広告プラットフォームの2024年業界予想:⑧&⑨NetflixとAppleに関するBig Bet

広告プラットフォームの2024年業界予想:⑧&⑨NetflixとAppleに関するBig Bet

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予想⑧と⑨はBig Bet = 大きな賭けになります。

Netflixが独自広告プラットフォーム開発へ

2022年7月に発表したNetflixとマイクロソフトの広告事業パートナーシップ。この契約は2年と言われていますので、今年2024年のどこかで更新時期が巡ってきます。

Netflixの広告つきプランは、グローバルで月間アクティブユーザー(MAU)を約2,300万人保有するまでに成長しました。しかしながら、サービス開始当初は期待された広告在庫を担保できず、一部広告主に返金をするということもありましたし、広告部門の責任者に任命された経験豊富なジェレミ・ゴーマン氏とピーター・ネイラー氏は、社内の抵抗勢力もあり2023年10月に交代となり、必ずしも順風満帆とはいっていない印象です。2024年には広告つきプランは10億ドルの収益をもたらすとInsider Intelligenceは予測していますが、Amazonの広告つきプラン参入が事業戦略を微調整するターニングポイントになるのではないかと考えています。

Amazonプライム・ビデオの広告つきプランのCPMは約30ドルとNetflixの参入時の半分です。それ以上に、2億人の全プライム会員を自動登録の対象としている点が特筆されます。すべてのプライム会員が実際は広告の対象にはならないものの、Amazonから広告主への説明資料では、1億人以上のリーチをアピールしている模様です。Netflixの規模感の違いは大きくなることが予想されます。

調査会社MoffettNathanson Researchによると、1月29日に開始されるAmazonプライム・ビデオの広告つきサービスは、開始初年度に推定10億ドルとなると予測されています。Amazonの規模感、スピード感は脅威です。

よって、Netflixは、広告つきプランユーザーを増やしつつ、Amazonやその他の競合に、クリエイティブやサービスでリードできるよう、自由度をより求めプラットフォームを内製化する、というのが予想です。Netflixはカルチャー的に、もともと自前主義/インハウス主義ですし、マイクロソフトもそのことを理解して契約しているのではないかと推察します。内製化にあたっては、自社開発もあるでしょうし、アドテク企業を買収するという選択肢もありえるかと思います。

 

Appleが自社DSPを開発し広告事業拡大

これは、AppleがDSPの開発し、Apple Search Ads以外で広告収入を伸ばすという予想です。以前からこの話は出てきては立ち消えることを繰り返しています。実際、このための人材募集をしてたことも明らかになっています。しかしながら、これまではApple製のDSPは出てきていません。

これはあくまでも憶測ですが、Facebookなど、ATTの影響がある会社が業績を回復する前に広告事業を拡大すると、大きな反発が起き、Appleのブランドや信頼性に影響する可能性があるので、これまで待っていた可能性もあると思います。実際、Facebookなどは2023年後半に広告収入が戻ってきたので、タイミングとしてはいつでも着手できる状況ではないかと考えます。

実際、Appleは、Apple TV、App Store、Apple News、Stocksなど、広告事業で収益化できるプロパティを数多く持っています。ここ何年間でNetflix、Hulu、Amazonなどが相次いで広告つきプランを導入している状況です。Apple TV+の有料会員は順調に増えていますが、競合他社が安価な広告つきプランで加入者を増やし、広告収入を増やしている中で、Appleは次の一手をどのように考えているのでしょう?もし広告つきプランを他社に追随して追加するということになっても、DSPは必要になりますし、内製志向の強いAppleなので、いよいよDSP登場?と考えてもおかしくはないわけです。

また、Googleが、Apple Safari(やその他のスマートフォンメーカー)でGoogle検索をデフォルトにするために契約を結び、年間100億ドル(約1兆4500億円)を支払っているとされているGoogleの米司法省訴訟の行方次第では、毎年得ていた収益の一部を受け取れなく可能性もあり、そのために広告事業を拡大する可能性も否定はできません。

『広告プラットフォームの2024年業界予想』(全10)の他の記事へのリンク(タイトルをクリックしてください)
①ChromeのサードパーティCookieサポート廃止による混乱が発生する
②日本のリテールメディアにブランドによるPoCや実験的予算がつく。オフサイト配信が増える。標準化が課題に
③AIはプラットフォームの機能やサービスにさらに侵食する
④TikTokが興味コマースを大きくリードし、展開を大幅に加速へ
⑤プラットフォーム間パートナーシップが増える
⑥MFA、詐欺広告、アドフラウド等と向き合う年に
⑦メディア・パブリッシャーのビジネス苦境。生き残りをかけた年に
⑧Netflixが独自広告プラットフォーム開発へ(本記事)
⑨Appleが広告事業拡大(本記事)
⑩レイオフは続く(公開予定)


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