【この記事のポイント】
Google 広告は検索広告とP-MAXでブランドトラフィックをコントロールする機能を発表
検索広告ではブランドトラフィックに絞った配信が可能になる
P-MAXではブランドトラフィックを除外した配信が可能になる
Googleは2023年6月29日(米国時間)、検索広告とP-MAXにおけるブランドトラフィックをコントロールする機能を発表しました。
※参考リンク:
検索広告のブランド制限によって実現できること
これまでのGoogle 広告では、検索広告でブランドに関するキーワードでマッチタイプ「部分一致」を使用した場合、広告配信を完全にブランドトラフィックのみに絞ることは不可能でした。Google Marketing Live 2023において発表されたこの部分一致での配信におけるブランド制限は、検索広告のトラフィックをブランド関連に絞ることが可能です。この機能は本発表から1週間後に全世界で利用できるようになる予定です。
ブランド制限は、管理画面上で選択したブランドが含まれた検索やブランドに関連する商品の検索に対して配信を行うために、部分一致のトラフィックを制限します。これまで特定のブランドニーズを満たすために完全一致やフレーズ一致を使用していた場合、ブランドニーズを満たした上で、ブランド制限を使用した部分一致によってリーチとパフォーマンスを向上させることができます。
検索広告のブランド制限の事例
Sephora Australiaは、本機能によって目標ROAS内で検索広告のブランドトラフィックを増やすことができました。Sephoraは検索広告でブランドトラフィックを増やし、オンライン収益を拡大したいと考えていました。関連性が高く、質の高いブランドワードに確実に広告を表示させたかったため、これまでは部分一致を使用していませんでした。Sephoraがブランド制限を利用して部分一致で広告配信を行ったところ、元のフレーズ一致キャンペーンと比較してコンバージョン数が40%増加、コンバージョン値が80%増加、ROASが51%上昇しました。
Sephoraのパフォーマンスマーケティング担当するアシスタントマネージャーのJiahui Chng氏は「ブランド制限した部分一致を適用することで、消費者の変化し続ける検索をカバーする能力が拡大し、ROAS目標内で収益増加を達成することができました。」と述べています。
検索広告のブランド制限の利用方法
「部分一致キャンペーン」の設定をオンにすることで、ブランド制限を利用することができます。部分一致キャンペーンは登録されている全てのキャンペーンが部分一致の働きをするキャンペーンで、コンバージョンベースのスマート自動入札を使用している場合にのみ使用できます。なお、現状は一部の管理画面で使用可能とのことです。
※参考リンク:
ブランド制限は部分一致キャンペーンのみで利用可能で、ワンクリックでキャンペーン全体をアップグレードすることができます。
ただし、部分一致キャンペーンを利用する際は、キーワード選定ロジックに影響が出るため注意が必要です。影響は部分一致キャンペーン設定を有効にした場合にのみ適用されます。この設定を有効にしていないキャンペーンは影響を受けません。
キーワード選定ロジックに影響する点は以下の通りです。
- 全てのキーワードは部分一致に変換されます。キャンペーン内のキーワードは、部分一致と完全一致の両方が存在する場合と同じように、キーワード選定において優先順位が決まります。
- 別のキャンペーンに完全一致の同じキーワードが存在する場合、広告ランクが最も高いキーワードがオークションに参加します。
P-MAXのブランドトラフィック除外
2023年2月、GoogleはP-MAXでアカウント単位のブランド除外が利用できるようになることを発表しました。
※参考リンク:
ブランドトラフィック除外機能は管理画面への反映が開始されており、今後全ての広告主が利用可能になる見込みです。ブランド除外では、除外するブランドを選択できます。除外設定を行うことで、検索広告やショッピング広告で配信を避けたいブランドワードに対して、P-MAXから広告が配信されないようコントロールできます。この除外によって、ブランドのスペルミスや外国語でのブランド検索によるトラフィックをブロックすることも可能です。
除外したいブランドはリストから選択できます。 ブランドがリストに存在しない場合、Google 広告に追加をリクエストすることができます。
今回の発表についてのコメント
Google 広告におけるブランドトラフィックに関する二つの機能によって、広告配信はよりコントロールしやすくなります。検索広告のブランド制限機能は、ブランドワードを完全一致やフレーズ一致で配信していた広告主の部分一致導入を後押しするかもしれません。
一方で、この機能がブランドワード1トークンをフレーズ一致で登録していた場合と比較して、パフォーマンスにどのような差が出るのかは未知数です。また、これまでブランドワードを完全一致やフレーズ一致で配信した場合においても、類似パターンとして関連性の低い検索語句へ配信されることもありました。このような挙動がブランド制限においても発生するかどうかは要チェックです。
ブランド制限を利用するために必要な部分一致キャンペーンの設定は、一部のユーザーのみに提供されています。登録したキーワードのマッチタイプが全て部分一致として機能するこの設定は、Googleがマッチタイプの主導権をユーザーからGoogle AIに移すことを試みているようにも見ることができます。
完全一致やフレーズ一致といったマッチタイプが配信機会を制限することは否めませんが、新機能の利用の前に、まずは現状の機能を最大限活用することを考えてみるのはいかがでしょうか。完全一致を利用しているキャンペーンはフレーズ一致への切り替え、フレーズ一致を利用しているキャンペーンはキーワードのトークン数を減らす等の対応から始めて、どのような語句に配信されるか確認してみるのも一手です。ブランド制限という新しい機能を利用する場合、パフォーマンスが向上するかどうかも重要ですが、顧客とのコミュニケーションする上で配信すべきではない語句に対して広告配信が行われないようにする等、検索語句の確認は不可欠です。