テクノロジーの進化、これまでのインターネット広告の課題をもとに、従来のマーケティング手法にとらわれない、次世代型マーケティング手法が生まれ始めています。その一つが、株式会社Macbee Planetが提供する、次世代型のLTVマーケティングです。いろいろなデータやテクノロジーを駆使して長期的な利益を最大化するというこの手法と、その手法が生まれた背景について、株式会社Macbee Planetの靱江佑介さんに聞きました。
話し手:
株式会社Macbee Planet 取締役
株式会社All Ads 代表取締役社長
靱江佑介さん
聞き手:
アタラ合同会社
CEO 杉原剛
目次
LTVマーケティングが共通項でグループ会社に
杉原:簡単な会社の紹介と、靱江さん自身の自己紹介をお願いします。
靱江:インターネット広告を軸とした次世代ソリューションといわれるLTVマーケティング事業を推進している会社です。いろいろなデータやテクノロジーを駆使して長期的な利益を最大化することを目的としています。もともとは、株式会社Macbee Planetの下に株式会社ネットマーケティングという子会社がある体制だったのですが、2023年11月からMacbee Planetはホールディングスとなり、Macbee Planetの事業部門は株式会社MAVEL、ネットマーケティングは株式会社All Adsに社名が変更しました。
杉原:靱江さんご自身のご紹介をいただけますか。
靱江:私は、キャリアのほとんどが旧ネットマーケティング、現All Adsに入社してからになります。25歳で入社後、現在は代表取締役のポジションにいるのですが、社内で唯一、平社員から社長まで全ての役職を経験しています。
杉原:営業、運用からマネジメントもやっていたのですか。
靱江:はい。もともとは新規営業で入りました。新規営業に関しては現在も推進しているので、営業としての活動がキャリアの半分で、残りの半分はマネージャーからスタートして部長、本部長、執行役員、取締役、社長という形でキャリアを積んできました。
Macbee Planetグループでは、消費者の利用金額や、継続期間を最大化し、広告費用効果を最適化するLTVマーケティングを推進しています。私は新規営業の他に、その商品設計の推進も担当しており、All Adsの屋台骨である広告事業を大きくしてきました。
杉原:All AdsがMacbee Planetのグループに入ったのは、いつごろですか。
靱江:2023年の3月です。
杉原:グループに入る前から、Macbee PlanetさんでもLTVマーケティングを推進されていたのですか。
靱江:はい。All Adsと同じような方向性で活動していて、競合ではあったのですが、コンペなどで一緒になることがほとんどありませんでした。
2022年に創業社長の宮本がAll Adsの主力事業であった、Omiai事業を譲ることを決めた後は、広告事業を任されていた私が、All AdsをMBOするのか、あるいは他の会社と協業していくのか、意思決定をさせていただきました。中でも、Macbee Planetは熱意を持ってコミュニケーションしてくださり、同じ方向性であることを何度も確認し、すり合わせていきました。
杉原:なぜ、両社ともLTVマーケティング推進をされているのか、その背景を教えていただけますか。
靱江:今日のインターネット広告は2000年代初頭に生まれたものですが、2023年現在までで抜本的に何か変わったかというと、変わっていません。現在の大きな課題としては二つあると思っています。
一つは、インターネット広告がスタートした当初から、広告主に対しての費用対効果が、あまり変わっていないという点です。もう一点は、インターネット広告を見ているユーザーからすると、毎日インターネット広告を見ていく中で広告が嫌いになり、スキップしたい、という気持ちがあることです。この二つの課題を解決しないと、インターネット広告の行く末は明るいものにならないと思っています。
近年、ChatGPTなどの生成AIのような高次元なテクノロジーが、たくさん生まれています。「こうした高次元技術を駆使して二つの課題を解決していきたい」という思いが、もともとAll Adsにあり、その方向性をMacbee Planetも同じように持っていたことが、Macbee Planetと協業を進めるきっかけになりました。「All Adsが強みとしている営業推進や運用能力を重宝していただけるだろう」ということと「彼らが持っている技術力の高さを掛け合わせると、われわれがやろうとしている次世代向けのマーケティングロジックが、5年かかるところを1、2年で実現できるだろう」と思ったのです。その点に、非常にポジティブなものを感じました。
他社との最大の違いは、CVとCVQ両方の底上げをコミットすること
杉原:主なクライアントは、どのような業種が多いですか。
靱江:われわれのお客さまは多岐にわたっています。金融でいえば証券、FX、クレジットカード、カードローンなどです。その他、人材紹介やエステ、ジム、化粧品、健康食品、ゲームなどのお客さまもいらっしゃり、リード系の案件が大半になっています。
インターネット市場では、いろいろなサービスが毎年出てきていて、3年に一度ぐらい、大きい市場規模になるような新興市場がつくり続けられていると思います。そのため、爆発的に市場が伸びるようなものを未来予測し、まだシード期のような上場準備前の会社のお手伝いも最近では増えています。オンラインクリニックの案件などは、これからも市場がどんどん大きくなっていくと思うので、早い段階で、われわれが市場分析をして、お客さまに提供できるようなストーリーをアウトプットして、早いうちから市場形成に対するサポートをすることを現在強めている状況です。
杉原:その分析も行っているということですね。
靱江:はい。
杉原:御社のソリューションページを拝見したのですが、データをアナライズし、アクティベーション、コミュニケーションしていくと捉えているのですが、その点について、ご説明いただけますか。
靱江:われわれは、独自にデータ分析ができるようなケースを持っています。また、サードパーティCookieに依存しない、新しい技術によってコンバージョンを計測できる技術も持っています。データ、テクノロジー、アナライズと、コンサルティングという形で役割を分けながら、一気通貫でPDCAを回していくというのが、われわれのスタイルです。
杉原:データをとらまえる点に関しては各社各様だと思うのですが、データを集めて蓄積するということを全く行っていない会社は、御社のCDP(Customer Data Platform。顧客データ基盤)ソリューションを使うこともあると思います。また、CDPがあっても、あまりデータ活用をできていなかったり、同じ業種でもアプローチが違ったりなど、一定の型にするのは非常に難しい、という印象があるのですが、そこはカスタムな形での対応になるのでしょうか。
靱江:まさに各社で見ているKPI指標も違いますし、戦略も違うので、各社オーダーメードでベースをつくり上げることをマストで行っています。
杉原:では、お客さまにデータ環境があっても、御社独自のデータ分析ができる環境に連携させる、ということでしょうか。
靱江:もちろん連携もしますし、データ管理をまだされていないお客さまに関しては、われわれでデータをため込みながら、何を蓄積していくか、というところの設計まで入らせていただきます。
杉原:LTVが出るように分析をかけているのですね。
靱江:はい、そうです。
杉原:そこから広告施策につなげていき、運用も行うという話ですよね。
靱江:もちろんです。成果報酬型の広告に対しては、グループ全体の強みでもあるのですが、どうしても成果報酬型はコンバージョン(以下、CV)数を最大化することを、お客さまも求めがちです。しかし、われわれは、それと同時にCVQ、コンバージョンクオリティを絶対的に上げていくことを担保しています。CVとCVQの両方の底上げをコミットしていくことが、他社との最大の違いです。
CVクオリティをどう底上げするか
杉原:CVクオリティについて、もう少し掘り下げていただけますか。
靱江:例えばクレジットカードのお客さまであれば、おおよその場合、コンバージョンが申し込みや発券にあるのですが、発券数を最大化しても利用額や利用残高を最大化しないと、クレジットカード会社、エンドの広告主は利益が上がらないと思います。そのため、利用を促進するコミュニケーションなどを一気通貫でストーリー立てて運用することによって、利用数も底上げしていきます。
HRの場合であれば「転職希望の方が、面談まではいったが決定まではいっていない」というケースがあります。その決定の奥のところまでコミットして、今以上の決定数を出していくために、どのようなマーケティングを展開していけばいいのかを、われわれはコミットしているという点で、CVQというキーワードでお伝えしています。各社で現在のCVクオリティが、どのようになっていて、われわれが介在した後のCVクオリティが、どのようになっていくのか、必ず説明しながら運用しています。
杉原:そうすると、経営数字に近い事業成果のデータ開示は必要になりますよね。
靱江:おっしゃるとおりです。根幹を成すような現在のユーザーデータや、どれだけのユーザーが、どれだけLTVがあるのか、というところを細かく読み解かなければ、最適解は出せないと思っております。なので、広告主が大事にされている重要データを取り扱うことは非常に多いです。
杉原:PL全体までとはいかなくとも、近しいところの数字は開示していただく、ということでしょうか。
靱江:そうです。弊社のグループ全体の大型案件でいくと大半はPLまで、われわれが拝見しながらマーケティングのKPIをお出しする、というケースも非常に多いです。広告主で決めた広告費の設計は、もちろんベースとして捉えて、より中長期的にLTVが最大化するための広告予算のアクティベーションは、われわれからお出しすることもよくあります。
杉原:私どももダッシュボードの構築事業などをやっているので、構築プロジェクトを始める際に、お客さまに、それまで使ってきたKPIを出していただきます。しかし、語弊を恐れずに言うと「とてもよい」ということは、あまり多くありません。なので、尊重しつつもリセットしませんか、ということがあるので、その感覚はよく分かります。
靱江:そうですよね。われわれは、あくまでも内科医的な存在で、いろいろなデータを共有していただきながら、最適な道を歩める治療法を提示するイメージです。
杉原:かっこいいですね。
靱江:われわれは、アウトプットの指標としてCV、CVQを最大化するという意味で、軸はぶらさずに治療法を提示するよう努めています。最初にクライアントさまが考えてこられる予算やKPIと結果的に違ってくるケースもありますが、CVQが上がっていくことで、ご納得いただけるケースは多いです。
やればやるほど費用対効果が上がっていく仕組みを提供
杉原:先ほどのPLのように、事業成果のデータの共有、開示や共有に当たって、ハードルになることはありますか。
靱江:やはり、お付き合いする前に、いきなり重要なデータを開示していただけることは少ないですし、インターネットマーケティングを取り扱う会社は都内に多数存在しているので、それらの会社とわれわれがどう違うのか、という点は具体的にお話を進めないと、ご理解いただけないケースがあります。そのため、やはり弊社の営業はハードルが高い職種であり、特別な存在だと考えています。
杉原:そうですよね。データをとらまえ、アナライズは独自の分析手法があり、アクティベーションやいろいろな広告施策に連携して、運用していくところに関しては、かなりテクノロジードリブンなのでしょうか。
靱江:最近は、成果報酬型以外の予算型広告に対してのお取り扱いも、かなり増えています。両方の分野において、独自なテックを推進しています。
独自のシステムによってCV計測が正しく計測されており、なおかつユーザーデータを分析しながらの広告配信になるので、やればやるほど費用対効果が上がっていく、という仕組みをインターネット広告全般で提供できるということが、われわれの最大の強みだと考えます。
お客さまには最初に網羅的なご説明をしたあと、具体的に処方箋を出す際に「ここまで違うのか」とご納得いただいて、運用が始まることになります。そのため、実施前に1、2年間程度のユーザーデータを読み解きながら、定まっていないペルソナをあらためてつくり直して、そのペルソナ像に合わせた広告展開をしていくことが、われわれ独自の広告の運用の仕方であると考えています。
それゆえに取引社数はグループ全体でも、あまり多くなく、100社を超えるか、超えないかです。われわれと同規模の競合他社は、3、4倍のクライアントを抱えていらっしゃると思います。1社1社、細かく丁寧に運用することが、われわれ独自のサービスです。
業界20位が世界2位に大躍進
杉原:導入事例や実績を教えていただけますか。
靱江:CV、CVQのコミットをサービスとしてリリースして、その提供を続けていくことで、業界20位だったクライアントの順位が世界2位になったということが、われわれの取り組みの中での一番の実績だと思います。
インターネット広告、特に成果報酬型や予算型広告がパフォーマンスマーケティングといわれるゆえんなのですが、これらは投資対効果がダイレクトにつながるので、広告のKPIさえしっかりと定めると事業全体、会社全体も成長する、という構図があると考えております。
われわれが取り組んでいる間、上位顧客のお客さまの業績が右肩上がりであることが、その答えなのではないかと思っています。事業成長や新しい経営戦略に基づいた事業拡大に、このLTVマーケティングは必要不可欠です。そこは、われわれもコミットしながら進めているので「お付き合いのある会社さまは必ず成長できている」というのが、われわれ全般で言えることだと思っています。
杉原:それが御社自身の業績、成長にもつながっている、ということですね。
靱江:はい。
新世代エージェンシーとして今後目指すこと
杉原:先ほどのCV、CVQの話にもありましたが、旧来ではない問いかけ方をしていらっしゃるとのことですよね。新世代エージェンシーだな、というのが私の見方なのですが、同じアプローチを取っている、競合と感じる会社はありますか。BtoBに関しては御社が火を付けられて語られるようになってきた、と私は思っているのですが。
靱江:われわれの領域は、パフォーマンスマーケティングといわれる費用対効果が必ずつきもののインターネット広告分野だと思うのですが、パフォーマンスマーケティングにおいてLTVでコミットしている会社は、まだあまり存在しないと思います。
大手広告代理店などもLTVや次世代型のマーケティングロジックなどを、どんどんリリースされています。ただ、PRマーケティングとパフォーマンスマーケティングを一気通貫でパッケージにするという大きな枠組みとしての一つだと思っているので、パフォーマンスマーケティングをLTV型で推進していくことは、まだ先行して走れている自負があります。さらに、ここに特化した次世代型のサービスをリリースしたり、プラットフォームをリリースしたりということを、ここ3年間ほどで多く準備しているので、費用対効果とユーザーにとってポジティブな広告を展開したいと考えています。
杉原:新しい領域、新しいファンクションを加えていく中で、内製していく部分もあると思います。そこで、企業買収なども考えていらっしゃるのでしょうか。
靱江:もちろんです。特に、われわれは次世代型、あるいはパラダイムシフトを起こす時代の変革期にインターネット広告の分野もあると考えているので、必要なものを、よりポジティブに届けるという意味で、インターネット広告は今後の日本にとって必要だと思います。
ここを理想の形に展開するために、テクノロジーを駆使して、今まだないものをつくっていっています。また、専業の同じような志を持つ会社は複数社あることが分かっているので、そのような会社とタッグを組み、次世代の日本を代表するような企業グループになるという志を持ちながら、日々M&A先の検討を、かなりのスピード感で進めています。つまり、自社でつくることと他社と協業することを、同時にハイスピードで進めているということです。
Macbee Planetならではの成長環境で時代の求めるキャリアとスキルを手に入れる
杉原:最後に、靱江さんから、お話ししたいことはありますか。
靱江:この記事はマーケターの方が多く見ていらっしゃると思うので、ぜひ優秀なマーケターの方に、われわれのグループに入っていただきたいですね。
われわれのグループにジョインして、運用スキルを磨くことで、ご自身の市場価値を最短で上げることができると思います。現在、オーダーどおりに広告運用できる方は生まれ続けているのですが、AI技術が革新していくと、ただ運用できるだけの方は5、6年先に、あまり必要がなくなってしまう可能性があると思います。われわれは、戦略設計ができる人間を5年以内に育成すると決めています。
マーケティング戦略、事業戦略、営業戦略、この三つの戦略を最終的には能動的につくることのできる能力が、弊社のコンサルに携わると、嫌でも身に付きます。能動的に何かを生み出せる人間になると、そこから、いろいろなキャリアが開けていきます。ただ運用をし続けて、出口が見えなくなっている方はウェルカムですし、そういう方にとっても、われわれのグループは相性がいいと思うので、戦略を自分でつくって推進していく人になりたい方をお待ちしています。
杉原:いろいろな広告主、クライアントの事業成果、事業戦略に触れられる機会も相当貴重ですよね。
靱江:そうですね。弊社は大型案件が多いので、それだけ読み解くデータも膨大ですし、根幹を成すようなデータに触れることは貴重な経験になるはずです。なので、時代の変革期に必要なスキルを最短で身に付ける点で、現在のMacbee Planetグループは最適なのではないでしょうか。
杉原:大変魅力的な締めですね。本日はありがとうございました。
靱江:ありがとうございました。
※肩書き、所属、内容は公開当時のものです。