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Google、ショッピング競合分析を含むツールセットおよびスコアカードを発表
Googleは、2022年3月28日、同社ブログにおいてオンライン販売者が購入者に優れたショッピング体験を提供するための指標およびツール群を新たに発表しました。
※参考リンク:
今回の発表の概要は以下の通りです:
- 2021年、米国では、休暇中の買い物客の67%が、新しい製品、サービス、ブランドを見つけるのにGoogleが役立ったと回答。
- 今週のShoptalkイベントにおいて、Googleはブランドや小売業者が、買い物客がどのように自社を見つけているのか、買い物客は何を求めているのか、何を求めて閲覧しているのかを知るための新しいデータおよびインサイトツールを紹介するとしている。
- 今回の発表は、ショッピング・エクスペリエンス・スコアカード・プログラム、無料商品リスティングのコンバージョンレポート、価格競争力レポート、ローカル商品インサイトなど、複数のプラットフォームにおける大幅な機能強化が含まれる。
ショッピング・エクスペリエンス・スコアカード・プログラム
Googleでの購入体験をよくすることでインセンティブを提供するプログラムが発表されました:
- 購入者に優れたカスタマー・エクスペリエンスを提供する販売者に対して報酬を与え、潜在的な購買者からの評判を高めるために、ショッピング・エクスペリエンス・スコアカード・プログラムが導入される予定です。
- このプログラムでは、配送日数、送料、返品手数料、返品可能期間など、さまざまな分野で購入者に提供されるエクスペリエンスがモニタリングされ、指標ごとに「優良」「競合並み」「改善の余地あり」の評価が与えられる。
- 優れたサービスを提供している販売者にはTrusted Storeであることを示すバッジが与えられる。
- 初期のテストによると、Trusted Storeバッジが表示されている販売店は、よりクリックされやすくなっているという。また、あまり知られていない販売店へのトラフィックでもバッジがあることで増加していることも確認されている。
- 指標ごとのパフォーマンスと全体的なスコアはMerchant Centerアカウントで確認できる。
- ショッピング・エクスペリエンス・スコアカード・プログラムは今後数カ月のうちに全米で展開される予定。
無料商品リスティングのコンバージョンレポート
無料商品リスティングについても機能が追加されました:
- 無料商品リスティングの効果を測定できる「無料商品リスティングのコンバージョンレポート」を新たに提供。
- このレポートでは、無料商品リスティングのトラフィック、インプレッション、コンバージョンレートの合計を表示し、今後の広告掲載に関する意思決定に役立てることができるとしている。
- 以前はMerchant Centerアカウントで無料商品リスティングのビジネスインパクトを確認することはできなかった。今回提供されるコンバージョンレポートを使えば、Googleが送ってきたすべてのコンバージョンを、追加費用なしで見ることが可能になる。
画像:Google価格競争力レポート
今回の発表で最も特筆すべきは価格競争力レポートの追加です。価格競争力レポートは、機械学習に基づいて構築されており、類似した商品を販売している他の企業とどのように競合しているかを、販売者がより理解できるようになります:
- 価格競争力レポートは、機械学習の活用により、販売する各商品の希望価格と、インプレッション、クリック、コンバージョン、粗利を予測し、販売者に提供する。
- Googleは、販売者のGoogle Merchant Centerアカウントにリンクされている、商品の在庫やサイズなどの情報や属性を利用して、商品の種類やカテゴリーを判断する。販売者は、他の販売者が販売する同じ商品と比較して、自社の商品の価格設定がどの程度なのか、また、価格を変更した場合の潜在的な収益も確認することができる。
- 価格競争力レポートはマーケット・インサイト・プログラムに含まれる機能で、利用するには、アカウント管理者に依頼して、Merchant Center内のマーケット・インサイト・プログラムを有効にしてもらう必要がある([成長] タブに移動し、[プログラムの管理] をクリック)。利用資格がある場合は、価格競争力やベストセラー・レポートなどの新しいレポートが [成長] タブに表示される。
- また、Google BigQueryを使うため、Google Cloudアカウントも必要となる。
画像:Googleローカル商品インサイト
Googleビジネスプロフィールにもローカルビジネス事業者向けのインサイトツールが追加されます:
- 米国とカナダでビジネスプロフィールを管理しているローカルビジネス事業者には、ローカル商品インサイトが近日中に提供される。
- ローカル商品インサイトでは、上位商品のスナップショットや商品の総閲覧数など、最も閲覧されている商品が表示される。
- eコマースを展開していない実店舗の小売業者は、人気商品の関心の違いをよりよく理解することができるとしている。
画像:Google今回の発表についてのコメント
世の中でのECビジネスが爆発的に拡大していく中で、購入者、販売者を誰が握るかが昨今のプラットフォーム企業によるEC機能の強化につながっていると思いますが、その中でもGoogleは大幅な強化に踏み切ったと言えるのではないでしょうか。
Googleでの購入体験の質を上げるために、自助努力でサービス品質向上に努めた販売者にインセンティブを提供する仕組みを導入するあたりはいかにもGoogleらしいアプローチですね。価格競争力レポートはEC担当者にとって新たな分析ポイントになりますね。Google Cloudとの連携利用も最近のGoogleの取り組みの特徴ですね。BiGQueryの利用促進にもつながると思うので、この点も要注目です。大量の商品データ、しかも、Merchant Centerに蓄積された、構造化されたデータが集まっているからこそなせる技かと思います。アマゾンなど、その他のプラットフォームがどのようにこの動きに追随するかも注目したい点です。