇用も減速しセキュリティー要員が増えた1年でした)、2019年は1月から WhatsApp 広告のニュースや Facebook Marketing Partners の拡大など、大いにビジネス面のアップデートの連射を予感させますので、取り残されないよう今後も注目したいと思います!