MAFに聞く: 広告オファーウォール、ポイ活をメディアの新たな収益源に

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表示された広告をユーザーにクリックして閲覧してもらう形式の広告が多い中、ユーザーが会員登録などのアクションを起こすことで報酬を得られる広告があります。ポイ活(ポイント活動)サイトや漫画アプリなどで採用されている「オファーウォール」です。今回は、オファーウォールプラットフォーム「MyChips」をグローバルに展開するイタリアの広告会社「MAF」の木元めぐみさんに、オファーウォールとは何か、MyChipsの特長、導入事例などについて聞きました。

話し手
MAF
Business Development Manager
木元めぐみさん

聞き手
アタラ株式会社
代表取締役CEO
杉原剛

オファーウォール事業を展開するイタリアの広告会社「MAF」

杉原:まずは木元さんの自己紹介をお願いします。

木元:イタリアの広告会社「MAF」で、ビジネスディベロップメント担当として新規事業開拓をしています。現在のミッションは、Webメディア様やアプリメディア様にMAFのオファーウォール「MyChips」を導入していただき、メディア様の収益を最大化することです。

広告やマーケティングに関するキャリアは、広告代理店でのプロジェクトマネジャーから始まり、スペインの編み物キットを販売するECスタートアップで日本事業の立ち上げにも携わりました。その後、オンラインのデザインプラットフォームCanvaを提供しているオーストラリアのデザインテック企業で、マーケティングやパートナーシップ構築を担当していました。

MAF 木元 めぐみさん

杉原:貴社についても教えていただけますか。「MAF」の読み方は「エム・エー・エフ」でよいのでしょうか。

木元:はい「エム・エー・エフ」が正式名称です。MAFはメディアのマネタイズを支援する自社の「オファーウォール開発」とオファーウォールを導入済みの弊社提携メディアを通した広告配信、ゲームパブリッシング事業、自社メディア運営などをしている会社です。さまざまなWebサービスやアプリを支援して、業界をより盛り上げていくために新しいことにも多くチャレンジしています。

もともとは、2012年にアプリ紹介サービス「myAppFree」を開発したところからスタートしました。本社はイタリアです。比較的、規模の小さいアプリパブリッシャーでもサービスを提供し続けられるようにユーザーが興味を持つような方法で紹介することで、多くのパブリッシャーを支援しています。

現在、注力しているのはオファーウォール事業で、プレイミッション広告などの日本にはないオファーウォール技術の開発を中心に行っています。弊社のオファーウォールプラットフォームは、ヨーロッパの厳しいセキュリティ条件もクリアしており、アドフラウドに強いという特徴もあります。今は、海外営業専門チームによる新規海外クライアント獲得、世界各国でのメディアパートナーの開拓と連携を進めているところです。

“ポイ活”をつけられる広告「オファーウォール」とは

杉原:ありがとうございます。そもそもなのですが「オファーウォール」について教えていただけますか。

木元:オファーウォールは、一般的にGoogle 広告やMeta広告のような表示してクリックしてもらう広告とは異なり、ユーザーにゲームをしてもらったり、会員登録を促して実際に登録してもらったりといった、アクションを伴う広告案件を扱っている広告です。

オファーウォール

メディアパートナー様のWebサイトやアプリにあるバナーから、案件一覧が表示されているページへ飛びます。案件一覧が、つまり、案件=オファーが並んでいる壁(ウォール)です。ユーザーはその案件の中から好きな広告を選び、指定されたアクションが完了したタイミングで、ユーザーへポイントやコインが付与され、メディアにも報酬が入ります。

杉原:オファーウォールを利用しているのは、どのようなメディアになりますか。

木元:オファーウォールは、日本ではポイ活サイト(ポイントをためたり、活用したりするためのサイト)や、漫画系アプリで広く活用されています。オファーウォール利用には二つのポイントがありますが、一つ目がこの「ポイ活」です。「オファーウォール」という名前が、なじみがないので「ポイ活をつけられるサービスです」と説明することもありますね。

オファーウォール活用メディア

それ以外にもライブ配信サービス、ゲーム系、ライフスタイルなど幅広いメディアで導入可能です。

杉原:つまり、オファーウォールはリワード広告みたいなものになりますか。

木元:そうですね。オファーウォールはリワード広告の一種であり、アフィリエイト広告の一種でもあります。

杉原:なるほど。では、オファーウォール導入の広告主、メディア側それぞれのメリットを教えてください。

木元:広告主、弊社、メディア媒体、ユーザーの四者全てにメリットを生み出せる仕組みとなっています。

オファーウォールのメリット

広告主様は、オファーウォールに出稿することで、弊社の基準をクリアした国内外の提携メディアを通してユーザーにリーチできます。オファーウォールは、インプレッション課金やクリック課金ではなくインストールしたり、実際にサービスやゲームを利用してもらったり、指定した地点でのアクションが実行された場合のみ費用が発生するため、リスクなく出稿していただくことが可能です。

導入費や運用費などもかからないため、ご興味をお持ちの広告主様にはテスト的に実施していただいています。一度アプリをダウンロードしていただいたところから、プッシュ通知や新規登録オファーなどの施策を行い、展開していく形になります。

杉原:日本では、まだなじみがあまりないですが海外では、どうなのでしょう。

木元:直近、海外でもオファーウォールを含めたリワード広告の予算が増えています。プライバシー保護の動きが、より強化されていく今後は、国内でもニーズがどんどん上がってくるかと予測しています。

杉原:分かりました。メディアにとってのメリットは何ですか。

木元:メディア様にとっては、ユーザーに無料で課金機能を提供できる仕組みの提供と、収益源を増やせることがメリットです。

アプリやWebサービスでの収益化を考えた際に、真っ先に浮かぶのがサービス内での課金やバナー広告、動画広告になると思います。これらの広告と比べてリワード広告では、ユーザーにもポイントやコインなどの報酬が入ることが特徴です。

既存の広告フォーマット

リワード広告は大きく3種類に分けられ、動画を見てポイントがもらえる「動画リワード広告」や、画面遷移時に全画面で表示される「インタースティシャルリワード広告」、そしてユーザーがコインを得るために自らアクセスし、好きな広告を選ぶのが「オファーウォール」です。

新しい広告フォーマット

オファーウォールは、ユーザーが意図しないタイミングで表示されることがないため、ユーザー体験を損なわない形でユーザーに広告を見てもらうことができます。また、広告案件もユーザー自身が好きなものを選ぶので、ポイント獲得が一番の目的で訪れるとしても、気に入ったサービスやアプリを探すという、ちょっとしたゲーム要素があり、ユーザーに楽しんでもらえる設計が可能だと考えています。

杉原:ユーザーに楽しんでもらえる広告は、他にはあまりないですね。

木元:もともと、MAFはアプリ運営から始まった会社で、ゲームのパブリッシングもしているため、イタリアの本社ではゲームが好きなメンバーが多いんです。会社のビジョンとして「ユーザーに広告を煩わしいものではなく、何か面白いものを発見するきっかけにしたい」という思いもあるので、そういった面白みを出すこと、ユーザーに少しでも楽しんでもらえることを常に考えていますね。

現在、オファーウォールは漫画・小説サイトを中心に、ゲームアプリやマッチング系アプリ、ECサービスなどに導入されています。

ポイント活用したロイヤリティマーケティングにも有効

杉原:オファーウォール利用の二つ目のポイントは何でしょうか。

木元:ポイントを使ったロイヤリティマーケティングに活用していただけることです。オファーウォールを導入していただく企業様の中には、収益目的よりも、ユーザーに長く自社アプリ内にとどまってもらうこと、毎日、訪れてくれるような、習慣作りのきっかけとして活用してくださっている企業様もいらっしゃいます。

マーケティングファネルの中で、以前は「認知>興味・関心>検討・比較>購入・申し込み」と、顧客になってもらうまでのジャーニーに重きが置かれていたと思うのですが、最近では、その後の「継続>共有・紹介>気に入ってもらい発信してもらう」といった部分が、以前よりも重要視されてきていると感じます。そういったロイヤリティマーケティングのフェーズで、ポイントを活用した継続率のアップやエンゲージメント向上にも役立てていただいています。

現代の忙しい生活様式の中で、いかにユーザーの皆様に自社サービスに時間を取ってもらえるかは、多くの企業様にとって課題とされている部分かと感じています。

MyChipsは時間軸で報酬が得られる「プレイミッション広告」が特長

杉原:では、貴社のオファーウォール「MyChips」の特長を教えてください。

木元:特長は大きく二つあります。一つ目は、MAFがヨーロッパに本社があるグローバル企業であることから、海外の広告主様とメディア様両方でグローバルネットワークがあることです。グローバル展開を目指されている広告主様であれば、海外にも掲載メディアを増やすことで海外顧客の獲得につながります。メディア様にとっては高単価な海外案件で、より高い収益化を目指すことができます。MAFが特に強いのは、アメリカやカナダ、ドイツ、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどのヨーロッパ、アジアでは韓国と日本です。

二つ目が「プレイミッション広告」です。

杉原:プレイミッション広告というのは初めて聞きました。

木元:プレイミッション広告は、他社にはない時間軸などを基準にした広告商品です。オファーウォールでは、単一の深い成果地点を設けて高報酬を設定する「ロングCPEリワード」や、複数の成果地点を設けることで各段階でユーザーが報酬を得やすく、最後までたどりつきやすい「マルチCPEリワード広告」などが一般的です。それらに加えて、遊んだらすぐに報酬がもらえたり、毎日ログインすることや長い時間遊ぶほど報酬がもらえる「プレイミッション広告」という仕組みを開発しています。

Mychipsの広告タイプと成果条件

プレイミッション広告によって、成果地点が高いと諦めてしまうユーザーの離脱を防ぐことや、せっかく挑戦したのに全くコインがもらえない、ということがなく、ライトユーザーの方へ「成功体験」を提供することができます。

杉原:なるほど、長く滞在するだけでユーザーが報酬を得る、という成功体験ができるわけですね。

木元:最初に小さな成功体験をしたユーザーは、その後も継続して取り組んでくれる確率が上がるのですが、プレイミッション広告ユーザーのオファーウォール継続率は、その他と比べて開始から30日間ずっと高い傾向が出ており、30日後には7倍ほどの差が出ています。

杉原:ただ、CPEリワード広告の方が主流なのでしょうか。

木元:日本では、多くのユーザーが慣れ親しんでいるマルチCPEリワード広告が主流ですが、アメリカなどMAFが配信している他のマーケットでは、プレイミッション広告が広く受け入れられており案件数も増加しています。今後、日本でも、プレイミッション広告の案件を拡充していく予定です。

杉原:ユーザーにはポイントの蓄積状況なども気になるところかと思いますが、ポイントがどれくらいたまっているかなどは、確認できるのですか。

木元:プレイミッション広告やCPEリワード広告で獲得したポイントや、今自分が実施している案件は、MyChipsのオファーウォールページから確認することが可能です。

ポイント獲得イメージ

MyChips導入で、ポイ活サイトで10カ月でUU数137%増、半年で売上4倍も

杉原:MyChipsの導入事例について教えていただけますか。

木元:メディア様の事例としては、日本のポイ活サイトの大手「モッピー」や「ポイントインカム」などで導入していただいております。どちらのメディア様も、すでに多くの会員を抱えていたこともあり、初月から導入企業様の予想を超える売り上げを出し、その後も着実に成長し続けています。

ポイントインカムでは10カ月でUU数137%増、モッピーでは導入後わずか半年で売上が4倍になりました。

ポイントインカム

広告主側では、最近、日本進出に力を入れている「Revolut」という金融アプリがあります。MyChipsを活用したマーケティングキャンペーンを5カ国からスタートして21カ国へ拡大し、トラフィックは17倍に増加、新規の利用ユーザー数は12倍に伸ばすことができました。

Revolut

杉原:運用はセルフで行うのでしょうか。

木元:運用はMAFにお任せいただいています。MAF独自の分析ツールを用いたオートメーションと、日本人の専門スタッフによる「システム×人力」で最適化しています。独自のアルゴリズムで収益率やCPMなどの指標をもとに、メディア様にあった案件をリアルタイムで自動掲載・順番の入れ替えを行っています。

オファーウォールの導入前は手動で1件ずつアフィリエイト案件を掲載していたメディア様からは、オファーウォールの導入により運営の手間が大幅に削減した、とのコメントもいただいております。

アタラ 杉原

グローバル展開を見据えた日本メディアへの導入促進へ

杉原:今後の展望を教えてください。

木元:機能面については、オファーウォール特化企業ならではの開発を進めていきます。ユーザーとメディア両方にメリットがあり、他のマネタイズツールとは違う、画期的な機能やシステムの開発を目指しています。

最近、Chipsチケットという、ダブル報酬が手に入るシステムを始めました。今後は、ポイントシステムのないメディアの方にも使っていただけるよう、MyChips上でAmazonギフト券などの金券に変えられる仕組みも開発しています。

杉原:ポイントシステムのないメディアには、とても便利ですね。

木元:そうですね。単純にバナーを足すだけで始められますので。営業面では、グローバル企業の強みを生かして日本のお客さまに導入を進めたい、と思っています。海外のサービスを引き続き日本人ユーザーに届けること、また、グローバル展開を目指す日本メディアへ海外ユーザーのマネタイズを実現するための支援をしていきます。

例えば、ECショップを運営されている方で、日本語サイトに加えて外国人の顧客を対象にした英語サイトを運営している場合、これまでであれば英語サイトには英語のオファーウォールが提供できる業者、日本語サイトには日本語のオファーウォールが提供できる会社に依頼しなければいけませんでした。しかし、MyChipsであれば、同じマネタイズツールで、日本のユーザーも海外ユーザーも収益化することが可能です。

杉原:海外通貨にも対応しているのですか。

木元:はい。オファーウォールは英語、日本語に対応しています。またドル、円、ユーロ、ポンドなど海外通貨の対応もしているので、海外展開しやすくなっています。今後は、韓国のウォンも追加予定です。

杉原:なるほど。では、どんなメディアに使ってほしいですか。

木元:収益を今より向上させたいアプリやメディアオーナーの方や、新しいキャッシュポイントを模索している企業様、ユーザーのリテンション率を上げたい企業様、ポイント制やコイン制は導入していないけど検討したい企業様の支援をしていきたいと考えています。

ジャンルによって相性はありますが、導入費も維持費も一切かかりませんので、まずはお気軽にご相談いただきたいですね。

※問い合わせ先
https://maf.ad/ja/contact-us/

杉原:ありがとうございました。


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