目次
- 1 Google Marketing Live 2023が開催!
- 2 主要なテーマは「AIの活用によるマーケティングの強化」
- 3 Google AIによる検索キャンペーンの自動生成
- 4 生成AIによる自動作成アセット機能の強化
- 5 P-MAXのアセット自動生成
- 6 Product Studio
- 7 ファーストパーティデータ管理の簡素化
- 8 Search Generative Experience
- 9 YouTube 広告 Video viewキャンペーン
- 10 Demand Gen キャンペーン
- 11 Google Merchant Center Next
- 12 P-MAXでの分析情報の拡充
- 13 動画広告の自動生成
- 14 ディスプレイ&ビデオ 360 PAIR(Publisher Advertiser Identity Reconciliation)
- 15 ディスプレイ&ビデオ 360 でのDigital & TVレポート
- 16 今回の発表のコメント
Google Marketing Live 2023が開催!
2023年5月23日(米国時間)、Googleは同社の広告ならびにコマース関連プロダクト群に関する最新アップデートや、開発の方向性を発表するGoogle Marketing Live 2023(以下、GML2023)を開催しました。
※参考リンク:
※2022年のGoogle Marketing Live:
本記事では、日本時間5月24日午前1時よりライブストリーミング配信されたGML2023のメインセッションであるキーノートスピーチの発表内容に加え、その後ブログやヘルプで発表された内容を統合した上でまとめています。ぜひご一読ください。
※参考リンク:
主要なテーマは「AIの活用によるマーケティングの強化」
GoogleのChief Business OfficerであるPhilipp Schindler氏によってキックオフされた本イベントは、冒頭から主要なテーマは「AIの活用によるマーケティングの強化」であることが如実に表れていました。
AIは10年前からGoogle 広告の基礎となるものであり、長年にわたり、スマート自動入札のような機能からP-MAXのようなプロダクトまで、AIを裏側で使うことによってGoogle 広告の発展を支えてきたことを強調しました。
今年のGoogle Marketing Liveでは、新しいジェネレーティブ(生成)AIの進歩によってAIが前面に押し出され、どのようにマーケティングの意思決定、問題解決、創造性の強化に役立つかが新しい機能やプロダクトの発表を通じて行われました。
Google AIによる検索キャンペーンの自動生成
Google AIの活用により、検索キャンペーンの自動生成が可能になります。具体的には、ランディングページのURLをGoogle 広告のキャンペーン作成画面で入力すると、入力されたランディングページ情報からキーワード、広告見出し、説明文、画像アセットを含めたアセットが自動生成されます。
生成された各種アセットに対して、マーケターはGoogle 広告にチャット形式でフィードバックすることができ、フィードバックに基づいて新たなアセットをGoogle 広告は生成します。本機能は2023年7月よりテストを開始し、2023年後半には多くの広告主が利用可能になる予定とのことです。
生成AIによる自動作成アセット機能の強化
2022年のGMLで発表された検索広告の自動生成アセット(以下、ACA)は、2023年2月より英語に限定してオープンベータ版での提供を開始しています。ACAはランディングページや既存の広告のコンテンツを活用して自動的に見出しや説明を生成する機能ですが、Googleは本機能の強化にあたり、生成AIの活用を開始するとのことです。ACAと生成AIを組み合わせることにより、ユーザーの検索クエリの文脈に合わせて広告をより効果的に出し分けることが可能になります。
例えば、「乾燥した敏感肌のためのスキンケア」という検索クエリに対しては、生成AIは「乾燥した敏感肌をケアしましょう」といった新しい見出しを生成し、これまで以上に広告の関連性を向上させることが可能です。本機能は2023年後半のローンチを予定しているとのことです。
P-MAXのアセット自動生成
検索キャンペーン同様、P-MAXにおいてもGoogle AIを活用したアセット自動生成機能が提供予定です。ランディングページのURLをインプットするだけで、Google AIは広告主のブランドを学習し、キャンペーンに適切なテキストや他のアセットを自動的に生成します。さらに、AIが特別に生成した新しい画像を提案し、さまざまなフォーマットで顧客の注意を引くのに役立ちます。
検索広告同様、マーケターはGoogle 広告にチャット形式でフィードバックすることが可能で、Google 広告はフィードバックに基づいて新たなアセットを生成します。本機能の一部に関しては、第一言語が英語の国の広告主に2023年後半より提供開始予定とのことです。
Product Studio
Google Merchant Center Next内で使用可能なProduct Studioが発表されました。本ツールはGoogle AIの原則を重視して設計され、簡単に独自でカスタマイズされた商品画像を無料で作成し、既に持っている画像からより多くの価値を得ることができます。いくつかの主要な機能を見てみましょう。
- 背景画像のカスタマイズ:季節、キャンペーンベース、または単に実験的なものであっても、マーケティングニーズの変化に基づいて新しい画像を作成します。新しい写真撮影の追加費用はかかりません。 たとえば、スキンケア会社は、「桃に囲まれ、背景に熱帯植物がある」製品の画像をリクエストすることで、製品の特別な季節バージョンを強調できます。
- 背景の削除:背景を削除して製品画像のみにすることができます
- 解像度をすぐに高める:商品を再撮影することなく、小さい画像や低解像度の画像の品質を向上させます。
米国の販売業者は、今後数カ月以内にProduct StudioをGoogle Merchant Center Next内で利用することができるようになるとのことです。
ファーストパーティデータ管理の簡素化
現在、手動アップロード、CRMを介したパートナーリンク、ワークフローへの組み込みなど、ファーストパーティデータをGoogle 広告に登録する方法は数多くありますが、Google はプライバシーを重視した方法で、Google 広告での自社データの登録と管理の方法を合理化するよう取り組んでいるとのことです。 まもなく、大小を問わず企業がシームレスかつ安全にデータソースに接続し、データを分析情報に変換し、測定の全体的な精度を向上させることができるようになり、2023年後半にはさらに多くのアップデートが提供される予定です。
Search Generative Experience
GMLでは、Google I/Oで発表されたSearch Generative Experience(以下、SGE)と広告の関係性についても言及されました。ユーザーの質問に対して生成AIを用いて回答を行うSGEは、検索行動をスマートでシンプルにします。
例えば「マウイ島でできるアウトドアアクティビティ」を検索している人が、さらに「子ども向けのアクティビティ」や「サーフィン」について質問するために検索を絞り込んだ場合、子ども向けのサーフィンレッスンを宣伝する旅行ブランドの広告が表示されます。透明性を重視していることからオーガニック検索結果と区別され、広告には広告ラベルが表示される予定です。
YouTube 広告 Video viewキャンペーン
YouTube 広告について、CPV課金で視聴回数を最大化するための機能が発表されました。
スキップ可能なインストリーム、インフィード、ショートを含む複数フォーマットにまたがって表示することで、視聴回数を最大化する機能で、2023年6月よりベータ版の提供を開始する予定とのことです。事前テストでは、スキップ可能なインストリーム広告と比較して、視聴回数が40%増加したという結果が出たと紹介されていました。
2023年5月1日(米国時間)、GoogleはYouTube ショート(以下、ショート)で認知目的の広告配信を可能にするアップデートを発表しています。
今回、視聴目的のキャンペーンでショートにも広告を配信できるようになることが発表されたことで、認知・視聴・獲得すべての目的でショートに配信できるようになります。
Demand Gen キャンペーン
Demand Gen キャンペーンは、ビジュアルとエンターテイメントに特化したタッチポイントに広告を配信するキャンペーンです。配信面はショート、インストリーム、インフィード、Discover、Gmailです。AIによる類似オーディエンスの作成機能も搭載しているとのことです。
コンバージョン測定に加え、検索やブランドリフトなど、あらゆるインサイトを得ることができます。
Google Merchant Center Next
Webサイトから商品情報を自動で連携できるようになり、また、Googleでの売れ筋商品や価格設定のベンチマーク、競合の商材についての分析情報を得ることができるようになったとのことです。
現在、一部のユーザー向けには提供開始しており、近々正式にリリース予定とのことです。
P-MAXでの分析情報の拡充
設定変更によってパフォーマンスにどのような影響が生じてきたかを確認することができるようになりました。今後もクリエイティブアセットがどのように影響しているかなどの分析情報が拡充される予定で、P-MAXキャンペーンのパフォーマンスの変化の要因についてより詳しく確認できるようになるとのことです。
動画広告の自動生成
AIにより、他のキャンペーン、商品フィード、アプリストアの掲載情報などの既存のアセットを使用して、新たに横型、正方形、縦型の動画広告を生成してくれる機能や、横向きの動画から縦向きの動画広告を作成することもできる機能です。Googleのテキスト読み上げ機能を利用して、動画にナレーションの追加もできるとのこと。また、画像の解像度を上げたり、表示面にあわせて適切な画像サイズへ変更したりする機能も備わっているようです。
ディスプレイ&ビデオ 360 PAIR(Publisher Advertiser Identity Reconciliation)
PAIRとは、広告主とパブリッシャーの両サイトを訪問したオーディエンスのファーストパーティーデータを照合することができる機能です。広告主はユーザーのプライバシー保護に留意しつつ、より関連性の高い広告を、より購買意向の強いユーザーに表示することができるようになるとのことです。
ディスプレイ&ビデオ 360 でのDigital & TVレポート
ディスプレイ&ビデオ 360のコネクテッドTVキャンペーン全体でのリーチと効率を測定することが可能となります。コネクテッドTVキャンペーンでは、クロスデバイス・コンバージョン測定も近々導入される予定となっており、スマートTVデバイスで広告視聴したユーザーの行動が確認できるようになるとのこと。
この機能によりコネクテッドTVキャンペーンがファネル全体でどのように影響しているかを、より詳しく把握することができるようになります。米国では2023年5月23日(米国時間)より、一部ユーザーのみベータ版が使用でき、2023年の後半には正式なサービスとして提供予定とのことです。
今回の発表のコメント
2023年のGMLでは、多くのAI関連の機能が発表されました。すでに、Google I/OでSGEを発表するなど、GoogleのAIの注力度合いを推し量ることはできていましたが、広告においてもその期待を裏切らない発表になりました。
生成AIを用いたアセットの生成は、広告の配信プロセスをよりスマートにするでしょう。特に画像の生成においては、クリエイティブの制作スピードや制作コストの課題を解決するものになると思われます。一方で、広告主はブランドイメージを崩さないよう、生成されたテキストや画像を管理する体制も必要になります。
AIのほかにも、ファーストパーティデータの活用やコネクテッドTV、ショート関連など、これまでGoogleが注力してきた領域についてもアップデートがあり、着実に進化を遂げています。
特にショートにおいては、2022のGMLでフルローンチが発表され、アプリキャンペーンや動画アクションキャンペーンの配信面の一つとなりました。2023年に入り、動画リーチキャンペーンやYouTube Selectの配信先となることが発表され、今回、Video viewキャンペーンが発表されるなど、ショートへの注力が伺えます。
今回のGMLは、生成AIを中心とした先端的なアップデートがありつつも、これまで注力してきた領域を進化させるなど堅実な印象を持つことができました。生成AI関連の機能が本格的に導入される2023年、引き続きGoogle 広告の動向を追いかけていきます。