「Webサイトの分析・アクセス解析をなぜ外部に委託するのか:GA4・アクセス解析に関する調査より【前編】」では内製化の現状、外部への業務の依頼内容、Webサイトの分析頻度について、Google Analytics 4(以下、GA4)の活用における課題を読み解きました。
後編では「ユニバーサルアナリティクスからGA4に移行して得られたメリット、デメリット」や「具体的にGA4のどのデータ(ユーザー属性データやイベントデータなど)を見ているか」などの調査結果について見ていきます。
目次
GA4への移行・設定に必要だったサポートとは
GA4への移行は約6割の人が外部のサポートを受けた
まず「GA4への移行は自社で進めましたか?」という質問に対しては「一部、外部のサポートを受けた」が56.7%で最も高く、「主に外部のサポートを受けた」が7.9%と、6割近い人が外部のサポートを受けたと回答しています。GA4への移行には、専門性の高い計測タグの理解や設定などが必要なため、外部のサポートを受けた人が多いのかもしれません。
GA4では設定のチェック漏れが計測に影響しやすい
また、ユニバーサルアナリティクスと比べると、設定箇所が増えており、設定の抜け漏れがあると計測に影響があるため、設定が合っているかどうかのチェックを外部に依頼しているケースも多いと思います。
例えば、初期設定の必須項目としてよく取り上げられるものに、データの保持期間の変更設定がありますが、必要に応じて保持期間を変更しておかないと「探索レポート(詳細は後述)」で短い期間のデータしか見られない、といったことが発生してしまいます。
約半数の人がGA4移行のメリットと感じている「柔軟なレポート作成」とは
続いて「GA4へ移行したことで感じるメリットを教えてください」という質問に対しては「柔軟なレポート作成」が52.7%で最も高く「ユーザー行動の詳細な追跡」が44.4%、「より良いユーザーセグメンテーション」が35.6%、「データのリアルタイム分析」が14.4%と、半数を超える人が「柔軟なレポート作成」をメリットとして回答していました。
柔軟なレポート作成とは、GA4で登場した「探索レポート」を指していると考えられます。探索レポートとは、ユーザーが自由に作成できるレポート機能のことです。探索レポートにはさまざまな種類があり、表形式だけでなく、ツリー形式でユーザーの行動経路を可視化できるようなものや、ベン図でユーザーごとのセグメントの重複具合を確認できるようなものがあります。
【経路データ探索レポート】ツリー形式でユーザーの行動経路を可視化
【セグメントの重複レポート】ベン図でユーザーごとのセグメントの重複具合を確認可能
既存データとの互換性の問題とは
4割以上の人が「既存のデータとの互換性の問題」をデメリットに感じている
一方で「GA4へ移行したことで感じるデメリット(課題)を教えてください」という質問に対しては「既存のデータとの互換性の問題」が44.0%で最も高く、4割以上の人が「既存のデータとの互換性の問題」をデメリットに感じています。
既存のデータとは主にユニバーサルアナリティクスを指しており、GA4になってから、指標の定義や計測の仕様が変わったことで、一部のデータに互換性がなくなってしまったことが問題とされています。
例えば、代表的なものとしてセッションの定義が変更になりました。
ユニバーサルアナリティクスでのセッションが切れるタイミングは以下でした。
①30分(デフォルト)以上操作しないとき
②流入元が変わったとき
③日をまたいだとき
それに対して、GA4では以下のみセッションが切れます。
①30分(デフォルト)以上操作しないとき
前年比較をしたい場合は事前に計測設定が必要だった
この互換性の問題は、GA4リリース時から懸念されていたことです。例えば、前年比較をしようと思っても、指標の定義が異なるため、ユニバーサルアナリティクスとGA4のデータを比較することはできません。
そのため、前年比較をしたい場合は、ユニバーサルアナリティクスの計測が終了する2023年7月の1年前(2022年7月)までにはGA4の計測設定を行っておく必要がありました(私もそうでしたが、この時期にGA4の設定を進めていた方々は激務でしたよね…)。
GA4と連携しているツールと連携のメリット
約半数の人がGA4と「Google 広告」を連携している
次に「GA4と連携しているツールはなんですか?」と質問したところ「Google 広告」が48.8%で最も高く、「Google Search Console(サーチコンソール)」が42.8%、「BigQuery」が26.2%、「各種ヒートマップツール」が22.7%、「Looker StudioなどのBIツール」が13.7%、「CDPやDMPなどのデータマネジメントツール」が5.0%と、約半数の人が「Google 広告」と連携していると回答しました。
「GA4 × Google 広告」「GA4 × Google Search Console」の連携でできること
Google 広告と連携すると、GA4の一部レポートに、Google 広告の情報が表示されるようになります。また、GA4内だけでなく、Google 広告側でもGA4の情報を利用することができ、GA4のコンバージョン(キーイベント)をGoogle 広告に利用したり、リマーケティングにGA4のオーディエンスデータを利用したりすることができます。
Google Search Consoleと連携することで、Google Search Consoleの一部のデータをGA4のレポートに表示させることができます。
【サーチコンソールレポート】サーチコンソールの一部のデータをGA4のレポートに表示
また、BIツールやBigQueryと連携した際にできることについては、前編で紹介していますので、よろしければそちらもご覧ください。
アクセスデータ解析のために見るべきデータは何か
半数以上の人が見る「ユーザー環境データ」で分かること
「アクセスデータ解析のために具体的にどのようなデータを見ていますか?」という質問に対しては「ユーザー環境データ(ユーザーの使用デバイスやプラットフォーム、ブラウザ、表示している画面の解像度など)」が56.1%と最も高い結果となりました。
ユーザー環境データを参考にすることで、デバイス、解像度に合ったサイトデザインの最適化や、会社のPCで見ているのか、スマートフォンから見ているのか、といったことから、自社の商材(toB、toC)に合ったユーザーが流入しているかなど、サイト利用ユーザーの推測を行うことができます。
マーケティング施策、広告ターゲティングへ活用できるデータとは
また、2番目に多かった回答の「セグメントデータ(新規・既存ユーザー、デモグラフィックなど)」や「集客関連データ(トラフィックソースなど)」を利用することで、マーケティング施策に生かすことが可能です。施策の効果として、新規、既存それぞれの獲得につながっているかを分析でき、デモグラフィックデータを参考に、広告のターゲティングにも活用できます。
9割を超える人が、GA4を用いたプロのサイト分析サービスやコンサルティングサービスの利用を希望
最後に「サイト分析をさらに深められるのであれば、GA4を用いたプロのサイト分析サービスやコンサルティングサービスを利用したいと思いますか?」と質問したところ「とても思う」が43.0%、「やや思う」が51.8%、「あまり思わない」が4.9%、「まったく思わない」が0.3%という結果になりました。「とても思う」(43.0%)と「やや思う」(51.8%)の回答を合わせると94.8%で、9割を超える人がGA4を用いたプロのサイト分析サービスやコンサルティングサービスを利用したいと思っていることが分かりました。
これまでの質問からも、自社サイトの分析をより正確に行うために、設定が合っているかどうかのダブルチェックを外部に依頼しているケースや、第三者視点での「サイトの全体的な課題抽出と改善企画」を依頼しているケースなど、サイト分析サービスやコンサルティングサービスの需要は非常に高まっていることがうかがえます。
まとめ
今回の調査で、半数近い人が、サイト分析や、GA4移行を外部に依頼していることが分かりました。また、9割を超える人が、GA4を用いたプロのサイト分析サービスやコンサルティングサービスを利用したいと思っているのが現状です。GA4の設定支援や導入コンサルティングサービスを利用することで、アクセスデータを正しく計測できる環境を整え、より正確なデータマーケティングを実現できます。
今回「アクセス解析状況に関する調査」を実施した、アタラではGA4の設定支援や導入コンサルティング、BIツールの導入・活用支援を行っています。豊富な支援実績があり、さまざまな業種・組織へのご支援が可能です。課題ベースでのライトな相談など、お気軽にお問い合わせください。