アプリ向け動的リマーケティングがすべての広告主で利用可能に
2017年11月2日(木)、Google は、これまでβ版として提供してきたアプリ向け動的リマーケティングがすべての広告主で正式に利用可能になったことを発表しました。今回のアナウンスによって、動的リマーケティング広告の誘導先をアプリのディープリンクに設定することが可能となり、アプリ面の行動履歴に基いてアプリ面に動的リマーケティング広告を配信することが可能となります。
設定の手順
1. ディープリンクの設定
Google マーチャントセンターやAdWords の管理画面のビジネスデータから登録するフィードの最終URL にアプリのディープリンクを設定します。この設定により、広告主のアプリをインストール済みのユーザーが動的リマーケティング広告をクリックした場合、アプリに誘導されるようになります。
2. アプリ用のリマーケティングとコンバージョントラッキングの設定
下記のいずれかの方法でアプリ用のリマーケティングとコンバージョントラッキングを設定します。
・サードパーティー製SDK
・Firebase 向け Google アナリティクス
・Server-to-Server
3. キャンペーンの作成
既存の動的リマーケティングキャンペーンがある場合、前述の1,2の設定を既存のキャンペーンに設定することでそのままアプリ向け動的リマーケティングを配信することが可能になります。そうでない場合には新たにアプリ向け動的リマーケティング用のキャンペーンを作成する必要があります。
mWeb-mApp間での商品閲覧履歴の分断
動的リマーケティングはcookie に商品の閲覧履歴を保存しているため、ウェブ上(≒同一ブラウザ上)の商品閲覧履歴に基づいてウェブ面で動的にクリエイティブを生成することは可能でしたが、異なるブラウザ・デバイス間や、ウェブ面とアプリ面(以下mWeb, mApp)のように、cookie が異なるケースでは商品閲覧履歴を引き継ぐことができないため、ウェブ上での商品閲覧履歴に基づいてアプリ面で動的に広告を生成する、といったことができませんでした。
mWebとmApp間で商品の閲覧履歴情報を相互に共有するためには、ユーザーの会員情報やメールアドレスなどのCRM-ID をSDKとリマーケティングタグの双方にインプットして異なるデータをつなぐことが必要となります。今回のInside AdWords の記事では「Wish」というECサイトの”アンドロイドアプリ”で閲覧したスマホケースを、ウェブとアプリ面の両方で広告クリエイティブに使用して訴求できるとあります。
With Google’s new Dynamic Remarketing for Apps solution Wish can reach Dan with an ad for the phone case he liked and other recommendations while he browses on the 3 million sites and apps on the Google Display Network.
上記の記事を読む限りでは、Google アカウントなどのログイン情報を用いて異なるデバイス間、mWeb-mApp 間で商品閲覧情報を引き継いでいるようにも受け取れますが、2017年11月時点では商品閲覧情報を引き継げるのは下記の場合のみとなっています。
1. ウェブの商品閲覧履歴に基いてアプリ面に広告を配信 → 部分的に可能
2. アプリの商品閲覧履歴に基いてウェブ面に広告を配信 → 現在のところ不可
3. アプリ面の商品閲覧履歴に基いてアプリ面に広告を配信 → 今回から可能に
商品の閲覧履歴情報が異なるデバイス間やmWeb-mApp 間で引き継げない場合にはAdWords のレコメンドエンジンが最適と思われる商品を選んで広告が配信されます。商品閲覧履歴情報に基いて広告が表示される場合とそうでない場合にはクリック率やコンバージョン率に差が出る場合がありますので、細かいですが上述の項目を念のため頭の片隅に入れておくことをお奨めいたします。
Google の方向性としては、ユニバーサルアプリキャンペーンやスマートディスプレイキャンペーンのように、デバイス、ネットワーク間を意識せずに広告が配信できるようにしていく流れにありますので、これらの分断もいずれ何らかの方法で解決することと思います。アプリをお持ちの方はぜひこの機会にアプリ向け動的リマーケティングをお試しください!