Netflixの2022年第2四半期決算
Netflixの2022年第2四半期の決算発表および最近の傾向を読み解いてみたいと思います。
※参考リンク(Netflixの2022年第2四半期決算資料):
Netflixの2022年第2四半期の売上は前年同期比で8.6%増、前四半期比で1.3%増の79億7000万ドル(約1兆1000億円)を記録しました。
Netflixの2022年第2四半期決算は、加入者数の減少が予想の200万人を下回り、約97万人でした。前述の売上も小幅ながら増加し、予想を上回わった結果、市場は少し安心し、株価もやや回復しています。決算発表時点でのNetflixの有料会員数は前年同期比で5.5%増、前四半期比で0.5%減の2億2067万人と公表されています。
具体的な市場を見ると、米国とカナダは第2四半期に前四半期から130万人、欧州と中東でも76万7000人の加入者を減少させています。これらの市場での加入者の改善が急務である中、アジア太平洋地域では110万人増加しました。
Netflixの2022年第3四半期の売上予測は、78億3800万ドル(約1兆800億円)と微減になっており、加入者は100万人の増加と、若干の改善が見込まれるとしています。
Microsoftとの提携と広告付き低価格プラン
Netflixは、2022年7月13日(水)、同社初の広告付き低価格プランを支援するテクノロジーおよびセールスパートナーとして、Microsoftを選定したことを発表しました。
※参考リンク:
いくつかここまでわかっていることをリストアップしますと:
- Netflixは、2023年の早い時期に広告付き低価格プランを開始することを目標としているという。
- 広告付き低価格プランは、「広告費が大きい一握りの市場」で始まるとしており、「数年後の我々の広告ビジネスは、おそらく初日の姿とはかなり違って見えるだろう」と付け加えている。
- NetflixのCOO兼CPOであるGreg Peters氏は、広告付き低価格プランのタイムラインは「這って、歩いて、走るモデル」であり、視聴者が慣れ親しんだ方法で始まるが、後に「リニアTVの広告体験とは根本的に異なる」ものに変化すると述べている。かつ、収益面でもスモールスタートし、時間とともに大きな収入ドライバーに成長すると繰り返している。
- Peters氏は、「われわれの持つ革新的なDNAと、アドレッサブルや測定可能性に関する多くの特性を活用する絶好の機会であると考えている」と述べている。
- NetflixのCFOであるSpencer Neumann氏は、「これまでのNetflixにいた人々が突然、すべて広告付き低価格プランに移るわけではない」として、広告付き低価格プランは既存の有料プランを補完するものである点を強調気味に述べている。
- 広告付き低価格プランの提供価格については現在はまだ不明なままである。
NetflixがMicrosoftをパートナーに選定したことに関しては、世界中で衝撃が走ったと思います。私も同様でした。XandrはMicrosoftによる買収が完了したばかりです。テクノロジースタック的にもMicrosoftの一部となったというには時期尚早すぎると思います。組織的にも、Microsoftの既存広告商品と併売するような営業体制は確立しているとも思えません(通常、数年かかってもおかしくないです)。何よりも、広告ビジネスはバイサイドとセルサイドの規模感で成り立っています。セルサイドの広告在庫はNetflixが豊富に提供できる見込みでしょうが、素早くマネタイズしたいのであれば、すでに広告主もかなりついているGoogleなどを選択するのが順当と考えられていたと思います。
よって、NetflixがMicrosoftをパートナーに選定した理由は、推測ですが、他にもあるということかと思います。Microsoftが持ち合わせている他のビジネス資産を考えると、
- XBOXとのインテグレーションやビジネスコラボレーション
- ベースプラットフォームとしてのAzureの活用
- 将来的な買収・統合
は十分考えられるのではないかと思います。
前述の広告付き低価格プランの提供価格、広告主がNetflixへの広告掲載に支払うCPM、スタジオとの外部コンテンツの契約状況など、Netflixが解決すべき課題は多いですが、どのように切り盛りし、リニアTVとは違う広告体験を提供していくのか、興味は尽きないところです。Netflixの状況については今後もモニタリングしていきたいと思います。