Criteo、「コマース・グリッド」の日本での提供開始を発表
Criteoは、2024年10月16日、コマースに特化したサプライサイド・プラットフォーム(SSP)である「コマース・グリッド」を発表しました。「コマース・グリッド」は、広告主や代理店を含むデマンドサイド、そしてパブリッシャーやリテールメディアを展開する小売を含むサプライサイドの双方を結び、コマースデータを活用したプログラマティック広告を可能にするものです。
※参考リンク:
Criteo コマース・グリッドとは?
まず、複数あるCriteoのデマンドサイド、サプライサイドのプロダクトの名称も最近更新しているようなので、その点から整理したいと思います。
従来からのリターゲティングの中心とした、新規獲得・顧客維持に特化したDSPを「コマース・グロース」
リテールメディアに特化したDSPを「コマース・マックス」
リテールメディアに特化したSSPを含むソリューション・スイートを「コマース・イールド」
そして、今回発表された、コマースに特化したSSPを「コマース・グリッド」
としています。
コマース・グリッドの最大の特長は、広告主や広告代理店がCriteoの豊富なコマースデータ(商品の購買や取引に関わるデータ)を60社以上あるサードパーティDSPからも活用できる点です。広告主や広告代理店は、数十億件のリアルタイムのコマースシグナルを分析するCriteoのAIを基に構築されたオーディエンスをターゲティングし、さまざまなチャネル、デバイス、およびショッピングジャーニーの全ての段階にわたって潜在顧客を取り込むことができるようになります。
逆に、パブリッシャーはCriteoのDSPであるコマース・グロースを含め、コマース・グリッド経由でサードパーティDSPから広くデマンドを獲得することが可能となり、収益を最大化することができます。
コマース・グリッドはこれに加え、SSPとしての主要機能やSPOコントロールの他に、「コマースデマンド」「コマースオーディエンス」「コマースエクスペリエンス」という3つの特長があります。
「コマース・デマンド」は、Criteoのコマース・メディア・プラットフォームに出稿している1万8,000以上のブランド、小売業者、代理店からの広告需要に優先的にアクセスできます。他のSSPと比較してテイクレートは最大30%低いのも特長です。海外事例では、パブリッシャーは、高い勝率でCriteoのコマースに特化したデマンドを安定した価格帯で獲得しています。パブリッシャーは、Criteoのコマースに特化したデマンドで平均30~50%高いCPMを獲得しています。
「コマースオーディエンス」は、約1兆ドルに及ぶCriteoの顧客の年間総売上、取り扱うプロダクトSKU数は約40億、購買シグナルは120以上という膨大な購買や取引の豊富なコマースデータから得られる各種シグナルやオーディエンスデータに、 CriteoのAIを掛け合わせることで、優良顧客を発掘するものです。特定の商品やサービスに興味がある新しいユーザーを開拓できる「アフィニティ・オーディエンス」、特定の商品を購買しようとしているインマーケットなユーザーを特定できる「インマーケット・オーディエンス」でキャンペーンの目的に応じた使い分けも可能です。
また、自社のインベントリーをそのままサプライとして、またはファースト、サードパーティ、コマースオーディエンスのデータと一緒に、ディールID内にパッケージ化することが可能です。バイサイドの広告主、広告代理店は、好みのDSPを通じて、直接買い付けが可能です。
「コマースエクスペリエンス」は、ショッパブル(即購入可能)な広告ユニット・フォーマットと、コンテクスチュアル・シグナルを活用することで、AIがユーザー毎に最適化されたSKUレベルのコンテクスチュアル・コマース・ウィジェットを埋め込むことが可能です(2024年10月16日時点では日本での提供は未定)。
さらには、「キュレーションデマンド」という機能で、小売業者、データ会社、独立系トレーディングデスク、その他のメディア企業といった60以上のキュレーターパートナーが、取引にデータをパッケージ化し、サプライを充実させ、バイヤーはどのDSPを通じてでも買い付けることができます。
Criteo日本代表取締役グレース・フロム(Grace Fromm)氏は次のように述べています:
『コマース・グリッド』は、Criteoの変革の過程における節目となる製品であり、当社のクライアントがコマースメディアという新たな機会を捉えて活かすことを可能にします。パブリッシャーはコマースメディアの機会そのものは認識しているものの、コマースの予算獲得やバイヤーにつながる明確な道筋を把握するのに苦労されています。当社は『コマース・グリッド』の提供を通じ、パブリッシャーをコマースの需要や機会に直接結び付けるだけでなく、広告主や代理店に、求めているセグメントへのリーチを、好みのデマンドプラットフォームを通じて、プレミアムな広告のサプライと組み合わせる形で提供します
今回の発表についてのコメント
コマース・グリッドはCriteoにとって、かなり野心的なプロダクトだと思われます。SSPとしては後発になりますが、パブリッシャーの収益化が苦境を迎える中、Criteoの豊富なコマースデータとAI機能を活用することで、マネタイズ改善を図れる点はパブリッシャーにとって十分魅力のあるものと考えられます。DSPとして見たCriteoは、サードパーティDSPとの競合が発生するわけですが、機能面で勝てる自信があるからでしょうし、他のDSPからのデマンドを獲得し、サプライサイドからの収益増加を図った点では興味深いですし、どのような結果になるのか楽しみです。日本におけるDSP活用の幅が広がった点でも今後の発展が見逃せないです。