Webサイトの分析・アクセス解析をなぜ外部に委託するのか:GA4・アクセス解析に関する調査より【前編】

Webサイトのアクセス解析ツールとして以前から利用されていたGoogle アナリティクスですが、2023年7月にユニバーサルアナリティクスから、Google アナリティクス 4(以下、GA4)へ移行されました。移行から半年以上たったいま、トラッキングの概念やUIの大幅な変化により「以前より分析がしづらくなった」と感じている人も多いのではないでしょうか。設定面での複雑化から「計測設定が思うように進んでいない」という担当者もいると思います。

そこで、アタラではGA4活用の現状を把握すべく、GA4を使用した経験のある方を対象に「GA4・アクセス解析に関する調査」を実施しました。本調査結果の解説を、前編と後編の二回に分けてお届けします。前編となる今回は、弊社が行っているGA4導入支援での事例を交えて、調査結果からGA4の活用における課題をひもときます。

GA4活用の内製化の現状と、業務の外部委託について

半数近くがサイト分析を外部に委託している

半数近くがサイト分析を外部に委託している

まず「サイトの分析は自社で行っていますか?」という質問に対しては「自社で全て行っている」が53.0%、「一部を外部に委託している」が44.7%、「全て外部に委託している」が2.3%という結果となりました。わずかに「自社で全て行っている」のほうが多い結果となっていますが、それでも半数近くは外部に一部または全てを委託している状態です。特にサイトの分析には、専門性と多くのリソースを確保する必要があるため、人員の確保も難しいのが現状かと考えられます。

なぜサイト全体や集客についての課題抽出・改善企画の依頼が多いのか

次に、サイトの分析は「一部を外部に委託している」と回答した人と「全て外部に委託している」と回答した人を対象とした設問「外部委託先にどのような業務を依頼していますか?」より、実際にどのような業務を外部に委託しているのかを見ていきます。

外部委託先にどのような業務を依頼していますか

外部委託している企業のうち「サイトの全体的な課題抽出と改善企画」を依頼している企業が52.1%となりました。

実際に弊社へのご依頼でも、以下のような相談をいただくことがあります。

  • サイト全体の課題抽出をしてほしい
  • 改善企画を行っているが、エビデンスとなる指標が少なく、正しく計測できるようにしたい
  • 大前提となる認識や方向性がズレていないか不安、意見が欲しい

そのため、回答の意図としては、第三者視点での「サイトの全体的な課題抽出と改善企画」を依頼しているケースが多いのかもしれません。

また、より具体的な業務の依頼内容としては「集客についての課題抽出と改善企画」が43.9%と、次いで多い結果となっています。集客面でのGA4の利用方法としては、どの集客媒体からの流入がサイト内でのエンゲージメントが高いのかを測定したり、アトリビューション分析での集客媒体のコスト配分を最適化したりするなどが挙げられます。ただ、こういった集客分析をするには、UTMパラメータ(*1)の設定が必要です。パラメータには命名規則があるなど、ある程度知見が必要なため、外部へ依頼しているケースもあると考えられます。

*1 UTMパラメータ:Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールで計測を行う際に、ユーザーの流入経路を正しく認識させるため、サイトURLの末尾に付与する文字列のこと

サイト以外のデータとのかけ合わせでより詳しい分析が可能に

また「サイト以外のデータとのかけ合わせでの分析」が10.8%という結果になりました。ここは取り組んでいる企業自体がまだ少ないのかもしれませんが、サイト以外のデータとかけ合わせを行うことで、サイト内での行動だけでなくサイト外での行動も含めた、より詳細なユーザー行動を分析することが可能になります。

例えば、オフラインでのコンバージョン(店舗での購入や来店など)など、サイト内でのコンバージョンが発生しない場合、サイト外でのデータとかけ合わせを行うことで、ユーザーの、その後の行動も加味した分析ができます。他には定期購入など、一度はサイト内で購入が発生するが、それ以降はGA4でのトラッキングができない場合などもあります。

サイト以外のデータとのかけ合わせで分析

こういったかけ合わせでの分析を行うことで「どの集客媒体からオフラインでのコンバージョンが発生したか」「オフラインでコンバージョンしたユーザーはサイト内でどのような経路をたどったのか」を把握することが可能で、集客面での改善や、サイトの導線改善の手がかりになります。

 

サイト分析時に必要なレポーティングの工数を大幅削減するには

71.9%の人が週に数回以上サイト分析を行っている

約72%の人が週に数回以上サイト分析を行っている

続いて、サイト分析の頻度について見ていきます。

サイト分析を「毎日」行っている人が21.7%、「週に数回」が50.2%と、分析に多くのリソースを割いていることが読み取れます。分析の過程でレポーティングといったプロセスが発生するかと思いますが、GA4を活用する場合、主に以下のようなデータの確認方法があります。

①GA4の基本レポートで確認する
②GA4の探索レポートで確認する
③Google スプレッドシートにて、GA4のアドオンを使ってレポーティングを行う
④Looker Studio(*2)などのBIツールにて、GA4コネクタを使ってレポーティングを行う
⑤GA4とBigQuery(*3)を連携し、Rawデータを加工して、さらにBIツールと連携してレポーティングを行う

*2 Looker Studio:さまざまなツール・媒体から取得したデータをもとにしてレポートを作成できるクラウド型の無料BIツール
*3 BigQuery:Google Cloud Platform(GCP)が提供するクラウドベースのデータウェアハウス

これまで弊社が支援したお客さまの事例からは、上記のうち、①②③で分析されている方が多い印象です。④⑤となると、新たに「BIツール」の使い方を習得する必要があったり「BigQuery」を使うためにSQLを覚えるといったことが必要だったりするため、GA4以外でレポーティングを行うとしたらGoogle スプレッドシートという、慣れ親しんだツールにてレポーティングを行っている方が多いのではないかと思います。

BIツールやBigQueryをGA4と連携するメリット

ただ、④⑤のようにBIツールを使うことで、以下のようなメリットが得られます。

BIツールを使うことで得られるメリット

・解釈性の向上
BIツールでは、さまざまなグラフが用意されていて、データをあらゆる切り口から視覚化できるため、課題を発見しやすく、精度の高い次のアクションへとつなげやすくなります。

・集約化、自動化の実現
本来、リソースを費やすべきではない手作業のレポート作成業務を、BIツールを使うことで自動化することができ、大幅にリソースを削減することが可能です。また、削減できたリソースを、その次のアクションの、結果の解釈や施策の立案にまわすことができます。

・共有性の向上
BIツールはデータの自動更新が可能なため、レポートを共有している全ての人が常に最新情報を確認することができます。従来のメールでの共有方法のような、pdfでのエクスポートも可能です。

また、⑤のようにGA4とBigQueryを連携することでも、いくつかメリットがあります。

GA4とBigQueryを連携することで得られるメリット

・長期的なデータの保存
GA4では、データの保存期間が最長で14カ月(探索レポートでのデータが対象)と限られていますが、BigQueryにデータをエクスポートすれば、長期的なデータの保存が可能になります。

・より高度な分析
GA4内のレポートには存在しない指標をカスタムで作成することや、より詳細なユーザーの行動を把握することが可能です。例えば、ユニバーサルアナリティクスでは存在していた「ぺージの価値」といった指標も、BigQueryに蓄積されたデータを加工することで再現可能です。

・外部データとの統合
サイト以外の外部データとの統合を行うことができます。

BIツールやBigQueryをGA4と併用することで、レポーティングにかかる工数を大幅に削減できるだけでなく、より精度の高い分析を行うことが可能になります。

 

まとめ

前編では「GA4活用の内製化の現状」や「外部への業務の依頼内容」「サイトの分析頻度」について、GA4の活用における課題を読み解きました。

GA4への移行で、設定や分析の難易度が増し、多くの企業が外部委託を実施しています。特に全体的な課題抽出と改善企画について、多く依頼が行われている結果となっています。

また、実施している企業は一部ではありますが、サイト以外のデータとのかけ合わせでは、GA4だけの分析にとどまらない、もう一歩先の分析を行うことが可能です。さらなるデータ活用に向けて、本記事で紹介している事例などが参考になれば幸いです。

後編では「GA4に移行して得られたメリット、デメリット」「具体的にGA4のどのデータ(ユーザー属性データやイベントデータなど)を見ているか」などの調査結果を読み解きます。

アタラでは本記事で紹介した「GA4の活用支援」「BIツールの導入支援」を行っています。豊富な支援実績があり、さまざまな業種・組織へのご支援が可能です。課題ベースでのライトな相談など、お気軽にお問い合わせください。

アタラ BIツール導入コンサルティングサービス

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