TikTok クリエイティブ・チャレンジとは?
TikTokは、2023年6月27日、ブランドがユーザーから投稿された動画を同プラットフォームのおすすめページで広告にすることができるTikTok Creative Challenge機能(以下、クリエイティブ・チャレンジ)を発表しました。
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クリエイティブ・チャレンジでは、ブランドが「チャレンジ」を公開することができます。チャレンジは基本的にクリエイティブ・ブリーフにあたるもので、ブランドの概要、トーキング・ポイント、動画に含めるブランド資産、ブランドのターゲットオーディエンス、リワード内容、ルール、要件の詳細に関する情報が含まれています。
ブランドは、TikTokプラットフォーム上でクリエイティブ・チャレンジを作成するだけで、クリエイターが制作した広告動画を10日以内に最大30個まで受け取ることができます。
@tiktoknewsroom ⭐️TikTok Creative Challenge⭐️ A new way for creators to collaborate with brands with full creative freedom! We're excited to continue recognizing and rewarding creators for their creativity through this new in-app feature.
一方、クリエイターとしてクリエイティブ・チャレンジに参加するには、少なくとも5万人のフォロワーを持ち、米国を拠点とし、18歳以上である必要があります。条件を満たしたクリエイターは、チャレンジのリストを閲覧し、選択したどのブランドのチャレンジにも、動画広告を投稿し、審査してもううことができます。
クリエイティブ・チャレンジに登録すると、クリエイターは専用のクリエイター・コミュニティ・グループやメンター・プログラムなど、さまざまなリソースを利用できるようになり、他のクリエイターとつながって知識を共有したり、見識を交換したり、報酬を得たりすることができます。
投稿される動画広告は、高品質で、よく編集されたオリジナルコンテンツでなければなりません。動画広告を出稿し、承認されると、クリエイターは出稿状況を確認したり、パフォーマンスを見たり、毎月の収益を確認したりすることができます。マーケティング担当者はクリエイティブ・チャレンジ機能を通じてクリエイターに支払う初期費用はありません。報酬は、動画再生回数、クリック数、コンバージョン数など、多くの要素に影響されます。修正が必要な場合は、クリエイターに通知が届き、修正または異議申し立てを行うことができます。投稿された動画広告はクリエイターのプロフィールには表示されませんが、審査・承認されるとおすすめフィードに広告として掲載されます。
TikTokの別の広告商品である「ブランドミッション広告」は、本格的な動画コンテンツを作成するためにインセンティブを提供することで、ブランドとTikTokクリエイターをつなぐものです。クリエイティブ・チャレンジはこれとは異なるもので、クリエイティブ・チャレンジを通じてブランドと共有された動画は、ブランドやクリエイターのアカウントに投稿されるのではなく、フィード内広告としてのみ表示されます。
TikTokクリエイティブ・チャレンジは現在米国の一部のブランドとテスト中です。
今回の発表についてのコメント
クリエイティブ・チャレンジは、非常にユニークな広告商品です。メリットはいくつもあると思われます。
ブランドのメリットとしては、トップクラスのクリエイターのコンテンツを集めやすく、広告クリエイティブ管理や出稿プロセスの手間を省きます。
クリエイターにとっては広告のクリエイティブな自由を与え、クリエイターが自分らしい方法でブランドとコラボレーションする機会を増やします。また、クリエイターにとっては、スポンサー付き投稿でフォロワーが増減するリスクを気にしなくてよい、新たな収益化の機会となります。また、広告のパフォーマンスが高ければ高いほど、報酬も高くなるというのはモチベーションにつながりやすい仕組みだと思います。プレスリリースに掲載されたクリエイターは、このプログラムでsix figureの収入、つまり年収一千万円から数千万を得ていると言及しています。
一方、そもそも動画広告を投稿しても、選ばれなければ制作費の回収はできないですし、ブランドがユーザーから投稿された動画に対する永久的な使用権を自動的に与えられる点などを指摘する声も一部あるようです。
YouTubeの黎明期に一時期流行ったコンテスト機能を思い出しましたが、クリエイティブ・チャレンジはプロフェッショナルなクリエイターのための収益化プログラムである点から大きく異なるものです。プラットフォーム間でのクリエイターの争奪戦が激化する中、クリエイティブ・チャレンジがどのように受け止められるか、他のプラットフォームも同様の機能で追随するのかは注目したいところです。