Microsoft広告 有園雄一さんに聞く:日本でリブートしたMicrosoft広告事業は他社とどう違うのか:後編

Microsoft 有園雄一さんに聞く:日本でリブートしたMicrosoft広告事業は他社とどう違うのか:後編

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Microsoft広告について聞く

2022年5月31日、Microsoftが日本において広告事業「Microsoft Advertising(Microsoft広告)」をリブートしたという突然のニュースは、インターネット広告業界に大きな衝撃を与えました。そして、Microsoft Advertisingの日本におけるRegional Vice Presidentに就任したのが、アタラのフェローでもある有園雄一さんです。

今回は、Microsoft Advertisingについて、そして、その事業の根底に流れるMicrosoftの哲学について、今後の事業の展開について、ともに日本のインターネット広告業界を長年ともに歩んできたアタラCEOの杉原剛がインタビューしました。

「Go」「Ari」と呼び合う仲の二人によるロングインタビュー、後編です。

※前編はこちら
Microsoft 有園雄一さんに聞く:日本でリブートしたMicrosoft広告事業は他社とどう違うのか:前編(1/2)

今回の話し手:日本マイクロソフト株式会社 有園雄一さん

話し手:
日本マイクロソフト株式会社
Regional Vice President Japan, Microsoft Advertising
有園 雄一さん

聞き手:
アタラ合同会社
CEO 杉原 剛
 

Microsoftは広告でも人をエンパワーする

杉原:Microsoft Advertisingの大もとに流れる思想みたいなものはありますか。

 

有園:Microsoft Advertisingがなぜ勢いがあるのかという話にもつながるかもしれないのですが、クロスプラットフォームの思想がこの裏にあると思っています。理由は、明示的に書いていませんが、Microsoft 365はMacにも入っている。つまり、Macユーザーも取り込んでいる。EdgeはMacでも走るので、Macユーザーを一部取り込んでいます。Appleのマシンの上でWindowsを走らせる人もいるじゃないですか。

日本マイクロソフト 有園雄一 1

 

杉原:いますね。

 

有園:このMSNも当然Appleからも見えるし、BingもAppleから検索できる。要はWindowsマシン、Appleマシン両方ともカバーできる体制になっています。

そして、EdgeでGoogle検索している人は行動履歴が分かるわけです(個人データは個人を特定できないように加工している)。Edge上のMicrosoftアカウントにログインしている状態で、Googleのアカウントにログインして検索しているということが実際にあって(自分もそうして使っている)、二重に両方のプラットフォームに同時にログインして使っているという観点でもクロスプラットフォームですね。

なので、カバー範囲はWindowsマシンだけじゃないですよと。一部のAppleユーザーも含まれているし、場合によってはAppleユーザーでMicrosoft 365を使っている人もいる。

ユーザーのさまざまな属性や趣味嗜好についても、いろいろな行動履歴から推定できます。背景としてクロスプラットフォームや端末から分離したソフトウェアをベースとしてといる会社なので、全てを載せようとした思想に基づいて、Windows、Appleユーザー問わずユーザーがいる状態だから、世界最大級のファーストパーティデータがあるわけです。

そこに基づいてターゲティングするので、精度は上がるはずです。広告運用の現場の方々にとってどちらがターゲティング精度が高いか。もしかしたらショッピングにおいてはAmazon Adsが一番高いかもしれませんが、こうした背景にあるので、Microsoft Advertisingが勢いがある理由の一つは、Advertisingだけではなく会社としてクロスプラットフォームを見据えた戦略があるからだと考えています。

そして、サードパーティークッキーがChromeで使えなくなっていく。GDPRの影響で、サードパーティーデータの利活用に関するユーザー同意を取得することが難しい状態になりました。一般的なアドネットワークの場合、ネットワークを作っている事業者(GoogleやYahoo! 、DSPなど)からすると、全ての配信先サイトが他社のもの(第三者のサイト)なので、アドネットワーク事業者が直接的にユーザー同意を取得するのが困難になります。

そのため、GDPRは既存のサードパーティークッキー依存のアドネットワークにかなりの打撃を与えるわけですし、それがGDPRの狙いですよね。ユーザーの同意も取らずに、勝手にユーザーのデータを使って広告配信してお金もうけをすることに対しての、社会的批判がヨーロッパで巻き起こって、法整備されたわけですね。

一方で、Microsoftの場合は、会社の戦略がたまたまかもしれませんが、クラウドコンピューティングを基盤にして、全ての人々と全ての企業を「Empower」するとなっているので、Appleなどもパートナーになって、クロスプラットフォームでデータが集まってくる。そして、SaaSビジネスで集まってくるデータはファーストパーティデータなので、ユーザーとの直接的な関係の中で必ず、利用規約などに同意してもらっています。

そのため、GDPRに違反することなく、世界最大級のデータを使えるわけです。ここが重要です。

広告配信において、大量のファーストパーティデータがあるインパクトの大きさは、業界の人に説明する必要はないかとは思いますが。

例えば、ソーシャルメディアであるLinkedInを買収しました。なぜならLinkedInユーザーにはWindowsユーザーもかなりいて、クロスプラットフォームに載せる価値がある、ビジネスユーザーが多いという意味でも相性がいい。

ちなみに、Microsoftのミッションは「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.」。Microsoft Advertisingの広告を使ってくださる人たちは、マーケターの人たちです。その人たちをなるべくエンパワーしたいと思っています。

だから、サーチだけやっていても仕方がないですよね。マーケターや広告代理店様のニーズに応えられないから。できるだけいろいろなものを載せながらエンパワーしようというときに、昨今リテールメディアの重要性が業界で高くなってきて、2019年にPromoteIQを買収するという流れです。リテールメディアは購買意向の高い状態の人々が集まっている可能性が大きいので、そこでの広告出稿はCVRが高くなりやすい。コンバージョン効果を狙った広告モデルとして、非常に優れている。Amazon Adsが急激に成長した理由もここにありますね。

2019年にリテールメディアに目を付けたというのは早いですよね。

 

杉原:すごく早いと思いました。

 

アタラ合同会社 杉原剛 1

有園:LinkedInの買収は2016年です。MicrosoftからするとBtoBに強いので相性もいい。しかし、2019年のPromoteIQは早い。

でも、2019年というとAmazon Adsが伸びてきていたタイミングです。Amazon Adsはリテールメディアのようなものだし、Walmartのリテールメディアも伸びてきていた。そういうことをにらんでのPromoteIQの買収だと思いますが、これもエンパワーメントするため。全てのプラットフォームを載せてもいいってことです。

そもそも思想が、ソフトウェアとして独立したWindowsというオペレーティングシステムというプラットフォームをつくっている会社なので、そこに載せていくというのは、筋が通っていることだと思うのですよね。

 

杉原:ということは、今後も買収はありそうですね。

 

有園:はい。リテールメディア領域でPromoteIQはとても強力です。とても強力な会社ではありますが、それだけで十分にエンパワーメントできないのであれば、他の企業の買収を考えるというスタンスは普通、どこの企業でも当然あると思っています。

カルチャートランスフォーメーションで本物のプラットフォーマーへ

有園:ちなみに、昔のことは分かりませんが、会社全体の雰囲気としては“売り上げ、売り上げ”とは言っていないんですよ。現場ではもちろんありますけどね。サティア(現在のMicrosoft CEO サティア・ナデラ氏)になってから、“カルチャー、カルチャー”と言われています。ダイバーシティ&インクルージョンと。

入社後の研修では最初に「グロースマインドセット」といって、サティアの動画を見ます。

 

杉原:それ、聞いたことがある。

 

有園:サティアの話をすると、明らかにインドカルチャーを背負っていて、哲学的な感じです。彼の息子さんには脳性まひがありました。サティアの著書にも、明らかに家族の影響があることが書かれています。なので、Microsoftの製品やサービスを使っていない人であってもエンパワーしたいという意味が込められている。もうBeyond information technologyとか、Beyond software, hardwareとかもはやそういうことではなく。

そうなると、では何をしないといけないのかというと、ダイバーシティ&インクルージョン。みんな多様性を認めて、みんなインクルードしてやっていけるという思想に変われば、争いも必要がなくなる。一企業としてそういう文化をまずわれわれがつくるのであると。Microsoftでそれをつくり、その思想の下でサービスを提供して、クロスプラットフォームで、GoogleもAppleも敵ではない、なぜなら、ダイバーシティ&インクルージョンで、みんなと相互補完的に共存共栄でやっていきましょう、と。そんな感じです。サティアがCEOになったのが2014年、ちょうど8年経って、かなり変わったのではないでしょうか。

日本マイクロソフト 有園雄一 2

 

杉原:外から見ても変わったと思いますよ。

 

有園:これはミーティングでもよく言われるし、サティアの本にも書いてあるのですが “Shooting each other” “Internal politics” がはびこる会社であり、それが課題だと思っていたと。日本語でいうと足の引っ張り合いがあり、内部の権力闘争がある。そういったカルチャーをまず変えなきゃいけないと。そう簡単には完全にはなくならないけれど、かなりMicrosoftは変わったのではないかと思います。

 

杉原:なかなかね。でも僕もMicrosoftはここ数年で変わったイメージがある。

 

有園:Microsoftという会社自体が、デジタルトランスフォーメーションならぬ、ビジネストランスフォーメーションをしようとしているんですよ。

ビジネスとしては、MicrosoftはCD-ROMを売っている会社から、クラウドビジネスにデジタルトランスフォーメーションしました。それだけではなく、本物のプラットフォームになるためにはカルチャーを変えないといけないということになり、カルチャーを含むビジネストランスフォーメーションをしようとしています。Goは分かっているかもしれないけど、業務フローだけ変えても仕方がなくてカルチャーから変えないとだめ。それが分かっていて、実践している会社なのだなとは思いました。

 

杉原:Microsoft自体がデジタルトランスフォーメーション、ビジネストランスフォーメーションをやっている、と。あらためて聞くと、なるほどそうかと思いますね。

 

有園:Microsoftだけではなく、われわれがいたGoogleもカルチャーをとても重視して、かつ、会社自体が毎日変わっていく。常にトランスフォーメーションしている会社です。“In the process of transformation” という感じで。なので、日本ではやっとここ3年ぐらいでデジタルトランスフォーメーションしなければと言っていますが、本当に日本企業のスピードは遅すぎる。

Appleは2000年ぐらいからトランスフォーメーションしています。Googleは会社の文化としてトランスフォーメーションする会社だからずっとしています。それを横目で見ながら、MicrosoftもサティアがCEOになってトランスフォーメーションしてきたんですね。世界最大のソフトウェア会社が、ですよ。10万人も社員がいるのに、大改革にチャレンジしている。

 

杉原:この規模で、この社歴がある上で本当にすごいよね。

 

大企業だけでなく中小企業まで、あらゆる規模の広告主へのサポートを目指す

杉原:さて、もうそろそろMicrosoft Advertisingの事業が今後どうなっていくのか、事業戦略について教えてもらいましょうか。例えばNetflixのことや、Meshだとかが気になってます。

 

アタラ合同会社 杉原剛 2

有園:Bingの検索連動型広告と、ネイティブ広告と呼んでいるAudience Network広告を日本で開始したので、それらを拡販していきます。

現状、いわゆるアカウントエグゼクティブ(AE)やアカウントマネージャー(AM)という部隊は約半数います。広告代理店さんと接するのは、そのチームになります。一部ダイレクトのアカウントもあります。簡単にアドバタイザーとの直接のリレーションを結べるクライアントも少ないので、日本においては当面エージェンシーファーストでやることになると思っています。

日本でインターネット広告を出している企業の数は10万社弱ぐらいあるとされています。ダイレクトや広告代理店経由では仮にトップ1000をやるとすれば、残りの9万9000社は基本的にはセルフサーブです。

ただし、このセルフサーブの広告主は、いわゆる中小企業、SMB(※Small to Medium Businessの略)です。Microsoftではグローバルで中小企業を担当するチームがあるのですが、Japanではまだありません。来年以降、中小企業のサポートももっと手厚くさせていただく予定です。

 

杉原:あとNetflixは?

 

有園:Netflixの広告も私の部門に含まれてます。ただ、別会社なので、ここで具体的な話を私からするのは、相応しくないので、ご理解いただけるとありがたいです。ただ、やってみないと分からないですよね。

 

杉原:本当にやってみないと分からないでしょうね。

 

仮想通貨やメタバースも含めたエコシステムの一部としての広告事業へ

杉原:終わりの時間も迫ってきました。他に言い足りないことはありますか。

 

有園:クラウドコンピューティングでいろいろなものを載せてエコシステムをつくっていくのですが、エコシステムをなぜつくるかというと、広告、つまりMicrosoft Advertisingとしてきちんと広告主様・広告代理店様などをエンパワーしていくからです。

ここは広告主と広告代理店様をエンパワーしていくというスタンスでいくと、検索だけやっていても仕方がない。

BingはGoogle検索と競合しますが、Googleにポータルサイトはありません。一方で、うちにはMSNがあって、6000万ぐらいユニークユーザーがいる。オーディエンスネットワークでは、GoogleはGDN、ヤフーにはYDNがあります。Microsoftにはネイティブ広告がある。

ソーシャルに関しては、ヤフーもGoogleもソーシャルを持っていない一方で、MicrosoftにはLinkedInがあります。もちろん、この領域ではFacebookは別格ですね。

Azureやクラウド、サーバー、ここが実はEコマース領域に入ってきます。リテールメディアとしてPromoteIQがあり、AzureのEコマースがあります。もちろん、GoogleはGCPでEコマースのファーストパーティデータを取りに行っています。ただし、この領域は、Amazon広告が別格です。

そして、Google、Yahoo!、Amazonにはメタバースがありませんが、うちにはメタバース・Mixed Reality, Meshがあります。Facebookとは、Microsoftは、この領域でパートナーとして提携すると発表しています。

※参考:

ちなみに、MicrosoftはMicrosoft Rewardsというポイント経済圏をつくろうとしているのですが、知っていましたか。

日本マイクロソフト 有園雄一 3

 

杉原:知らないです。

 

有園:Microsoft Edgeを使ったり、Bingで検索をすればするほどポイントがたまって、Xboxのゲームが買えたりします。それから、そのポイントはNGOやグローバルの寄付団体に寄付できます。

「Microsoft Rewards」とは、そのサービス紹介ページによれば「Microsft Bingで検索したり、Microsoft でショッピングやゲームをするとポイントが貯まります。さらに、Microsoft Edge を利用するとポイントが追加されます。貯まったポイントは自分へのご褒美や世界の慈善活動に引き換えできます」(https://www.microsoft.com/ja-jp/rewards)となっています。要するに、Microsoft Bingで検索したり、ブラウザのMicrosoft Edgeを使っているだけでポイントが貯まるサービスですね(登録必須)。

 

杉原:Braveブラウザーに似た感覚かな。

 

有園:そう、Braveです。Braveの暗号資産が、こちらでは、ポイントです。

 

杉原:面白いね。

 

有園:このポイントでリテールメディアのECサイトで購入するというのは、エコシステムだから想定されるわけです。今、Microsoft RewardsはAmazonギフトカードに交換できます。Amazonが敵ではないというのは、Bingで検索すればするほどポイントがたまり、それをAmazonで使って…とAmazonに送客するからです。AmazonにはAmazon広告があるから、リテールメディアとつながって。

これはAmazonでなくても構いません。家電量販店と連携しそこのポイントと交換性を持たせて、そこの基盤にはMicrosoftのAzureがある、というエコシステムがあり得る。

 

杉原:面白いですね。

 

有園:現在リテールメディアまでカバーしたので、次はブランディング広告としてのNetflixです。なんとなく分かりました?

 

杉原:はい。

 

有園:MS Rewardsとも連携しているから、例えば、Netflix広告をみて気になったブランドを検索してAmazonにいってAmazonで購入してもらってもいいですよ。Audience NetworkからAmazonにいってもらってもいいですよ、Googleにいってもらってもいいですよ、ということ。ブランディング広告で、気に入ったらその商品をAmazonにいって買ってもらって、という感じです。Amazonだけではなく、いろいろなところとエコシステムをつくっていくとよい。なぜなら、全ての人々と全ての企業を「Empower」したいからです。

 

杉原:Activision Blizzardも、もうゲーム内広告があるという話じゃないですか。それも範疇ですか。

 

有園:買収しているわけですから「範疇です」と発表したと理解しています。買収したということは、そこに会社の戦略として注力していくというメッセージを送っている。リリースまでしたり記事にしたりしているわけですから。ただし、日本でローンチする予定はまだ全く立っていません。

このエコシステムによってエンパワーメントするというのは、Googleとも、Appleとも、Amazonとも戦略が違うと思うのです。だから、Goの言葉で言うとクロスプラットフォームといえるかもしれない。

ただ、クロスプラットフォームを意識しているというのはOne of themなのですよね。みんなをエンパワーメントするためには、全部を載せて、広告主にできるだけ便利に提供します。すると広告主がエンパワーメントされます。でも結果的にAmazonもエンパワーメントされます。もしかしたらGoogleもエンパワーメントされることで、全てのオーガニゼーションと全てのパーソンをエンパワーしようとしている。腹落ちはしますよね。

 

杉原:腹落ちしました。

 

有園:あとはインテリジェントエッジ、インテリジェントクラウドといった戦略で突き進んでいきます。こちらの動画を見てください。

 

杉原:これ、レッドモンドのMicrosoftミュージアムに行ったときに見ました。

 

有園:スマートゴーグルですね。

 

杉原:よくこの映像つくりましたね。

 

有園:これが7年前ですね。2009年や2014年にもつくっているのですが、これは2015年なのでサティアになってからだと思います。2009年のものと比べて映像は全然違いますが言わんとすることはあまり変わりません。もう一つ、Mesh(3Dアバターが共有空間の人々を表す複合現実の自然なコラボレーション エクスペリエンスを提供するプラットフォーム)のものも見てもらえますか。

これは「光」という字を書いているのですが、光を選んだのは絶対にQuantum computer(量子コンピュータ)を暗示させていると思いますね。

 

杉原:すごいね。

 

アタラ合同会社 杉原剛 3

有園:NFTとかWeb3とかブロックチェーンが今、いわゆるバズワード的な感じで流行っていますよね。例えばMeshの映像で、車のCADのようなものがあったじゃないですか。あれは、大企業の自動車メーカーでああいうことをやっているのではないですよね。あのシーンは、例えば、杉原剛さんの自宅のガレージで3人ぐらい優秀な頭脳が集まって、あるいはロンドンの人と、ニューヨークの人と、杉原剛が、Meshで、メタバースでつながって設計すると。

この設計されたアイデアや細かいデザイン、エンジンの構造とか新しいエンジンの思想とかをそのまま、これは情報だから、例えば、NFTにして売り出すと。例えばトヨタがそれをつくりたいといったら買えばいいという感じなのですが、このアイデア自体が資産になるということです。

なので、ジャック・ドーシーの初めてのツイートが法外な金額で買われる例とかがあった。たまたまそれは最初のツイートだったからNFTで売られたと。でもGoが毎日ツイートしていることにも価値があって、NFTにすれば100円で売れるかもしれないじゃないですか。全ての情報がNFT化すれば金銭的価値が出る可能性があるわけです。

このときすでに2015年。ビットコインができたのが2008年なので、ブロックチェーンやNFT的な思想が時代的背景にある。NFTが花開いたのは数年前だと思いますが、最先端の人たちにはすでに知られていて、ああいうものをみんなでコラボレートして、アイデアが情報として固まればブロックチェーンに載せてNFTで販売できて、もちろん2次流通とかもできるよねという感じで、よくアメリカ人とかと議論していた。このMicrosoftの映像には、そういうWeb3的な発想がもう含まれていますね。

そうすると、Microsoft Rewardsも、ポイントがたまるのですが、Microsoft Rewardsがたまると、Xboxのゲームもアプリダウンロードで買えるという話があります。このゲームは先ほどのような3DでゲームをつくってNFT化すると、それを今度はMicrosoft Rewardsのポイントで買ってもいいのですよね。なので、エコシステムがそうやってぐるぐる回っていくという発想が含まれています。MicrosoftのBingやEdgeを使えば使うほどなぜRewardsを与えるかというと、Purchasing power(購買力)を与えたいからであって、エンパワーメントしたいからです。そして、NFTなどを買ってもらってもいい。そしてまたMeshでつくったデザインなどをNFT化して売る。

先ほどの「光」と書いてあったものは、毛筆で書いてあるのですが、横に座って書いている人の筆跡をデジタルでトラッキングしているから、そのままデジタルアートで資産化できる。「光」という書道を映像化するとか絵にしてデジタルアートにするということができるから、とても優秀です。とても人気のある絵描きさんにペイントしてもらって、そのままそれをキャプチャしてデジタルアートにすればいいじゃないかという発想が含まれている。

だから映像にあったギブスもそうですよ。これはIoTギブスですよね。この動きが全部トラッキングされてる。この一見普通のギブスに見えるハードウエアにソフトが入っていて、アップデートされる。映像の中にあった全ての机、ガラス、端末にソフトウェアが入っていき、アップデートされていき、クラウドでコントロールされます。あるいはエッジコンピューティングされるというので、このインテリジェントクラウド、インテリジェントエッジという思想が、この映像に反映されているという感じなんですよね。その延長線上に広告ビジネスもあるということですね。

情報を扱うところに、広告ビジネスが花開くというのは、歴史ですからね。メディアと広告は連動していく。

日本マイクロソフト 有園雄一 4

 

杉原:分かりました。

 

有園:こんな話はGoとしかできないよね(笑)

 

杉原:かもね(笑)。とても面白い話を、どうもありがとうございました。

 

アタラ合同会社 杉原剛 4

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