Microsoft 広告について掘り下げる連載「Microsoft 広告アカウントマネージャーに聞く」。第1回と第2回ではMicrosoft 広告の概要と広告プロダクトについて、第3回では運用していく中で気になる点についての疑問に答えていただきました。第4回では、2023年7月に発表されたMicrosoft 広告のアップデート内容についてお伝えするとともに、日本での対応状況や活用のポイント等についてコメントをいただきました。
コメント:
日本マイクロソフト株式会社
Microsoft 広告事業本部
カスタマーソリューションディレクター 桑野将人さん
アカウントディレクター 生田翔さん
Microsoftは2023年7月11日(米国時間)、Microsoft 広告に関する7月前後に実施のアップデート内容を発表しました。
※参考リンク:
目次
オーディエンス広告で予測ターゲティングの提供を開始
オーディエンス広告で、予測ターゲティングを利用できるようになりました。予測ターゲティングを利用すると、ランディングページや広告、オーディエンスのシグナルを活用してコンバージョンに至る可能性が高い見込み顧客を見つけることができます。
予測ターゲティングに追加できるオーディエンスのシグナルは下記の通りです。
- リマーケティング
- 購買意向の強いユーザー
- カスタマーマッチ
- カスタム オーディエンス
- 動的リマーケティング
- 類似オーディエンス
- カスタムの組み合わせリスト
- 年齢
- 性別
- LinkedInプロフィールターゲティング ※日本では未ローンチ
2023年6月22日(米国時間)に発表された予測ターゲティングのリリース記事によると、予測ターゲティングを活用することで三つのメリットを享受できるとされています。
- 簡単にターゲットユーザーを見つけられるようになる
- 時間を節約して効率を改善できる
- 実現したいことに合わせて柔軟な対応ができる
Microsoftの内部データによれば、2023年1月に実施された試験配信で、予測ターゲティングを使用した広告グループは使用していない広告グループに対して平均して46%のコンバージョン率の改善を確認できたとのことです。
【Microsoftよりコメント】
日本の案件においても、購買意向の強いユーザー(興味関心)と同等かそれ以上のパフォーマンスで配信できている事例も多数あります。
予測ターゲティングはMicrosoft 広告の管理画面から設定することができます。配信中の広告グループでは、サイドバーの「設定」から予測ターゲティングを適用できます。
キャンペーンや広告グループを新規で作成する際は、デフォルトで予測ターゲティングが適用されます。特定の属性に対して広告配信を行いたい場合はオフにすることを忘れないようにしてください。
予測ターゲティングの設定について、さらに詳しく知りたい方はMicrosoft 広告のヘルプページをご確認ください。
※参考リンク:https://help.ads.microsoft.com/#apex/ads/ja/60148/1
生成AI・自動生成アセット・IF関数でレスポンシブ検索広告を改善する
レスポンシブ検索(以下、RSA)で三つのアップデートが発表されました。
生成AIの活用
Microsoft 広告で、生成AIによって作られた広告文を利用できるようになりました。現在、日本語を含めた35の言語で生成AIによって作られた広告文を適用できます。
自動生成アセット
RSAで、自動生成アセットの利用が可能になりました。自動生成アセット機能では、新しいアセットの作成、適用から広告配信を自動で行います。本機能は現在一部の広告主に提供されています。早期に利用を開始したい場合は、Microsoft 広告のアカウントチームやサポートに問い合わせが必要です。
IF関数
2023年7月下旬に、RSAでIF関数が利用できるようになります。IF関数で分岐ができるトリガーは下記の2つです。
デバイス
オーディエンス
これまでデバイスやオーディエンスごとに広告グループを分ける必要があった場合、IF関数を利用することで広告グループの統合が可能になり、入稿作業の効率化や機械学習の精度向上が期待できます。
IF関数の詳細はMicrosoft 広告のヘルプページで確認することができます。
※参考リンク:https://help.ads.microsoft.com/#apex/ads/en/56922/0
動的検索広告の広告グループでマルチメディア広告が自動作成
マルチメディア広告は、検索結果画面の右側に画像とテキストがセットで表示される広告です。Google 広告やYahoo!広告では同様のフォーマットの広告は存在せず、Microsoft 広告の特徴的な広告フォーマットの一つと言えます。
今回のアップデートで、動的検索広告を利用している広告グループでマルチメディア広告が自動生成されることが発表されました。AIを使用することで、Webサイトのコンテンツからリッチな広告が生成されます。
UETインサイトの機能強化
UETインサイトはMicrosoft 広告でインサイトを発見できるダッシュボードです。
※参考リンク:
2023年5月下旬にダッシュボードの概要が発表され、2023年7月3日から順次有効化されています。今回の発表によると、UETインサイトは以下の二つの機能が強化されました。
- UETタグのトラブルシューティングとデータ収集精度の品質維持
- ルックバック期間の拡大
データドリブンアトリビューション(DDA)レポートの一般提供が開始
Microsoft 広告でデータドリブンアトリビューション(以下、DDA)レポートの提供が開始されました。これに伴い、モデル比較レポートも確認できるようになりました。DDAレポートでは、コンバージョンデータを使用して各広告の接触による貢献度が可視化されます。
DDAレポートは既定のレポートが用意されており、レポート>既定のレポート>パフォーマンス>変化モデル比較から確認することができます。
その他のアップデート
その他に以下のアップデートが発表されました。
- プロフェッショナルサービスの不動産カテゴリに貸別荘が追加
- 従来のAd InsightキーワードAPIとキーワード プランナーの商品カテゴリ機能を廃止
【Microsoftよりコメント】
プロフェッショナルサービスについてのアップデートは、日本では本記事公開時点では未対応です。
今回の発表についてのコメント
今回のアップデートでは、九つの機能が紹介されました。検索広告やオーディエンス広告、プロフェッショナルサービス、タグ等、アップデートは多岐にわたります。特にAIに関連する機能強化が目立っており、いかにAIと上手く付き合うかを考えさせられます。
予測ターゲティングでは、ランディングページや広告、オーディエンスのシグナルによって配信結果が変わることが予想されます。レスポンシブ検索広告では、生成AIがランディングページの情報を活用して作られた広告文が提案されます。AIにどのようなデータを与えるかでアウトプットが変わるということになりますので、これからの運用者は最良の結果を得るにはどのようなデータをAIに与えるべきか、という視点を持ち考え続ける必要があると思われます。
次回は2023年8月1日(米国時間)にアップデートの発表が予定されています。
以下のリンクから、過去の連載をご確認いただけます。