オプトに聞く:今なぜ広告代理店オプトがインハウス事業を始めるのか

オプトに聞く:今なぜ広告代理店オプトがインハウス事業を始めるのか

アタラ 伴走型インハウス化支援サービス

米国では主流となりつつある「インハウス」は、広告運用を広告代理店に依頼するのではなく広告主が自社内で内製化して進めるキーワードとして使われてきました。ここ日本でも、広告運用に限らないデジタルマーケティング、データ活用全般をインハウス化する広告主企業が増えてきています。本来であれば、広告代理店にとってはあまり嬉しくないであろうインハウス事業に、大手デジタル広告代理店の一つである株式会社オプトが乗り出しています。今、なぜオプトがインハウス事業を開始するのか、代表取締役社長CEOの栗本聖也さんに伺いました。

話し手:
株式会社オプト
代表取締役社長CEO 栗本聖也さん

聞き手:
アタラ合同会社
CEO 杉原剛

 

デジタルマーケティングのあらゆる領域を経験して広い視野を獲得

杉原:まず、自己紹介をお願いいたします。

栗本:2010年にオプトに中途入社し、今年(2023年)で12年目です。

杉原:中途入社だったのですね。

栗本:よく「新卒入社っぽい」と言われるのですが、実は中途入社です。前職ではリクルートの広告代理店でメディア営業をしていました。その頃の広告事業はちょうど紙媒体からインターネットへ媒体の移行が進み、メディアの価値が大きく変わるタイミングでした。集客や求人を目的とするメディアは紙媒体の場合、どうしても広告を掲載してみてどうだったかという効果が分かりにくく、さらに、リクルートや広告代理店には営業担当者が何千人、何万人といて広告商品も価格も同じ中で、営業力がものすごく問われました。ちょうど広告事業がインターネットに移行するタイミングに入社できたので、良い経験ができたと思っています。インターネット広告では、メディアの中でその企業の求人や集客用の原稿がどれくらい表示されたのか、どの流入経路からその原稿にたどり着いたのか、最終的にどれくらいの応募につながったのか、集客につながったのか、ということを定量的にレポーティングできるシステムが徐々に搭載され始めていて、効果をもとにPDCA(=Plan, Do, Check, Action)を実行していくのはお客さまのためになることだ、という実感をそこで得ることができたからです。

その後2007年ごろから、マーケット全体で情報を消費者や生活者に届けるプロセスをインターネット化していく潮流が一気に加速し始めます。当時は、検索メディアとしてはYahoo! Japanが中心でしたが、検索ポータルから直接検索をして、何かを予約したり申し込みをしたりということが加速度的に増えていきました。SEOやリスティング広告が世の中で流通し始めてきたときに「情報サイトだけで集客をするのではなく、生活者が直接検索をして必要な情報や必要な申し込みなどをするようになるだろう」と思いました。インターネットを活用したマーケティングが今後のトレンドになっていくのだろうな、というのを当時リクルートの広告代理店で営業していたときに肌で実感したことがきっかけとなり、インターネット広告の業界に行ってみようと思いました。

杉原:実際にインターネット広告の世界に入ってみて、いかがでしたか。

栗本:お客さまの事業の成長が可視化されて、それが自分たちの貢献実感にも変わっていく働き方は大変やりがいがありました。僕は広告運用のコンサルタントとしてオプトでのキャリアを始めたので、広告フォーマットの作成や広告文入稿、広告配信のチューニング、レポーティングという広告運用のPDCAをお客さまと一緒に実行していました。その後、営業とコンサルタントがハイブリッドになった組織を部長として見ることになり、そこでも同様にお客さまと向き合ってきました。運用と営業を2、3年くらいのスパンで、ずっと行ったり来たりし続けるようなキャリアでした。

杉原:いろんな職種を行き来するというのは、御社ではよくあるパターンなのですか。

栗本:営業は営業、運用は運用というように、その道をずっと突き進んでいく人材が多いので、社内では比較的レアなケースでしたね。しかし、この業界では営業と運用いずれの経験を繰り返し行ったり来たりすることも、とても大事だと思うのです。お客さまの課題を解決するために広告プロダクトをどう活用すればいいのか、具体的に自分で理解するアンテナを張りにいくことができるのと、その一方で、お客さま側の課題と業界の課題をキャッチアップする重要性や、こちら側から課題を発見しにアプローチしていくことがすごく重要な業界だということを、そうした働き方を通して実感することができました。

その後、プランニングの領域の役員に着任しました。そこではブランドコミュニケーションやコミュニケーションデザイン、あとは動画広告のクリエイティブに対する考え方など、これまで自分がコンフォートゾーンとしてやってきた領域とは全然違った領域を管掌し、大変勉強になりました。

これまではダイレクトレスポンス向けの広告との向き合いが中心でしたが、ペイド、アーンド、オウンドという、いわゆるトリプルメディア(※コンテンツの発信者、拡散者、仲介者)がお客さまの事業にとって必要なコミュニケーションとしてちゃんと連関する状態になっているかどうか、という重要性を感じました。また、より広い視点でお客さまと向き合えるようになったのは、プランニングの領域を担当するようになってからです。そういったキャリアのプロセスがあり、2021年の4月に代表取締役社長CEOに就任しました。

杉原:なるほど、さまざまなキャリアを経ての就任だったんですね。

事業ステージや課題に合わせた伴走を社内ツールも活用しながら実現する

杉原:次にインハウス事業の話を伺いたいと思います。サービスのローンチについては大きく打ち出していませんよね。

栗本:はい。これからです。

杉原:導入部分はどのようにお考えですか。実際セミナーもやっておられるし、お客さまももういらっしゃるわけですよね。

栗本:お客さまの事業のステージや課題に応じて、自分たちのサービスをちゃんとお客さまに適した形で提供したいと思っています。例えば、まだ事業ステージがそこまで拡大できていないケースや、もう成熟はしていて、ここから競争戦略にもっと振り切らないといけないケース、あとは業界の中でもプレーヤーが多くて、その中で勝ち残っていくための手段を考えないといけないケースなど、お客さまの事業のフェーズやステージ、課題にはさまざまなケースがあります。それらに応じて自分たちのサービスを提供したいと考えています。

ポートフォリオとしては今、大きく三つ考えています。一つが既存の広告事業、もう一つはインハウス事業、あともう一つがマーケティングアセット事業、この三つです。

広告事業とインハウス事業は言葉のとおりですが、マーケティングアセット事業とは、社内で開発しているポストCookie時代における統合データ活用プラットフォーム「ONE’s Data」というツールを基軸に、お客さまにとって必要なデータの可視化やデータ環境の構築などをロータッチからハイタッチまでできるようにしていくことです。

例えばマーケティングアセット事業では、データ環境構築にコンサルティングが必要な場合は、マーケティングコンサルティングまたはインハウス支援ができればと考えています。

オプトのマーケティングの全体像と支援範囲

杉原:どちらも親和性が高そうですね。御社でONE’s Data以外で持っている内部ツールも含めてですか。

栗本:ここも今後、拡充していこうと思っています。例えば、社内でのレポートの自動化や入稿の自動化、さらにはONE’s Dataに取り込むデータで一つのデータプラットフォームづくりもします。例えば、そこにお客さまがファーストパーティデータに近いものを接続させると、ONE’s Dataで広告の成果だけではなく、より深度の深いマーケティング成果をちゃんと可視化するようなデータ環境構築もできるのです。広告運用に周辺の社内ツールをインハウス化に向けて併せて外販していくのと、深いデータをONE’s Dataのデータプラットフォームに取り込むことで、お客さまが知りたいマーケティングデータをONE’s Dataでレポーティングできるようにするなど、さらにオプションを追加していく予定です。これにより、生活者一人一人にそった丁寧なマーケティング活動をしやすくなります。

杉原:いいですね。その中でも、やはりONE’s Dataが中心になりそうですよね。

栗本:今はそうですね。そのため、お客さまの事業ステージ課題に合わせて広告支援だけでなく、お客さまの課題を掘り起こして、そこに伴走できるサービスを提供することができたらいいなと考えています。

なぜオプトがインハウス事業を考え始めたのか

杉原:オプトがインハウス事業を検討しているという話を聞いたときは、とてもびっくりしたのですが、なぜそういった考えに至ったのでしょうか。

栗本:インハウス支援やお客さまの課題に伴走するという思想を持ち始めたのは、実はオプトに転職して1年目から3年目くらいのときでした。

杉原:だいぶ前なのですね。先ほど、近しい業界ではあったものの違うビジネスモデルの会社に来てびっくりしたという話をされていましたよね。僕もオーバーチュア在籍時、その前にいたのがIT業界だったので「この業界は何もない」とびっくりしました。あと極めて非効率でしたし、外資系企業にいたのでアメリカの会社の状況とコントラストで見ていました。日本と比べると、完全に向こうは商流の中でのエージェンシー(広告代理店)のポジショニングが違います。商慣習の部分もあるのですが、海外でやっているインハウスの考え方のほうが僕はしっくりきたんですよね。でも、日本のこういったビジネスモデルの市場に持ってくるときは、いろいろ大変でした。僕も当時からインハウス支援をしたい気持ちがあったので、栗本さんもこちらの業界に来て、その辺りの刺激があったのではないかと勝手に思ったのですが、いかがでしょうか。

栗本:そうですね。ビジネスモデルとして杉原さんがおっしゃるところも同感ですし、自分が現場に出ていたときやメンバーをマネジメントしていたときなどに、非効率でやることがたくさんありました。価値の高い仕事をしているとは思っていたもののビジネスなので、やはり広告主と広告代理店がパートナーとして対等になりきれていないような違和感を感じたのです。どちらがいい、悪いというわけではありませんが、広告代理店はやはり自分たちの売り上げや粗利を伸ばすため、広告予算を増やすための提案をする場合が多いじゃないですか。一方で、広告主は広告費を削減しつつ良い成果を出したい。広告主側と広告代理店側の関係性に大きな溝があると感じました。

例えば、広告主から広告費の値引きのご要望があった際に、広告代理店は、マージンから値引きをすることになります。マージンは広告代理店の収益源なので、収益源を削ると広告代理店のサービスレベルが下がってしまう可能性もあります。広告主にしてみたら、価値の低いものや品質の低いものが納品されることになるので、お互いにどんどん先細らせるスパイラルをつくるだけで、本質的な目的とは向き合わない関係性になってしまいます。中には、それを分かった上でパートナーシップを求めてくださるお客さまもいらっしゃいました。こうした、お客さまの事業の目的や成果との向き合い方はお客さまのためにもすごくつながりますし、広告代理店の関わり方という意味でも付加価値の高いものを提供できるのではないか、と現場のときにすごく感じていました。

オプト栗本氏

杉原:栗本さんは、そういう姿勢でお仕事をされてきて、これまでも事業パートナーとして求められる会社さんは、もちろんおられたと思うのですよ。そういった中で、日本の旧来のビジネスモデルでやってきた広告代理店さんがインハウスを事業としてまで踏み切るのは、結構な決断だと思います。

栗本:そうですね。

杉原:そこの変化に至ったのは時代もあると思いますし、ここ5年程の間で、広告を含めるマーケティングにおけるデジタルの重要性や位置付けが、DXの流れも含めてステージが上がりました。ステージが上がっていく中で相談相手が欲しいという変化は一つあったのかなと思います。広告もデジタルマーケティングもそうですが、お客さまドリブンでDXに近いところも含めて事業パートナーとしてやってくれないか、というニーズが増えてきました。アタラとしてはそう感じているところがあるのですが、その辺りはいかがでしょうか。

栗本:グループ全体としても成長志向企業の売上・利益につながる伴走者でありたいと思っていますし、僕らが向き合っている広告主側のニーズも当然、今おっしゃったような変化が如実に増えてきている印象はあります。

杉原:そういった中で、お客さまからインハウスや内部強化をしたいという声が増えてきたとは思いますか。

栗本:はい。

杉原:それがインハウス事業に踏み切ろうと思ったきっかけですか。

栗本:それもあります。やはり、お客さまも広告代理店と対等に渡り合う必要性を必然的に感じられる機会が増えたのではないかと思うのです。僕もDX化を推進するためにはマーケティングが必須であると考えていますし、デジタル化によりデジタルマーケティングがますます求められている中で、自社内の強化をし、社内でPDCAを実行できる状態にしないと、事業が持続的に成長するための戦略や方針を自分たちで考えきれなくなってしまいます。このような課題が、インハウス支援の後押しになっていると思います。

コロナ禍とともにデジタルが企業の存在意義や戦略を問う基盤となる時代に

杉原:他に何かきっかけになった背景はありますか。

栗本:あとはコロナ禍になって、企業としての在り方などに関する考え方が少しずつ変わってきているように思います。海外ではすでに、自分たちの事業やサービス、プロダクトが世の中になぜ必要なのか、いわゆるパーパス(※目的、意図)からサービス開発や戦略を行うことが当たり前のようにできていましたが、日本の中でも、そういったことを問うたり考えたりする経営者が増えてきている実感があります。売り上げを伸ばすために商品をつくったりサービスを開発したりするのではなく、企業としての存在意義や世の中に対する商品やサービスの意味、意義を考えて、そこから戦略を考えるという構造になってきているのです。

目の前の販促活動ももちろん大事ですが、その根っことなる戦略をどう描くか、まずはそれを検討できるような素地をつくりましょう、ということです。しかし、この素地をつくるにしても、やはりデジタルの力がとても重要です。お客さまとも、社内に点在している販促や購買、お客さまに関するいろいろなデジタルのデータを統合したり、ひもといたりして、自分たちの存在意義に昇華できるような分析をしていきたい、というケースが少しずつ増えてきています。

杉原:コロナも一つのきっかけにはなったかもしれませんね。サイロ化された組織もデータもシステムも、なんとかしないといけない。でも、オーケストレーションができる人材は非常に限られています。

栗本:そうですね。ここ2、3年で、海外にはCMOがいるけれど日本にはいない、という例えをされるようになってきていますし、デジタルを中心としたマーケティングが、その企業の戦略やパーパスを実現するためのより中核的な位置付けになってきているのを強く感じます。

自分たちの提供範囲は「人×プロダクト」で定める

杉原:確かに、内製化したいけれど外部の広告代理店の新たな役割がすごく求められている時代になってきたのかなと思います。運用型広告だけの体制をつくりたいというインハウス支援ももちろんあるのですが、そもそものDXとかデジタルとかいうのは顧客理解のやり直しだと思っているので、それも含めて戦略を練り直したいから伴走してほしい、という相談が圧倒的に増えました。僕らはインハウス支援もずっとやってきていて、運用型広告に閉じた形でやってきた部分もあったので、どこまで広げていいかな、というのが難しいと感じているところです。

栗本:僕らも、そこはとても難しいテーマだと思っています。いわゆるストラテジーを描ける技術・スキルを持ち合わせた人は業界全体の中では限られていますし、人固有の能力に依存しすぎては事業としての再現性やスケーラビリティを担保することの難易度が高い。そういったジレンマを超えるためには自分たちの提供範囲を「プロダクト」と「人」の掛け合わせで、解決できる範囲を再現性高く拡大していきたいと考えています。

杉原:それは分かりやすいですね。

栗本:例えばマージン15%のお客さまがいたとして、5%は内製化のコンサルティングやオンボーディングを支援します。10%に関しては、広告マージンの範疇を超えて、ONE’s Dataの導入や実装、それと類似したCDPの構築や設計、あとはKPIのコンサルティングを実施します。

いわゆる内製化に関しても、単純に人の教育だけではなく、プロダクトを導入、活用しながらこういった体制を整えていくことで、今まで広告代理店でやっていたことが、より生産性が高く効率的にお客さまが社内でもできるようになりますよ、ということが構築できるとすごく理想的だと思っています。そこにとどまらず、あくまで広告の成果はお客さまの事業の成果や事業の売り上げであり、媒体コンバージョンの最適化を目指した結果、影響度が高いか低いかをモニタリングできる環境をつくっていく必要性もありますよね、と。そのために、広告費でいただいたときのマージンの10%分くらいでお客さまの社内のデータ環境を整備して、それを広告や広告以外のチャネルに活用していき、事業のマーケティングがより効果的になっていくためのコンサルティングや環境構築の支援ができるようにしていきます。

広告代理店からのクライアント卒業がポジティブであるために必要なこと

杉原:僕らも運用型広告レポート作成支援システム「glu」など、自動化したダッシュボードは100%入れていくというところから始めて、ツールやシステムをつくってほしいと言われれば、一応ケイパビリティもあるのでやっていきます。そこもセットにしないとやはり効率化の部分が後回しになってしまって、ノウハウを提供しても完結しない部分があるので、セットで提供するというのはすごく納得感があります。

お客さまによってはトレーニングを行って、ものすごく効率化できて、いろいろお伝えした結果「知見も共有して内部のリソースもそろってきたので独り立ちします」というケースもあると思いますが、それは今までの広告代理店さんとしてのビジネスモデルからすると、結構相反する部分があるじゃないですか。そこに関しては、どう思われていますか。

栗本:お客さまが理想とする状態を達成できているのであれば、あまり否定的に捉える必要はないと僕は思っています。むしろポジティブなこととして捉えるようにしていきたいです。

オプトのインハウス事業部の自走支援とは

ビジネスでいえば「人×プロダクト」でツールの導入支援を行ない、まずはお客さまにご満足いただける顧客支援を実行し、プロダクトのリカーリングレベニュー(繰延収益)を継続的にお取引していただけるようなオプトの付加価値を提供したいと考えています。、コンサルティングやオンボーディングのリソースは、もうお客さまの中で完全に内製化ができているのであれば、他の事業機会に自分たちのリソースを差配すればいいと思います。お客さまと真摯に向き合い続けることで、お客さまの事業ステージが変化したときや新しい戦略や方針の変化があったとき、僕らが呼ばれる理由になると信じています。

広告代理店依存からの脱却を中長期的な視点から考えるアプローチ

杉原:デジタルの専業でやってきた広告代理店さんは、何もないところから、いろいろなワークフローの中でツールをそろえてきています。御社は顧客課題の発見からツール開発、実行支援まで一貫した支援が可能ですよね。それはすごい長所だなと思っています。他では、あまりその一貫した実行支援を外販する感覚を持っていないのではないかと。いや、それはすごい知見だから、もったいないという話を過去にしたことがあります。

栗本:意外とサポートする側の方々も「お客さまが別に欲しがらないんじゃないか」「そういったものは、お客さまのニーズにないのではないか」と思われているケースも結構僕は多いと思うのですよね。お客さまに「こういう作業をもっとできるようにしてください」とか「これは、お客さまの社内でできるようになるべきですよ」という売り方をしてしまうと「いや、そのリソースを社内で抱えるのは……」と、短期的なコストと見てしまうと思うのですよね。

オプト デジタルマーケティングインハウス化のメリット

しかし、中長期的に考える機会がお客さま側にもすごく増えてきているからこそ、広告代理店の役割は、お客さまとともにマーケティングの戦略や方針を考えたり実行したりすることに時間を費やすことだと考えています。そのために、まずは内製化を支援させていただけませんか、と話しています。

オプト デジタルマーケティングインハウス化の状況

杉原:実際インハウスの機運が高まり、いろいろなレベルのインハウスがあるけれども、お客さまもやってみて気付くことがたくさんあるのですよね。しんどいとか、全然人が足りないから、とか。そういった中で、効率化できるものがあるのですよ、という穴埋めをしていくイメージかもしれません。デジタル、ツールアセットがたくさんあるから、これもう外向けのSaaSにしてやってしまおう、という感じではないかと思っています。

栗本:そうだと思います。

杉原:お客さまの反応はいかがですか。

栗本:最初のうちは見向きもされない可能性もあると思っていたのですが、お客さまからのニーズは多いです。単純に定量化できるようなデータ基盤をつくりたいというニーズもあります。お客さま、特に経営層の方ときちんと話ができれば、提案を聞き入れてくださる実感がこの半年間で得られたなと思います。

杉原:最初のほうにおっしゃっていた、アジャストという言葉にすごく表れていると思うのですが、お客さまの状況ややりたいこと、現有リソース、先々持とうと思っているリソースによってニーズが大きく変わってくるじゃないですか。そこでお客さまの状況に合わせて、アジャストして提供できるという柔軟性があれば、ニーズはあるということですね。

栗本:そうですね。柔軟性を持ちながらも解決できる範囲を「人×プロダクト」という範囲に限定的にしていくことも必要だなと思っています。

杉原:そこのライトバランスが必要ですよね。

アタラ合同会社 CEO 杉原剛

インハウスやマーケティングアセットでオプトに独自色を

杉原:では最後に、今後の取り組みや展望、お話ししておきたいことなどはありますか。

栗本:繰り返しになりますが、2023年はさらにサービスをとがらせつつ、お客さまに対し、オプトならではの価値を提供していきたいと思っています。インハウス事業とマーケティングアセット事業は今年から開始した事業のため、2023年は広告事業、インハウス事業、マーケティングアセット事業という、この三つの事業においてオプト独自の付加価値をいかに生み出すかが僕の一番優先度の高いミッションです。

杉原:楽しみにしています。ありがとうございました。

※本記事の内容、肩書きは2023年2月現在のものです。

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