API を活用した検索連動型広告の自動化の仕組み

API を活用した検索連動型広告の自動化の仕組み

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インハウスだからこそできる取り組み

ここ数年、検索連動型広告をはじめとする運用型広告の運用をインハウス化するケースが増えてきたように思います。インハウス化は、社内に運用型広告に関する知見を蓄積できるのはもちろんのこと、セールや在庫数・利益率の変動などを素早く運用に反映させることができるという意味でも大きなメリットです。

 

黎明期からインハウスの広告運用が進んでいた米国では、商圏規模や商品点数が多い小売・旅行・不動産業界の広告主を中心に、商品マスターデータと連動した検索連動型広告の自動化システムを開発している広告主も多く、入稿、入札、キーワード追加など様々な作業をフル自動化している広告主もけして珍しくありません。

 

もちろん、すべての広告主がインハウスや自動化を目指す必要はありませんが、こうした企業の自動化の仕組みを知ることで、日々の工数削減につながるヒントが見つけられるかもしれません。米国の事例を踏まえつつ、API を活用した検索連動型広告の自動化について、シリーズ形式でご紹介してみたいと思います。

 

検索連動型広告の自動化の仕組み全体図

入札の自動化、キーワード生成の自動化、広告の自動化、レポート自動化など、自動化が可能な分野は様々あり、業種によっても違いがありますが、これらすべてを乱暴に1枚の絵にまとめると、下のような図に表すことができます。

 

 

自動化の仕組みは大きく分けて下記の5つの要素から成り立っています。

 

①ファーストパーティーデータ
②広告データベース
③広告メディア
④ダッシュボード
⑤管理ツール

 

これらの5つの要素を使って、主に下記3点の自動化を実現します。

 

1. キーワード・広告文の生成と入稿の自動化
2. レポーティングの自動化
3. 入札の自動化

 

それでは具体的にそれぞれのパートを見ていきましょう。

 

1. キーワード・広告文の生成と入稿の自動化

まず最初に、ウェブサイトを生成する際に使用している商品マスターデータの「商品名」や「説明文」を使って、「キーワード」や「広告文」などに自動で生成する仕組みを作ります。(図の赤枠部分)

 

図:キーワード・広告文の生成と入稿の自動化部分

 

具体的な例があったほうがわかりやすいので、「Playstation 4」を販売しているECサイトを例に説明してみたいと思います。

 

基本的には1つの商品(URL)に対して1つの広告グループを作成します。そのためにまず、商品ID と広告グループID を下図のように紐づけ、キーワードや広告文に商品マスターデータのデータを当てはめていくようなルールを構築していきます。

 

図:商品マスターデータを使った広告グループの自動生成例

 

キーワードは商品名をそのまま使用し、マッチタイプは必ず完全一致と絞り込み部分一致を登録する、といったようにあらかじめ入稿のルールを決めてしまいます。

 

広告に関しては、キーワードの挿入機能を使用し、どの広告グループにも使えるテンプレートを用意しておきます(図の黒文字部分)。そのうえで、「見出し1(半角30文字)に商品名を含める」(図の青字部分)であったり、「広告文に商品マスターデータの説明文を使用する」(図のオレンジ字部分)といったルールを作り、各広告グループの広告文の中に商品名や説明文を当てはめていきます。

 

 

このようにして作成したデータを「?広告データベース: 設定系データベース」に格納し、API を通じてAdWords などの「?広告メディア」に入稿する、というのが広告配信までの大枠の流れになります。

 

2. レポーティングの自動化

広告を配信したら、今度は配信結果レポートを「?広告メディア」からAPI を通じて抽出し、「?広告データベース:レポート系データベース」に格納します。その格納したデータは「?ダッシュボード」ツールを通じてビジュアライズされます。(図の赤枠の部分)

 

図:レポーティングの自動化の部分

 

企業によっては「?広告データベース」(B:レポート系データベース)に蓄積した配信レポートを機械学習にかけ、自動入札のアルゴリズムを開発するための教師データとして使用するケースもあります。

 

もちろん自動入札機能はAdWords などのプラットフォーム側の機能の方がオークション単位で入札することができるという意味でAPI を利用した自動入札より高性能ですが、セールによる急激なコンバージョン率の変化や、在庫数の変動など、ファーストパーティーデータにまつわるシグナルを利用して入札を行いたい場合は自社で開発したほうがROI を目標値に合わせやすい、といったケースも十分考えられます。

 

3. 入札の自動化

運用者はダッシュボードでビジュアライズ化されたデータを見ながら、「?管理ツール」を使って自動入札の目標CPA や目標ROAS の管理を行っていきます。(図の赤枠部分)

 

図:入札の自動化と管理に関する部分

 

この「①管理ツール」は基本的にはDoubleClick Search やMarin Software などのツールに近いものとイメージしていただければ理解しやすいかと思います。入札の他にも広告文のテンプレートの編集などもこのツールを通じて行います。

 

自動化が進んだ環境では、運用に関わる作業は基本的には新規のキーワードの追加や、自動入札の目標値の設定や予算管理などのシンプルな作業が中心となり、新たなオポチュニティがどこにあるのか探すことが主な業務になります。

 

運用者は大部分の手作業から解放されますので、その分を戦略などを考える時間に充てることができるようになります。データ分析スキルがより重要になってきますので、SQL などのデータベース言語を習得しておくと分析が格段に容易になるでしょう。

 

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以上がAPI を活用した検索連動型広告の自動化の仕組みでしたが、イメージ掴めましたでしょうか? 今回は概念のご紹介でしたので、具体的な例を想像しにくいところもあったかと思います。

 

次回以降は、旅行業界・EC業界など、業界に特化した事例を中心にご紹介してまいりますので、引き続きお付き合いいただければ幸いです。

 

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