自動入札の改善
2016年2月12日、Google は AdWords の入札戦略設定に幾つかの改良を加え、今後数週間以内に名称変更を含めた変更を行うと発表しました。
リンク:Revamped workflow makes it easier to set up automated bidding (Google+)
これにより、これまでのAdWords内の共有ライブラリから設定していた入札戦略は、以下のように変わります。
(1)共有ライブラリ内の「入札戦略」が「ポートフォリオ戦略」へ名称変更
(2)共有ライブラリを経由することなく、キャンペーン設定から直接(ポートフォリオ)入札戦略を作成および追加変更が可能
(3)「コンバージョンオプティマイザー」という名称は、今回の変更に合わせ「目標コンバージョン単価」へ統一
(4)今後、「目標コンバージョン単価」は広告グループ別に異なるCPAを設定可能になる予定
改善の背景
Googleは、ここ数年以前にも増して入札の自動化を強く推し進めています。背景には、マルチデバイスを始めとした多くのデータを取り込んで学習を続けたことでコンバージョン推定の精度が向上していることや、広告主やパブリッシャー、胴元であるGoogle自体の収益性を引き上げるために、手動による入札設定不備が原因でコンバージョンに繋がるオークション機会が損失しないような取り組みが求められていることが挙げられるでしょう。
そのために、自動入札の使いやすさや広告主体験の向上は至上命題であるため、共有ライブラリの利用有無で取得できる情報が違っていた現在の設定方法を見直す必要があったのだと思われます。
以前、「AdWordsの共有ライブラリ「入札戦略」レポートが刷新」という記事でも取り上げているように、これまでは共有ライブラリから「入札戦略」を作成し、それを各キャンペーンに適用させないとステータスレポートが取得できませんでしたが、今後はキャンペーン設定内の入札戦略でも、以下のような画面から入札戦略(ポートフォリオ戦略)の追加変更が可能になるため、入札戦略の設定自体がシームレスになります。
設定と言葉の使い方を合わせるため、これまでキャンペーンの入札設定の場合は「コンバージョンオプティマイザー」、入札戦略の場合は「目標コンバージョン単価」と呼称が違っていたものを、今回「目標コンバージョン単価」に統一しています。
広告グループ別の目標CPAで利用が広がるか
今回で一番インパクトのある変更は、「広告グループ別の目標CPAが可能になる」ということだと思います。
リリースの原文には、
we’re enhancing the portfolio version of Target CPA bidding to allow you to set different CPA goals for individual ad groups.
とあるため、2016年2月15日時点ではいつから実施可能になるかは不明ですが、広告グループ別に設定が可能になれば、コンバージョンオプティマイザーを設定する際の障壁の一つだった「キャンペーン内の各広告グループで目標とするCPAが違う」という多くのアカウントに起こりうる問題を回避することができます。
これまでは、自動入札で目標CPAを変えるためには、(入札戦略自体がキャンペーンごとの設定のため)どうしてもキャンペーンを切り分ける必要がありました。ただ、これを行うと「コンバージョン単価を目標に早く合わせるためには多くの”量”が必要 ※」というセオリーと矛盾するアカウント構成になってしまう可能性があるため、どうしてもコンバージョンオプティマイザーの実装に二の足を踏んでいる方が多かったのではないかと考えられます。
※「AdWordsの自動入札をちゃんと理解するために:オフィシャル解説書「Setting Smarter Search Bids」を読み込んでみた」を参照
今回の発表が実装されることで、理論上は、様々なビジネス目標があるアカウントでも、構成自体をグッとシンプルにまとめ、キャンペーン数を減らしながら自動入札を実施することが可能になります。AdWordsの自動入札の利用が一層進んでいくきっかけになるかもしれませんね。
— 2016年2月16日 追記 —
広告グループごとの入札戦略の設定ですが、現在も広告グループタブの「入札戦略」ボタンから個別に設定することができます。
おそらく、今回のリリースで、
we’re enhancing the portfolio version of Target CPA bidding to allow you to set different CPA goals for individual ad groups.
と「まだまだ良くなっていく途中」という表現になっているのは、これまでのキャンペーン/広告グループタブからの設定ではなく、よりシームレスな設定が可能になることを示唆していると思います。
※ご指摘頂いた方、ありがとうございました!