Google マイ アド センターとは
Googleは、2022年10月20日(木)に、ユーザー自身が広告に使用される情報を管理することができる「マイ アド センター」の提供を世界中で開始したことを発表しました。
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Google マイ アド センターは、2022年5月11-12日に開催されたGoogle I/Oで発表された新しいプライバシーツールで、ユーザーは広告体験をコントロールし、ユーザーが好きなブランドをフォローしたり、センシティブな広告カテゴリーをオプトアウトできるようにするものです。
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発表された内容
今回の発表でマイ アド センターに関してできること、またはGoogleが行わないとしていることなどは次の通りです。
- Google にログインすると、検索、YouTube、Discover に表示された広告から直接マイ アド センター にアクセスでき、好みの企業やサービス、気になるトピックの広告を多く表示したり、興味のないものを制限することができる。
- パーソナライズド広告を完全に表示させたくない時は、マイ アド センターの中で簡単にオフにすることができる。パーソナライズド広告を表示しないように選択しても広告は表示される(つまり、広告を完全に表示しないということではない)が、その場合、広告の関連性や有用性が低く感じられる場合があるとしている。この設定は、Google アカウントでログインしている場所すべてに適用される。
- アルコール、出会い系、ダイエット、ギャンブル、妊娠、育児といったトピックに関連する広告を制限できる。
- Google は、個人情報を他者に販売することはしない。
- Google は、Gmail、Google フォト、Google ドライブなどのアプリケーションに保存されたコンテンツを広告のために使用したり、健康状態、人種、宗教、性的指向などのセンシティブな情報をパーソナライズド広告に使用することもしない。
- マイ アド センターでパーソナライズド広告をオフにするオプションは、Google サービス、また、Google のパートナーサイトやアプリを問わず表示される広告に適用され、Google アカウントでログインしているすべてのデバイスに自動的に適用される。Google にログインしていない場合でも、広告の設定から設定を変更することができる。
- Google のプライバシーに関する詳しい取り組みについては、セーフティ センター(https://safety.google/)で入手可能。
YouTubeでは、広告の横にある3つの点のメニューをタップして「マイ アド センター」にアクセスし、トピックやブランドの表示を制御可能。
マイ アド センターで、「広告のカスタマイズ」をタップして、広告の表示回数を増やしたり減らしたいトピック、企業やサービスを選択可能。
マイ アド センターで、YouTube 履歴をパーソナライズド広告に使用するかしないかを管理可能。
今回の発表についてのコメント
5月発表時にもコメントしましたが、マイ アド センターのユニークなところはユーザーに自ら設定を委ね、オプトアプト機能のみならず、好みのトピックやブランドについての興味度合いを強めることができることにあり、よりユーザーエクスペリエンスを向上させると同時に、プライバシーに対する対策を逆手にとり、Googleの情報の質を高めていくという点が実にGoogleらしい点です。
今回の発表に際してプレスイベントも行われたようで、かなりいろいろな質問に対しての説明も丁寧にされています。収益に対する影響についてはコメントはされていません。また、発表文には明確に説明されていませんが、広告のカスタマイズに関する設定について興味深い言及がありました。Googleのユーザーアカウントには、人々がGoogleと直接共有する情報が含まれていますが、Googleがユーザーについて行う推定も広告のカスタマイズ画面で提示されています。その推定には、年齢層、性別、学歴、世帯収入、交際状況、何語を話すか、趣味嗜好などが含まれます。下のスクリーンショットは筆者のものですが、かなりの確率で当たっています。Googleのユーザープライバシートラスト担当プロダクトマネージャーのKarin Hennessy氏は、これまでグーグルは、「グーグルのサイトやアプリでの活動から得られる総合的な推定」をユーザーがコントロールできるようにしていなかったと説明していますが、今回修正したり外したりができるようになったようです。「デモグラフィックと拡張デモグラフィック」とHennessy氏が呼ぶこの取り組みは、ユーザーに対する各種推定が正確かどうかをユーザーが確認できるようにすると同時に、Googleが捕捉したファーストパーティデータの精度を上げることを実現しようとしているのはないかと思われます。
繰り返しになりますが、Googleらしいアプローチで臨むこのプライバシー保護への対策。ユーザーがどのように反応するか、ビジネスへの影響はどうなるのか。先々の四半期毎に状況を追っていきたいと思います。