インテント マッチ:部分一致の変遷に思うこと

インテントマッチ:部分一致の変遷に思うこと

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インテント マッチが電撃的に発表

2024年7月、Googleは、Google広告における部分一致の名称を「インテント マッチ」に変更したことを発表しました。突然の発表に驚いた業界関係者も多かったと思います。変更の意図や背景は以下のグーグルの担当者が執筆したブログに詳細に書かれているので読むことをお勧めしますが、今回の変更に至るまでの変遷や、変更について思うことについて書き残しておこうと思います。

※参考リンク:

 

部分一致は開始当初は嫌われていた

検索連動型広告の世界では、最初から部分一致があったわけではなく、発展的に追加されたものだと記憶しています。Google AdWords(現Google広告)とオーバーチュア スポンサードサーチ(現Yahoo!広告 検索広告)では完全一致のみでサービスが開始され、2003年頃に部分一致が追加されました。

当時の部分一致は、その名の通りの機能で、トークンの順序が異なるクエリの場合でもマッチングするというものでした。トークンとは自然言語処理の分野で使われる用語で、テキストを意味のある最小単位に分けることを指します。例としては、「メンズ バッグ おしゃれ」が入稿したキーワード/キーフレーズとすると、「おしゃれ メンズ バッグ」でもマッチングしてくれるというイメージです。

私はオーバーチュアに在籍していたのですが、「スポンサードサーチにも部分一致が導入されました」と当時、販売をしてもらっていた認定広告代理店に伝えたところ、特に大手の総合代理店の担当者から軒並み怒鳴られた記憶があります。「入稿していないものにお金が払えるか!クライアントに説明できない!」と。これに対してどう説明したかは記憶が定かではありませんが、最初の頃は戸惑いを持って受け入れられた感じでした。

プラットフォーム側の視点としては、サービス開始当初はカバレッジの問題が大きかったというのが部分一致導入の背景にあります。カバレッジについてはこちらの記事を参照ください。

※参考リンク:

カバレッジは、簡単に言うと、クエリに対して広告がついている率のことを言います。検索クエリがいくら多くても、または広告が出てからのクリック率やクリック単価が高くても、広告が表示されない限りは意味がないので、売上機会を作る(「売上の土俵にまず乗るためにはカバレッジ増」とよく話していました)ことが最重要事項であり、そのKPIがカバレッジでした。

サービス開始当初の2000年初頭はスマホが人々に行き渡る前で、インターネットはまだ一部のパソコンユーザーしか使っていませんでした。かつ、検索慣れをしていない頃です。クエリ分布を見ても、短いトークンの単一ワードでのシンプルなクエリが多かったため、完全一致だけでよかったのですが、やはり人間、慣れてくるといろいろな検索パターンを試します。その機会を逃さないためにも部分一致は有効でした。

 

制御しづらいものから名は体を表す形へ

部分一致が導入された頃は、その名の通りの動きをしてくれるものとして普及していったのですが、その後の改変で、トークン順序を変更するだけでなく、周辺のクエリをも拾うようになってから、雲行きが怪しくなってきます。広がり具合が精度が高くなく、制御しづらかったということもありますが、除外設定にかかる運用の負荷もネガティブに捉えられる要因として大きかったと思います。

ところで英語で部分一致は”Broad Match”です。Broadは「広い、広大な、多様な」という意味なので、日本語名称の部分一致よりは、違和感はあまりなかったかもしれません。

そして今回、「インテント マッチ」で、より名は体を表す形に変更になりました。AIの力も大きく、機能面でも「インテント」をポジティブに捉えることができる、絶妙な塩梅とタイミングでの発表となったと思います。

それに加え、サードパーティCookieの利用制限が今後も高まり、シグナルロスによりユーザーの興味関心像がぼやける中、直接的にユーザーのインテントを理解したり捉えることができる検索広告の強さをより一層アピールすることにつながる印象があります。

このインテント マッチは日本のグーグル発の企画であると聞きます。私も経験がありますが、海外を本拠に置くグローバル企業でプロダクトの根幹に改変を入れるのは相当ハードルが高いものです。これを実際に完遂したわけですから、日本法人の担当者や関係各所の努力に敬服するばかりですし、この考え方が日本からグローバルへ、拡がっていくことを願うばかりです。


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