【この記事のポイント】
TikTok広告で検索広告を配信する機能Search Ads Toggleが登場
広告グループでSearch Ads Toggleをオンにすることで検索広告を配信できるようになる
既存のクリエイティブを使用して広告が作成される
広告を表示するキーワードの指定はできず、既存のオーディエンス設定が活用される
TikTokは2023年8月22日(米国時間)、検索広告を配信する機能であるSearch Ads Toggleの提供を発表しました。
※参考リンク:
TikTok広告の検索広告とは
TikTokでは、For Youフィードの右上にある検索アイコンから検索を行うことができます。調べたいキーワードを入力して検索すると、検索結果画面が表示されキーワードに関連する動画が表示されます。
TikTok広告では、これまでフィードに広告を表示するのみでしたが、今回の発表により検索結果画面に広告が表示されるようになります。「検索」というユーザーのニーズがキーワードとして顕在化するタイミングで広告を表示することができるため、高い広告効果を得られる可能性があります。
TikTok広告の検索広告は現在米国で提供されており、他の市場においてはテスト中です。
リサーチ会社のMaterialによると、ブランドや商品の発見に関して以下のような調査結果を報告しています。
- TikTokユーザーの58%がTikTok上で新しいブランドや商品を発見
- 新しいブランドや商品を発見する割合は他プラットフォームユーザーの1.5倍
TikTok上の検索機能はユーザーにとっても有益であり、広告が表示されることはユーザーの新たなブランドや商品の発見に役立つと考えられます。
Search Ads Toggleの利用方法
TikTok広告で広告グループ単位の設定を行う画面に、検索広告機能を有効にするSearch Ads Toggleがあります。Toggleをオンにすることで、検索広告を配信することができます。なお、既に設定されているターゲティングを基に検索広告が配信されるため、現状はキーワードの設定はできないようです。
同様に、クリエイティブも既に設定している内容が使用されます。
検索広告の先行事例
Clinique UKは、 Even Better Clinical Serum FoundationのプロモーションでTikTok広告の検索広告を配信しました。自社商品に既に興味を持つユーザーにアプローチし、商品購入を促進しました。その結果、コンバージョン率が441%、クリック率が51%上昇し、広告想起率が7.4%向上しました。
※参考リンク:https://www.tiktok.com/business/en/inspiration/clinique-search-ads-toggle
DIBS Beautyは、2022年のブラックフライデーとサイバーマンデーの期間に検索広告を配信しました。リーチの拡大を目的に行われたSparkAdsでの配信は、共同創業者のCourtney Shields氏の動画が用いられました。For Youフィードに加えて、ブランドや関連商品に対する能動的な検索に対してもブランドを訴求した結果、インフィード広告と比較してコンバージョン率が6倍、コンバージョン数は8%増加しました。
※参考リンク:https://www.tiktok.com/business/en/inspiration/dibs-beauty-search-ads
今回の発表についてのコメント
検索広告というと、Google 広告やYahoo!広告、Microsoft 広告等、検索エンジンでの検索に対して表示される広告を想起させるでしょう。今回のTikTok広告の発表や2023年8月16日(米国時間)に発表されたAmazon広告でのPinterestへの広告配信もまた検索広告という位置づけになります。
※参考リンク:
検索広告はユーザーのニーズがキーワードとして顕在化するタイミングに表示される広告であり、ユーザーに新たなブランドや商品の発見を促します。検索意図に関連し、インターネット上で購入できる商品であれば、そのまま購入に進むことも珍しくありません。TikTokが動画配信プラットフォームであることから、ユーザーは動画の視聴を通してブランドや商品への理解を深めることができるので、納得感や期待感も醸成されやすいと思われます。
Google 広告では、検索キャンペーンのオプションとしてディスプレイネットワークの配信機能が存在しますが、ディスプレイ広告単体での広告配信も可能です。TikTok広告ではインフィード広告のオプションとして検索広告機能が加わりますが、今後、検索広告単体での提供は行われるのでしょうか。ターゲットや配信面を手動で指定せず、AIによる全体最適を行うことが主流となりつつありますが、配信結果によってはプレースメントの切り分けを行いたいというケースも出てくると思われます。今後のTikTok広告における検索広告の行方に注目していきます。