オーリーズに聞く:施策を横断的に商談まで俯瞰するBtoB特化型広告運用代行サービス

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BtoB企業のマーケティング目標の一つである商談に向けて、マーケティング戦略の立案から実行までを一貫して担うオーリーズの「BtoB特化型広告運用代行サービス」。広告運用を前提とせず、既存の支援領域にとらわれない新しいサービスの在り方と、ROIの向上・資産価値の最大化を支援するサービス提供の背景について、株式会社オーリーズの宇賀田徹さんに聞きました。

話し手:
株式会社オーリーズ
執行役員 COO
宇賀田徹さん

聞き手:
アタラ株式会社
コンサルタント
小湾喜仁

広告の目的に立ち返り、運用代行を前提としないサービスを提供

小湾:貴社についての紹介と、宇賀田さんの自己紹介をお願いいたします。

宇賀田:株式会社オーリーズは、インターネット広告の代理店事業を行っており、現在はオーリーズを親会社とし、2社の子会社を持つグループ会社です。

子会社の一つがQetic(ケティック)株式会社で、広告のクリエイティブやWeb制作、オールドメディアの構築や記事制作の運用、ホワイトペーパーなどのデジタルコンテンツを扱う他、FUJI ROCK FESTIVALなどのBtoC向けイベントの企業ブースデザインといったイベントプロダクションも行っています。BtoBイベントでは、展示会のブースデザインや効率的な名刺獲得のためのオペレーション設計などの支援をしています。

もう一つの子会社である株式会社セールスリクエストでは、SalesforceやAccount Engagement(旧Pardot)、HubSpotの構築・活用・運用など、インサイドセールスの代行支援を行っています。現在はグループ3社で協力してお客さまを支援しています。

オーリーズ 宇賀田氏

私自身は、前職では不動産を扱ってるプライム上場企業でWebメディアの立ち上げを行っていました。そこでデジタルマーケティングとインサイドセールス、フィールドセールスなど3年ほどBtoB向けの販促を経験し、オーリーズに入社しました。前職の経験を生かし、BtoBの事業者に対しSalesforceと広告を絡めた支援などを行っていました。

そこに2023年、セールスリクエストのグループ参画があり、今回お話しさせていただく「BtoB特化型広告運用代行サービス」として一気に強化された形です。

小湾:「BtoB特化型広告運用代行サービス」について詳しくお話しいただけますか。

宇賀田:先ほどお伝えしたとおり、オーリーズはもともとBtoB事業者向けに支援を行っていました。新たに参画したセールスリクエストはSalesforceの認定代理店や公認パートナーとして、何十社ものインサイドセールス支援を行っていた実績があり、グループとしてしっかりとBtoB支援が行えるようになりました。そこで、あらためて「BtoB特化型広告運用代行サービス」を打ち出すことにしました。

基本的には広告運用の相談をお受けするサービスですが、一番の特徴は、Salesforceなどのインサイドセールス、マーケティングオートメーションに関する支援と、Qeticが得意とする展示会支援ができる点です。

B toB 特化型広告運用代行サービス

広告運用についての相談をお受けするところから始まりますが、広告運用はあくまで目的を達成するための手段です。一度目的のところに立ち返って「本当に広告運用が正しい手段なのか」という問いから、本質的な目的達成の手段を提案させていただきます。広告運用の代行支援を前提としない点が、このサービスの一番の特徴かなと思います。

もちろん私たちはプロなので、まずは広告で今の成果を最大化できるかどうかをしっかりと見極めます。その上で、広告だけではお客さまの目的を達成できないと判断した場合は、インサイドセールスなど周辺領域の改善に手を付けていくことによって、目的達成につなげるサービスです。広告でリードを取った後はインサイドセールスが架電し商談化する流れですから、そこを改善していきます。

横断的に他施策と連携

小湾:入口としては「リードを増やしたい」というお問い合わせに対して、クライアントの組織の課題や戦略の部分から改善を進めていくサービスなんですね。

宇賀田:そうですね。たいてい、広告を使ってCPAを下げて、同じ予算の中でリードを増やしたい、といった話から入るのですが、結局なぜリードを増やしたいのかというと、当然、商談を増やしたいんです。言い換えると、商談を増やせるのであれば、必ずしも広告という手段をとる必要はありません。そこをお客さまにも合意していただき、広告以外のお金の使い方があるんじゃないか、というところに入っていくのが、このサービスの特徴です。

アタラ コンサルタント 小湾

企業の状況や課題感に合わせた改善を提案

宇賀田:もちろん、広告で解決できるのであれば広告を使いますが、そうじゃないことって結構多いんですよね。よくある話だと、バーティカルSaaS(業界・業種に特化したSaaS)では、トランザクショナルクエリ、要するにコンバージョンにつながるような検索クエリが少ないことがあります。例えば、飲食店特化型のシフト管理システムであれば「飲食店特化型のシフト管理システム」と検索する人はいないので、検索広告ではリード獲得につながりにくい。SNSやディスプレイ広告の場合も、ターゲットが狭すぎて範囲はかなり限定的です。

それに対して、もう広告しかやらないと決めてしまうと、そもそも道がつながってないため、いつになっても目的を達成できません。そこで、私たちはインサイドセールスや展示会などの選択肢を持つことで、広告という入り口から入ってきたお客さまに、きちんと目的達成できる手段を提案しています。

小湾:お客さまの状況や課題感に合わせた改善手段の提案で、目的達成に導くコンサルティングですね。

宇賀田:そうですね。

小湾:ありがとうございます。広告以外の提案では、どのようなお客さまの課題を解決されたのか。実際の改善事例をお聞きしてもよろしいですか。

宇賀田:中古不動産を販売しているお客さまの事例をご紹介します。もともと広告運用でご相談いただいたのですが、ターゲットがかなり狭く、コンバージョンにつながる検索クエリも多くない案件でした。そのため、広告に閉じずに商談を増やすためには何をすればよいか、という一段上の目標を置き、まずそのPDCAを回すために、どんなチャネルから商談が生まれているのかをきちんと見える化することにしました。

広告でもCPAを見ますが、当然コンバージョンではなく商談までつながってるかを見ますよね。広告もGoogle、Yahoo!、Facebookといった媒体の他にもキャンペーンごと、キーワードごとで商談までいったかどうか、コンバージョンしたリードは、どのキーワードで取れたかなども全てSalesforceをつないで見える化しました。

さらに、広告にとどまらず、お客さまが運営するアフィリエイトメディアや参加した展示会、あるいはBDR(Business Development Representative:新規開拓の役割を担うインサイドセールス手法)施策などを全て、商談まで見える化したのです。広告のこのキャンペーンは商談1件いくらで取れている、BDRのこの施策は商談1件いくらで取れている、展示会は商談1件いくらで取れている、というのを全て見える化することによって、果たして検索連動型広告から効率よく商談化できているのか、BDR施策のほうが実は効率がよいといったことはないか、などを俯瞰して評価できる状況をつくりました。

事例1

それによって、やはりBDR施策のほうが効率がよいという結論になり、BDR施策に予算をしっかりと寄せていくという判断を行った結果、商談が増えた事例があります。

事例2

プロマネがハブとなりインサイドセールスとリード施策をハンドリング

小湾:一方で、セールス部門とマーケティング部門が分断されているBtoBのお客さま、非常に多いと思うんですよ。セールス側は質の良いリードが欲しい、マーケ側としてはリードは十分に渡しているのに、みたいな会話が発生してしまう。リードの質を担保して良い商談をつくる、セールスとマーケの連携をより良くするために、御社でアプローチできる部分はありますか。

宇賀田:質問への直接的な回答ではないんですが、セールス部門とマーケティング部門をうまく連携させるようなサービスの設計はしています。

The Model的に言うと、マーケがあって、インサイドセールスがあって、フィールドセールスがあって、という中で、マーケが一番エンドユーザーと遠いんですよね。N1インタビュー(特定の1人の顧客を深く理解することに焦点を当てた分析手法)という方法もありますが、ちゃんとそうした機会をつくりにいかないとマーケがエンドユーザーの生の声を聞くことって、まずないじゃないですか。でも、インサイドセールスは1日に何人もの人に電話で話を聞くし、フィールドセールスは回数こそ少ないものの1回の面談で1時間、2時間とか、しっかりと質の高い、深い会話をします。そこに情報が集まってるんですよね。そこの情報を録画や録音を使ってキャッチアップすることで、どんなリードであれば「質が良い」のかのニュアンスが分かります。

そのため、私たちがインサイドセールスの支援に入る場合は、基本的には全部架電データを録音しています。私たちのサービスでは、広告運用のプロマネとインサイドセールスのコーラーのマネジメントは、基本的に同一人物がやるんです。コーラーの架電をプロマネが聞いて、どういう人がリードとして出てくるのかをニュアンスも含めて把握した上で、広告運用もハンドリングしていくんです。

広告とISの連携によるリード獲得施策

例えば、資料ダウンロードなどでコンバージョンを取り続け、リード獲得数が頭打ちになり、CPAが下がらないとなったときに、ホワイトペーパーで広告を出すとします。ホワイトペーパーを使うと、当然リードの質がまったく異なってくるので、そこに対して、いったん決まったトークスクリプトで話してみるけれども、これだと商談にはつながらないなど、実際に録音を聞いてみるとニュアンスを含めて分かるんですよね。分かった上で、もう少し工夫して訴求を変えてみたら商談につながるようなリードが出てくるんじゃないか、という仮説を立てやすくなります。

広告とインサイドセールス両方で私たちが支援に入る場合は、そのようにして進めていくので、セールスとマーケが分断されるということは基本的にありません。プロマネがハブになる点は大きなポイントですね。インサイドセールスを私たちが担わない場合でも、お客さまがインサイドセールスの録音データを共有してくださるのであれば、取り組みの一つとして改善に生かしています。

小湾:聞いていて、とても画期的だなと思いました。セールスやインサイドセールス、架電の状況を可視化するというのは、よくあることだと思うんですけども、そこをマーケのリード施策に生かすことや支援側がしっかりハブになる点は、御社ならではの強みですね。

クライアントのお悩みとしては、リードの数以外だと、どういったものが多いですか。

宇賀田:広告に関する問い合わせについては、おそらく他の広告代理店さんが受ける問い合わせと、そんなに差はないのかなと思います。「CPAが未達なんですよね」とか「予算を増やしたのにリードが増えないんですよね」とか。インハウスで広告運用をされている方であれば、最新の媒体情報をキャッチアップできてないのでコンサルしてくれる人が欲しいといったことですね。そのあたりの入口のところは変わらないんじゃないでしょうか。

その上で繰り返しになりますが「その課題は、なんの目的を達成するために解決したい課題なんですかね」というところを詰めていくと、結局、広告運用っていうのは手段にしかならないので「もう少しフラットに、その目的を達成する方法を検討していきましょう」となります。

広告、インサイドセールス、Salesforce、MAの4領域をまとめて支援

宇賀田:今回、BtoB特化型の広告運用サービスについてお話しさせていただいたのですが、もともと私たちの会社では、一社一社にしっかりとコミットするためコンサルタント一人当たりで担当する社数を制限しています。実際、1コンサルタント当たり平均して2.2社しか持ってないんですよ。そのため、ビジネスとして成立させるためには、それなりの規模の案件じゃないと利益が出なくなってしまうので、ある程度まとまった手数料を基本的にいただくことをお客さまには最初にお話しさせていただいて支援に入ります。そうなってくると、お断りしなきゃいけないケースや、割に合わないケースも出てきます。

今は支援領域が広告の他にもインサイドセールスやSalesforceなどに広がってきているおかげで、広告とインサイドセールスとSalesforceとマーケティングオートメーション、これらの四つの領域をまるっと支援して60万円という「GO-to-MARKETサポートプラン」も今年に入ってリリースできました。今までのように広告だけの支援となると手数料が割高になってしまい、どうしても合わなかったお客さまが、パッケージで支援できるようになり裾野が広がったんです。

小湾:広告予算の範囲以外で、ご相談いただいている内容と費用感が合えば支援できるお客さま、広告主が増えたということですね。

宇賀田:はい。そのため、このプランに関してはスタートアップや大手企業の新規事業のお客さまが本当に多いです。広告予算をそこまでかけられないし、Salesforceは導入したけれど社内で使える人がいない、インサイドセールスも人員が足りない、展示会などでリードが増えてもフォローが追い付かない、といったいろいろな悩みに対して、それぞれの予算が小さいんですよね。だから「たまに相談に乗ってくれればいい」「インサイドセールスも展示会のタイミングだけいてくれればいい」とか「ちょっとだけ補填してほしい」というニーズなんです。広告、Salesforce、インサイドセールスを別々の会社に頼もうとすると、予算も小さく面倒なので、あまり相手にしてもらえません。私たちのパッケージ型のサービスであれば全部まるっとお受けできるため、かなり重宝されています。

小湾:言い換えれば、60万円さえ予算が取れれば、営業支援も広告支援も柔軟にできるということですよね。

宇賀田:そうですね。インサイドセールスに時間を使うのか、Salesforceに使うのか、広告に使うのか、マーケティングオートメーションに使うのかを、月ごとにバランスを変えながら支援できる点が、まるっと1社にお任せいただくメリットだと思います。

小湾:資金に限りがあるとか、立ち上げたばかりで体制が整ってない会社や事業であれば、御社のサービスが最適な選択肢になり得ますね。
BtoBだと検討期間が長いためこうした支援ができるのだと思いますが、BtoCでも検討期間の長い商材、例えば保険や住宅など、単価の高い高額商材も当てはまると思います。そうしたところの支援も可能なのでしょうか。

宇賀田:はい。広告などを使って、リードを獲得して、セールス活動が発生するようなモデルのマーケティングセールスであれば基本的に支援が可能です。例えば人材会社であれば、登録があって、そこに架電をして、面談を設定して、企業を紹介して、成約に至るという、ほぼBtoBのセールスプロセス、購買プロセスと一緒なんですよ。ですから、人材会社からのお問い合わせも多くいただいています。

多くの人材会社では、登録があった後に何回か架電してつながらなかったら、それで終わりにしているケースも結構あるんですが、私たちの場合は、ただ架電して終わるだけでなく、メール、SMSなども駆使して面談化率を上げる工夫をしています。この取り組みは、高くご評価いただいています。

小湾:BtoBに限らず、いわゆるThe Model型のビジネススキームであれば、基本的にはご支援可能ということですね。

ROIの高いマーケティング施策実現のためサービス認知を進めたい

小湾:広告起点のサービスでありながら周辺領域の補強をどんどん行っている状況だと思うんですけれども、今後のこのサービスの展望について、どのようにお考えですか。

宇賀田:BtoBの事業は商談をつくることが非常に重要です。その商談をつくる手段は、そのサービスのビジネスモデルやフェーズで変わってきます。まだまだPMF(Product Market Fit:​​自社の製品が市場に適合しており、顧客に受け入れられている状態)したばかりなのか、あるいはGTM(Go To Market:自社サービスや商品を顧客へ届けるための戦略)もかなりできているのか、そのビジネスが置かれてる環境などいろいろな状況で、どの手段が一番商談につながる、一番ROIの高いマーケティング施策なのかは変わってくるはずです。

それにもかかわらず、商談を増やすためには「まずリードを増やすこと」がマーケ部隊の目標に置かれてるケースが多くて、そうなると、やはり分かりやすい施策として頭から広告を手段として選択する方がかなりいて、問い合わせとしても多いんですね。

そうなった場合に、広告しか扱ってない広告代理店がその話を受けると、当然「ああ、分かりました広告を打ちたいんですね、じゃあ広告を打ちましょう」って、そのまま疑いもなく100万、200万とか費用をかけてしまうケースが結構あります。そこをもう少し俯瞰して、例えばバーティカルSaaSであれば「本当に広告でいいんですか」という会話ができると「架電リストを作って、直接架電して、商談化まで持ってったほうがいいですよね」という手段も選択肢に入ってきます。事前に分かってることに無駄なお金を使わないようにしていきたい。そのためにこのサービスを広めたい、というのが今後やっていきたいことですね。

オーリーズ宇賀田氏 アタラ小湾

小湾:ありがとうございます。弊社でもBtoBで広告施策に決め打ちされるお客さまの場合、どうしても介入できない領域があり、支援側の立場としてどうしたら費用対効果を最大化させられるか、外注費の最適化ができるかを常々考えているところですが、御社は一歩踏み込んで、しっかり実行まで支援されているというのが非常に素晴らしいと思います。

宇賀田:ありがとうございます。これまでは広告がマッチしないお客さまに対して「広告じゃなくてもっとBDRで攻めたほうがいいですよ」とか「展示会のほうがいいですよ」と言うだけで支援まではできず、ある意味無責任な状態だったんですよね。今は施策実行まできちんと支援できるようになり、すごくうれしいです。

小湾:意外と、この辺りまで支援できる競合っていないですよね。御社が頭一つ抜けているイメージです。

宇賀田:私の知っている限りでは、裏側は外注業者が担当する形で「支援しています」と言っている会社はあるんですが、自社で支援しているところは知らないですね。大規模な広告代理店であればグループ内でできますけども、もう少し広告予算の低いお客さまに対応している会社はないと思います。

小湾:よく分かりました。どうもありがとうございました。


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