2023年3月15日、株式会社Shirofuneと株式会社キャスターは合同でBtoB企業のマーケティング職や広告・販促職の方109名を対象にWeb広告運用体制に関するアンケート結果を発表しました。
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目次
調査結果の内容
株式会社Shirofuneと株式会社キャスターは合同でBtoB企業のマーケティング職や広告・販促職にかかわる方を対象に広告運用体制についてのアンケート調査を行った。調査結果によると、「代理店と自社運用を併用」を含めると自社運用(内製化)を行っている企業が52.4%と半数以上に上り、自社運用体制は未経験者による運用が33%、経験者による運用が67%となった。
また、代理店運用から自社運用に切り替えた理由は、「手数料を削減したかった」「ノウハウを社内に蓄積したかった」「広告運用の経験者あるいは副業人材を採用できた」が同票で多い結果となった。自社運用に切り替えた際には、「PDCAを回すスピードが上がった」「自社に広告のノウハウが蓄積された」というメリットがあったと回答している。
一方で、 自社運用に切り替えたあとに感じた代理店時代のメリットとしては、「運用を任せることで空いた時間を他の業務に費やせる」「自社で未対応の新しいメディア・広告プロモーションに対応してもらえる」という回答が多い結果となった。
広告運用体制の自社運用(内製化/インハウス)体制とは
内製化(インハウス化)とは、運用型広告などWeb広告を実施する際に発生する、運用調整、入稿対応、クリエイティブ制作など戦略設計、戦術設計から実行部分までの各業務を広告代理店などへ外部委託せず、自社で対応すること。
広告運用体制の自社運用とは、Web広告を実施していく際の各業務を自社内で対応する人材(リソース)を自社に配置し、チームとして運用型広告の配信を行っていく組織を形成されていること。
内製化、インハウス化体制ともいう。近年ではすべての業務を内製化するフルインハウス体制の他に、自社の体制でできる一部分(一部媒体)のみ内製化したライトインハウス体制を取り入れる企業も出てきている。
調査概要
調査機関:株式会社キャスター
調査方法:インターネットリサーチ
調査機関:2023年1月23日~2023年1月31日
調査対象:全国の23~60歳の男女、BtoBの事業会社におけるマーケティング職、広告・販促職
有効回答数:109名
調査結果データ
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運用体制面
「Q1 現在の広告運用体制について教えてください。」という質問に対する結果は、「代理店運用」が27.5%に対して、「自社運用」つまりインハウス化が28.4%とやや自社運用が多い結果となった。また、「代理店運用と自社運用を併用」では24.0%となっており、一部分からでもインハウス化を行っている割合は52.4%と半数を上回る結果となった。
「Q2 自社運用の体制について教えてください。」では未経験者による運用が33%、経験者による運用が67%と高い割合で経験者が運用を支えている結果となった。
「Q3 これまでの広告運用体制の変遷として一番近いものをお選びください。」では、「運用開始以来、継続して自社運用」が33%、「運用開始以来、継続して自社運用と代理店運用の併用」17%と続き、「運用開始時は自社運用、現在は代理店運用」では1%と自社運用切り替え以降は一部代理店と併用しつつも自社運用を継続している傾向が見られた。
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自社運用体制を行って見えてきたこと
「Q4 代理店運用から自社運用(内製化)へ切り替えた理由は何ですか?」という回答では「手数料を削減したかった」「ノウハウを社内に蓄積したい」「広告運用の経験者あるいは副業人材を採用できたから」が同票で多い結果となっている。
「Q5 自社運用開始当時の懸念について、教えてください。」では、「マーケティング施策の客観的な評価が難しい」「広告代理店のようなプロの専門知識を活用できない」「前金利になるのでキャッシュ・フローに悪影響がある」と回答した人がQ4に続き同率同票数で多い結果となった。
「Q6 代理店運用から自社運用に切り替えたときに感じたメリットはありますか?」では、「PDCAを回すスピードが上がる」が最も多く、続いて「自社に広告のノウハウが蓄積される」が高い結果となった。
「Q7 自社運用中に発生した課題はありますか?」という、切り替え後に生まれた新たな課題感としては「運用に工数がかかりすぎている」が最も多く、「広告運用経験者の採用が難しい」「広告運用経験者が退職してしまった」「PDCAの最適化の方法がわからず、成果が伸びづらい」「自社だけで知見を蓄えるのに限界がある」という回答が続く結果となった。
「Q8 自社運用に切り替えたあとに感じた代理店時代のメリットはありますか?」では、「運用を任せることで空いた時間を他の業務に費やせる」が最も多く、続いて「自社で未対応の新しいメディア・広告プロモーションに対応してもらえる」という回答が多かった。
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代理店運用体制について
「Q9 自社運用を行わない(内製化しない)理由は何ですか?」という設問では、「自社運用の場合、最新ノウハウを収集することが難しいため」「自社で担当者を育成する必要があるため」がそれぞれ31%と多い結果となり、「社内でリソースを割く必要がなく、広告の効果が得られるため」「WEB広告運用が自社担当者に属人化してしまう可能性があるため」「業界の最新情報や媒体の最新情報が得られるため」という回答が続いた。
「Q10 これまでに何度代理店を切り替えたことがありますか?」では、1回21%、2回が17%と比較的少ない一方で、「5回以上」が9%と約1割が当てはまる結果となった。
今回の調査結果についてのコメント
今回の調査結果では、BtoB企業を対象としたアンケートですが、一部でもインハウス化(内製化)を行っている企業が半数を超える結果となりました。海外では既にインハウス化が主流となっていますが、日本でもインハウス化に波が来ている事がわかりました。
BannerFlow社がDIGIDAYと共同で調査した海外でのインハウスの調査事情では、パンデミック(新型コロナ)をきっかけにインハウス化が加速し、「一部をインハウス化している」を含めると97%という調査結果も発表されています。
(参考:https://inhouse.bannerflow.com/state-of-in-housing-2022-report/)
インハウス化を行うことで「PDCAが早く回る」「ノウハウが自社に蓄積できる」「手数料が抑えられる」という一方で、今回の調査結果でも回答している方がいたように、代理店から切り替える事で「運用に時間がかかりすぎる」「最新情報のキャッチアップがしにくい」「正しい施策かわからない」という点があがっています。代理店が如何に幅広く最新情報をキャッチアップし、運用に時間を掛けた対応を行っているのかが見える結果でもありました。単に、「手数料を下げる」という事だけを目的としたインハウス化への切り替えはインハウス化の失敗例として上位にくる事象です。経験者の採用ができる事が一番ですが、なかなか経験者の採用もしにくい市場です。例え経験者が採用出来ずとも、すべての配信広告プラットフォームをインハウス化するのではなく、一部からでも切り替えていくなど順序立てた進め方を行い、自社には何が必要で、どのくらいの組織体制を構築するべきなのか見極めながら向き合っていくことが失敗しないインハウス化への取り組みだと思います。