ディスプレイ広告の入札、ターゲット設定、広告作成を全自動化
2017年4月20日(木)、 Google は、AdWords のディスプレイ広告キャンペーンにおいて、入札、ターゲット設定、広告作成を自動で行う「スマートディスプレイキャンペーン」をすべての広告主が利用できるようになることを発表しました。
参照:
スマートディスプレイキャンペーンでは、Google の持つ豊富なデータと機械学習の技術を活用して、主に下記の3点が可能になります。
1. 広告の自動作成
下図のように、広告見出し、広告文、画像、ロゴなど、管理画面に入稿した「アセット」を組み合わせて、Google ディスプレイネットワーク(以下GDN)上のほぼすべての広告枠のサイズに合う広告を生成し、レイアウトを自動的に調整します。
この機能は、すでにローンチされていたレスポンシブ広告の発展系とも言えそうです。今後、ますますデバイスの形やサイズが多様化していくことを踏まえると、すべてのサイズのクリエイティブを手作業で生成することはきわめて困難であり、現実的ではありません。
この機能は、入稿したデータをフィード化してあらゆるサイズの広告を自動生成するという意味で、クリエイティブの作成もデータフィードの世界に突入したと捉えることもでき、今後のディスプレイ広告の方向性を示す、重要なアップデートだと言えると思います。
2. 入札の自動化
スマートディスプレイキャンペーンでは目標コンバージョン単価が適用され、過去の掲載結果に応じてコンバージョン獲得の可能性が高い場合は入札単価が引き上げられ、コンバージョン獲得の可能性が低い場合は自動で入札単価が大幅に引き下げられます。必要な学習期間が終わり、2週間が経過するか、またはコンバージョンが50件に達した時点でキャンペーンの最適化が開始されます。
通常のディスプレイキャンペーンでは、ウェブサイトのプレースメントや、ユーザーの年齢、性別、関心や、デバイス、位置など、様々なシグナルに基づいて入札を調整することができますが、これらを人の手で個別に設定することはきわめて困難です。
参考:
統計的に十分なコンバージョンボリュームがあるディスプレイキャンペーンでは、自動入札を積極的に活用していくことがベストプラクティスとなっているため、スマートディスプレイキャンペーンでは敢えて個別に単価設定を使用することができないようになっていることも注目すべき点ではないかと思います。
3. ターゲティングの自動化
2017年1月から2017年の春にかけて、ターゲティング方法が設定されていないディスプレイ広告グループや動画広告グループでも、GDN とYouTube 上で広告が掲載されるような仕様変更が行われていました。
参考:
スマートディスプレイキャンペーンでは、ターゲティングを設定する必要がなく、主に下記の2つの方法によって自動的に設定が行われます。
3-1. 自動リマーケティング
広告主のウェブサイトを訪れたことがあるユーザーに自動的に広告を配信します。すでに他のキャンペーンでリマーケティングを使用している場合はスマートディスプレイキャンペーンが既存のリマーケティングキャンペーンに影響を与えることはありません。
3-2. 購買プロセスの初期段階にいるユーザーへの自動ターゲティング
例えば、「炭酸水」のキャンペーンのターゲットを設定をする場合、通常であれば、キーワードとして「事務用品」を追加しようとは考えませんが、スマートディスプレイキャンペーンでは、「事務用品」と「炭酸水」の販売に強い関連性があるとわかった場合、このキーワードが自動的にターゲットとして設定され、広告配信が行われます。
今後のディスプレイ広告の運用の基本形のひとつに
以前からGoogle は動的検索広告(DSA)やレスポンシブ広告、スマート自動入札などの運用の自動化に力を入れてきましたが、今回のスマートディスプレイキャンペーンはそれら自動化の集大成であるとともに、次世代のディスプレイ広告の運用を定義づける新たな始まりのようにも感じられます。
将来的に、適切な広告のアセットと、目標コンバージョン単価を設定するだけで、検索連動型広告・GDN・YouTube を横断して広告が配信されていくような世界がすぐそこまで迫ってきているように思います。いち早くスマートディスプレイキャンペーン試し、新しい運用スタイルに馴れ親しんでおくことをお奨めします!
なお、このスマートディスプレイキャンペーンを利用するには、過去30日間にGDN で 50 回以上(または検索ネットワークで100 回以上)のコンバージョンを獲得している必要がありますのでご注意ください。
参考: