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Googleアナリティクス講座 前回の記事
第6回 Googleアナリティクスの新機能「クロスデバイスレポート」の詳細
存在感を増すGoogleローカル検索
Google検索で「大きい水槽の水族館」や「近くのカフェ」となどと検索して、レビューやマップを見て行きたい場所を決める ”行先き探し” の動画に、見覚えのある方も多いのではないでしょうか。
参考リンク:「Google アプリ 大きい水槽が見たい 篇」
このようにローカルビジネス情報を表示することができるGoogle検索やGoogleマップは、オンラインだけでなく実店舗でもサービスを提供するビジネスにとって適切な情報の提供と新規ユーザーの獲得に大きな影響を与えており、対策を怠れば機会損失が発生するといっても過言ではありません。
店舗誘導施策に関するGoogleのアップデートは激しく、ローカル検索のランキングに与えるシグナルも日々進歩しています。Mozの2018年Local Search Ranking Factorsの調査によると、ローカル検索のランキングに影響を与える要因として、Googleマイビジネス(25%)やレビューの量や質(15%)による影響が大きいということが分かります。
ローカル検索への対策
Googleローカル検索のランキングを向上させて表示機会を増やすためには、Googleマイビジネスの登録やレビューへの対策が必要となります。また今後は、Google Home Hub(2018年10月発売:2019年1月時点で日本語未対応)のような、「音声+視覚」で情報を与えるスマートスピーカーへの対策も必要になるかもしれません。
一方で、Google 広告も2015年10月に「来店コンバージョン」をローンチして以来、店舗誘導施策を様々な形で登場・進化させてきました。
そして2018年10月、Googleアナリティクスにおいても来店レポートに関する新機能「Store Visits in Analytics(以下:来店レポート)」が登場しました。(2019年1月時点:β版での提供)
「Store Visits in Analytics(来店レポート)」の詳細
Googleアナリティクスの「来店レポート」は今後数か月に渡って、対象広告主に対して適用されるようになります。適用される主な要件は以下となります。
一般要件
1.Googleアナリティクス・Google 広告・Googleマイビジネスのアカウントを持っている
2.複数の実店舗を持っている
3.ウェブサイトトラフィックに起因する店舗訪問データを持っている
Googleアナリティクスの要件
1.Googleシグナルが有効である
2.GoogleアナリティクスのプロパティをGoogle 広告アカウントにリンクしている
Google 広告の要件
1.住所表示オプションが有効になっている
来店レポートが適用されると、Googleアナリティクスのレポート上部に
「Google シグナル ベータ版の一部として、このプロパティの来店状況レポートが有効になりました。データがご利用いただけるようになるまでには最長で 60 日ほどかかります。」
といった表示がされ、Googleシグナルを有効にしていればレポートに反映されるようになります。
レポート画面は「概要」「チャネル」「地域」の3つに分かれます。まず「概要」では、ユーザー、セッション、来店、来店率が表示されます。レポート下部は「来店チャネル」として、デフォルトチャネルグループや参照元/メディアごとの数値が表示されます。
来店に関する指標の定義は以下となります。
・来店数:Webサイトでセッションを開始してから30日以内に店舗を訪問したユーザーの店舗訪問数。
・店舗訪問率:来店数/セッション数。
※Webサイトに訪れたユーザーがその後30日間に複数回店舗にアクセスした場合、来店レポートには、1回だけでなくすべての店舗への訪問がカウントされます。
チャネル
チャネルレポートではデフォルトチャネルグループや参照元/メディアなど、プライマリディメンションに対する各指標が並びます。ここでは、集客(セッション・ユーザー・新規ユーザー)、行動(直帰率・ページ/セッション/平均セッション時間)、コンバージョン(来店・来店率)が表示されます。来店数は「最後の間接クリック」のアトリビューションモデルによるものです。
上の図では、[Organic Search] や [Paid Search] からの来店率が比較的高いことが分かります。この場合は、ブランドワードや商品名で検索してから店舗に訪問するか、店舗に訪問して商品を見ながら、同時にオンラインでも情報を探しているかもしれません。
そこで [Organic Search] をクリックしてキーワード別の来店率を確認したところ、ブランドワードの来店率が最も高いということも分かります。このように、キーワード別の来店率を確認しても良いでしょう。
地域
地域レポートは、地域ごとの数値が確認できます。この場合の地域とは「Webサイトのセッション時に判別されたユーザーの地域」を示しており、実際に店舗が存在する地域ではありません。
また、来店レポートは、以下の項目は現在サポートされていませんのでご注意ください。
・アドバンスセグメント
・リマーケティング
・BigQueryのエクスポート
・カスタムレポート
・マルチチャネルファネルとアトリビューション
来店レポートから店舗誘導施策を再考する
Googleアナリティクスの来店レポートを活用する方法はいくつか考えられます。
1.地域別の来店率を確認
まずは地域毎のユーザーの情報を確認します。地域によって来店数や来店率に大きな差が生まれることもあり、意図せずに来店率が低かった地域があれば改善する余地があります。
また、サービスによっては実店舗とは隣接した地域で検索する場合もあります。例えば、コーヒーを飲みたいなら駅前で済みますが、家具を探している場合、隣町まで移動しようと考える可能性があります。その場合「家具 ○○市」のように調べるかもしれません。実店舗の隣町で検索しているのであれば、Google 広告で地域や距離に基づく入札単価調整の範囲を変えることで効果が見込めます。
2.チャネル毎の来店率
どのチャネルからサイト訪問したときに実店舗への訪問に繋がりやすいのか、チャネルレポートを利用して定期的に確認することも必要です。Google検索であれば、キーワードと来店率の関連性を調べることも可能になります。実店舗を持つECサイトであれば、ショッピング広告による実店舗への来店(または購入)を後押ししている、実際の商品を特定することもできます。
可能であれば、デバイス毎の結果も確認しましょう。ローカル検索ではPC・モバイル・タブレットによって表示形式が異なり、iOS・Androidでも表示される内容は変わるため、様々な要素を考慮する必要があります。
3.期間限定のプロモーションなど
休眠ユーザーや期間限定のプロモーションを実施した場合、これまではオンライン上の結果しか確認できませんでしたが、来店レポートの登場により、来店への影響を前後比較で見ることができます。ディスプレイ広告で休眠ユーザーへの広告配信に効果があるのかを把握することも可能です。
「新規とリピーター」で確認したければGoogle 広告の管理画面から
「来店レポート」はGoogleシグナルによるデータ収集であり、2019年1月時点でβ版の機能であるため、アドバンスセグメントが適用できなかったり、指定できるディメンションに制限があります。例えば、新規ユーザーとリピーターの比較などはできません。
その場合、Google 広告の来店コンバージョンの「新規とリピーター」から確認してみましょう。「新規とリピーター」はGoogle 広告の管理画面の「分割 > コンバージョン > 新規顧客とリピーター」から設定することができ、[実店舗への来店] [来店値] [来店値/値] といった指標を確認します。Google 広告の「新規とリピーター」に関しては以下のヘルプをご覧ください。
実用段階にある店舗誘導施策
今回は、GoogleアナリティクスのStore Visits in Analytics(来店レポート)を中心にお伝えしました。GoogleアナリティクスだけでなくGoogle 広告やGoogleマイビジネスに関する知見もあると、店舗誘導施策の幅が広がってくるのではないでしょうか。
Google 広告では、広告主によってはオンライン/オフラインの垣根を越えた「統合KPI」を設計するケースも増えてきており、店舗誘導施策は黎明期を抜け出して実用フェーズに入ってきています。今回ご紹介した「来店レポート」やGoogleマイビジネス・Google 広告など、来店に関するデータを様々な視点から分析してみましょう。