目次
- 1 総括:内部リークを受けてもユーザー数増で帝国は揺るがず、ATTの影響で売上高は苦戦した一年に
- 2 Facebook から “Meta” へリブランド
- 3 ニュースフィードのトピック除外コントロールのテスト開始
- 4 Facebook Analytics がサンセット
- 5 Instagram ショップの専用タブ内で広告を提供開始
- 6 レストラン予約機能のパートナーを拡充、ヒトサラ・TableCheckと連携
- 7 Oculus コンテンツの広告、ヘッドセット内におけるVR広告のテスト開始
- 8 クリエイター向けの多数アップデート、収益化サポートを全面的に強化
- 8.0.1 5月:リールとライブ配信のインサイトを追加、ビジネスやクリエイターのアカウント運用をより効果的に
- 8.0.2 6月:Instagram、クリエイターの収益化サポートを強化、バッジ機能やショップ機能を拡充
- 8.0.3 6月:Instagram、東京都の後援で中小ビジネスを支援するオンラインイベント「INSTA MIKKE TOKYO」を7月5日から開催
- 8.0.4 7月:クリエイターの収益化サポートを加速、22年末までに10億米ドル以上を投資
- 8.0.5 10月:Instagram、ライブ配信のスケジュールを事前設定・告知できる新機能を導入
- 8.0.6 10月:国内クリエイターやメディア向けアカウント @creatorsjp が始動、フォローして最新機能・トレンド情報をキャッチアップ
- 8.0.7 11月:クリエイター&メディア向けイベント「INSTAGRAM CREATOR DAY IN JAPAN」を11月24日に開催!TV番組とのコラボや人気クリエイターの登壇も
- 8.0.8 11月:Facebook上でインストリーム広告を提供開始し、クリエイターの収益化を支援
- 9 Instagram に近隣の人気スポットを検索できる地図検索機能を導入
- 10 リール広告の提供開始を発表、ブランドコンテンツ広告もリールで配信へ
- 11 アクションボタンを美容サロン予約にも拡大
総括:内部リークを受けてもユーザー数増で帝国は揺るがず、ATTの影響で売上高は苦戦した一年に
2021年も大いに紙面を賑わせた Facebook(Meta社)ですが、元従業員による内部告発から社名変更までの一連の流れが最もインパクトがあったかと思います。
内部告発の内容はユーザーの信頼を失いかねないものでしたが、Faceboook ファミリー(Instagram や Messenger 、WhatsApp などを含む)の総ユーザー数は順調に増加しており、SNSの覇者としての立場が危ぶまれるような事態にならなかったどころか、逆に、存在を強固にする成長を見せました。
一方で、売上高の97.4パーセントを占める広告売上はATT(App Tracking Transparency)によるトラッキング規制により苦戦し、第3四半期の決算で前期比割れする結果となり、これは創業以来、初めてのこととなりました。
Google に次ぐ巨大広告プラットフォームとして、ソーシャルメディアの雄として、その存在感をより強固なものにした一年であったと思いますが、本稿では Facebook ファミリーの主要なアップデートをまとめています。
Unyoo.jp では取り上げていない内容も含めていますので、2021年のおさらいとして、しばしお付き合いいただければ幸いです。
Facebook から “Meta” へリブランド
まず、2021年で最大のニュースはなんといっても、創業以来初となる社名変更だったかと思います(exの筆者としては大変な衝撃でした)。
2021年10月28日(米国時間)に開催されたカンファレンス「Connect 2021」にて、CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が、提供するプラットフォームとテクノロジーを全て包括した新しいカンパニーブランドとして Meta を発表しました。
「物理的な世界ではできないことも実現が可能になる、相互に接続されたデジタル空間」と定義するメタバースから由来する新社名への変更と、現在の仮想現実(VR)や拡張現実(AR)を向上させる取り組みなどについてキーノートで講演し、メタバース分野へ積極的に投資していくことを言及しました。
Connect 2021 の前月にはスマートグラス「Ray-Ban Stories」を発表していますが、メタバースの実現に向けた取り組みは、今後ますます活性化していくことでしょう。
ニュースフィードのトピック除外コントロールのテスト開始
2021年1月29日(米国時間)、広告主のためにニュースフィードのトピック除外コントロールのテストを開始することを発表しました。発表の中で「犯罪や悲劇などのトピックを選択し、広告の配信先から除外できるようにするソリューションをテストすることを計画している」とコメントしています。
発表の内容そのものは派手さにかけるニュースではありましたが、これまで配信先の除外は「インベントリーフィルター」の機能で Facebook インスタント記事、Facebook インストリーム、Instagram インストリーム動画、Audience Network のみでコントロール可能にしていたものを、ニュースフィードにも適用しはじめたというのは、社としての方針が垣間見れたものでした。
Facebook 広告を利用中の方はご存じのことと思いますが、ニュースフィードは配信先の中でもインプレッション比率が大きく、いわば売れ筋の配信先です。
そして、日本国内は特にその傾向が顕著ですが、ニュースフィードの広告枠は決して潤沢ではありません。Facebook における広告在庫の少なさについては過去の記事でも言及したことがありますが、広告主にとってはマストで押さえておきたい配信先である一方、目に見えて広告枠が増えるとユーザーの体験を損ねるためです。
そうした状況下で、なんとか広告在庫を増やそうと Messenger や Audience Network、WhatsApp などにも広告枠を拡げて収益化を図っているわけですが、本アップデートは逆で、売れ筋商品にある種の販売制限をかけ、ブランドセーフティを重視するという姿勢が見て取れたものでした。
※ちなみに、広告枠を拡大する取り組みの中で、もともと買収した企業(かつ広告によるマネタイズを好まない)の Instagram と WhatsApp の創業者らは辞任・退職し、そのたびちょっとした話題になっています
- WhatsApp創設者が退職へ–個人データ利用めぐり親会社Facebookと対立か | CNET Japan
- 5つの警告 ── インスタグラム創業者「辞任の挨拶」を読み解く | BUSINESS INSIDER
広告の配信先をより厳密にコントロール可能にするという動きは、2020年8月に公式ブログで「Our Commitment to Safety(安全への取り組み)」を公開しましたが、この内容に基づいた取り組みといえます。
1. Create a Safe and Welcoming Community(安全で居心地の良いコミュニティを作成する)
2. Maintain a High Quality Ecosystem(高品質のエコシステムを維持する)
3. Collaborate Proactively and Collectively with the Industry(業界と積極的かつ集合的に協力する)
Facebook Analytics がサンセット
2015年に「Facebook Analytics for Apps」という名称でローンチされた、無料の解析ツール(2017年に Facebook Analytics へリネーム)が、2021年6月30日をもって提供終了となりました。
ローンチのプロセス(当初は名前の通りアプリのみ対応、後にウェブサイトもサポート)から、国内でも利用する事業主は限定的だったかと思いますが、およそ6年の歴史に幕を下ろしました。
他の解析ツールと異なり、ローンチ当初から「人」をベースにした分析を基本とする当時ではユニークな仕様で、ユーザーの属性や行動などを分析することが可能であり、特定の条件に合致するオーディエンス郡をカスタムオーディエンスとして生成し、広告アカウントへそのままエクスポート、といった機能も備わっていましたので、Facebook 広告の重要性が高い広告主の中にはコアなユーザーもいたことと思います。
また、IDベースのトラッキングならではの機能として、Webサイト、アプリ、Facebook ページ、オフラインイベントなどチャネルを横断した計測も可能で、ユーザーのカスタマージャーニー全体を把握したり、インサイトを得ることができました(Facebook プロパティ以外のトラフィックソースが多いと使い勝手としては微妙でしたが)。
サンセット後は Facebookページ / Instagram インサイトに加え、Facebook Business Suite、広告マネージャ、イベントマネージャを代替ツールとして推奨しています。
上記ヘルプページでは提供終了の理由として「ビジネスツールの整理統合に向けた取り組みの一環です」とのコメントがありますが、ATT(App Tracking Transparency)によってこれまで100パーセントに近かった計測精度は維持できなくなっていました。
データの虫食いが増え「人」にフォーカスを当てた分析が不可能になったことにより、ツールのアイデンティティが保てず、存在意義が薄れたことは少なからず影響したのではないかと思います。
Instagram ショップの専用タブ内で広告を提供開始
2021年8月24日(米国時間)「Instagram ショップ」の専用タブ内で広告の提供を開始したことが発表されました。
アップデート以前の Instagram における広告の配信先は、フィード、発見タブ、ストーリーズ、IGTV、リール の四つでしたが、Instagram ショップの専用タブが利用可能な全ての国(日本を含む)でアップデートが適用されています。
Instagram ショップは2020年7月に発見タブ内の機能としてローンチし、同年11月にアプリ画面のデザインを一部変更した際、専用タブ(アプリ下部に表示されるショッピングバックアイコン)が導入されました。
ユーザーの興味関心に合わせた投稿やブランドが表示されるほか、ショッピングをテーマにした Instagram による公式アカウント「@shop」のエディターがおすすめする商品も紹介するなど「アプリの中でウィンドーショッピングのような体験を楽しめる場所」として提供されています。
2019年の前半あたりから Instagram は純粋な SNS の枠を超え、ショッピング投稿やオンラインストア機能、アプリ内決済を実装するなど、すでにコマースプラットフォームとしても利用されていますし「この前見たあの◯◯を買おう」といったモチベーションで Instagram アプリを訪れるユーザーも一定数存在します。
そういったユーザーのマイクロモーメントを捉える方法として、Instagram ショップの専用タブ内への広告配信は大きなポテンシャルを秘めたアップデートかと思います。
次ページ:「5. レストラン予約機能のパートナーを拡充、ヒトサラ・TableCheckと連携」
レストラン予約機能のパートナーを拡充、ヒトサラ・TableCheckと連携
2021年4月21日(日本時間)、飲食店がビジネスプロフィールに「席を予約する」ボタンを表示し、利用者に来店予約を促すことができるレストラン予約機能の連携パートナーとして、新たに株式会社 USEN Mediaが提供するグルメメディア「ヒトサラ」と提携したことが発表されました。
同機能は、2018年10月、株式会社ぐるなびとのパートナーシップを通じて国内で初めて導入され、現在多くのぐるなび加盟店が自社の Instagram アカウントに「席を予約する」ボタンを設置しています。また、2020年秋には株式会社Bespoが運営する飲食店予約サービス「TABLE REQUEST」とも連携しており、ヒトサラとの連携によって、レストラン予約機能の国内パートナーは3社となりました。
加えて2021年8月26日(日本時間)、株式会社TableCheckが提供する飲食店予約システム「TableCheck」との提携が発表されました。今回の提携には Facebook も含まれており、国内で初めて Facebook 上でもレストラン予約機能を使えるようになりました。
ユーザーの83パーセントが Instagram で新しい商品やサービスを発見しており*、Instagram はお気に入りの飲食店の最新情報を得たり、行ってみたいレストランやカフェを見つけたりするための検索エンジンとしても利用されています。
昨年から「”ググる”ではなく”タグる“」というフレーズも見かけるようになりましたが、レストラン予約機能を使うと、ユーザーは Instagram で発見した飲食店の来店予約をアプリ内を数タップするだけでシームレスに完了させることができますので、Instagram ネイティブなユーザーには好まれる機能でしょう。
* IPSOS「Project Instagram」(Facebook委託調査。グローバルで13歳~64歳および日本在住の18歳~64歳の2万1,000人を対象に実施。2018年11月)
Oculus コンテンツの広告、ヘッドセット内におけるVR広告のテスト開始
2021年5月17日(米国時間)、Oculus blog にて、モバイル上の Oculus アプリ内において Oculus コンテンツの広告のテストを近日中に開始することが発表されました。
この時点ではテストを開始するという情報についての発表であり、詳細については報じられませんでしたが、およそ1ヶ月後の6月16日(米国時間)、同じく Oculus blog にて、ヘッドセット内 VR 広告のテストを開始する、との続報が発表されました。
「より多くの人々にVRを体験してもらい、消費者体験を向上させ、長期的なAR分野の取り組みを前進させること」を目的として活動する Meta Reality Labs(旧名称: Facebook Reality Labs)からの発表で、Resolution Games社の『Blaston』のほか、いくつかのタイトル上で数週間にわたりヘッドセット内においても VR 広告のテストを開始する、と述べられています。
上のサンプル画像では、ヘッドセットの中で表示されているディスプレイで Jasper’s Market という架空の広告が表示されている様子が分かります。
メタバースの実現に注力するということで社名まで変更したわけですが、VR のハードウェアが普及し、多くの消費者が仮想現実空間の中で時間を過ごすようになれば、仮想現実世界の広告枠が売買され、仮想現実内で購入が完了する、そんな購入体験も技術的には十分可能でしょう。
ゲーム内で土地の売買まで行われた「Second Life」や映画「レディ・プレイヤー1」を彷彿とさせるニュースですが、問題は仮想世界にアクセスするユーザーをいかに増やし、いかに留めておくか(魅力的な空間にするか)にかかっていますので、今後の動向には大いに注目したいと思います。
クリエイター向けの多数アップデート、収益化サポートを全面的に強化
2021年は「クリエイター」を対象としたアップデート情報を目にする機会が多かった一年だったように思います。発表順に振り返ると、
- 5月:リールとライブ配信のインサイトを追加、ビジネスやクリエイターのアカウント運用をより効果的に
- 6月:Instagram、クリエイターの収益化サポートを強化、バッジ機能やショップ機能を拡充
- 6月:Instagram、東京都の後援で中小ビジネスを支援するオンラインイベント「INSTA MIKKE TOKYO」を7月5日から開催
- 7月:クリエイターの収益化サポートを加速、22年末までに10億米ドル以上を投資
- 10月:Instagram、ライブ配信のスケジュールを事前設定・告知できる新機能を導入
- 10月:国内クリエイターやメディア向けアカウント @creatorsjp が始動、フォローして最新機能・トレンド情報をキャッチアップ
- 11月:クリエイター&メディア向けイベント「INSTAGRAM CREATOR DAY IN JAPAN」を11月24日に開催!TV番組とのコラボや人気クリエイターの登壇も
- 11月:Facebook上でインストリーム広告を提供開始し、クリエイターの収益化を支援
といった具合に、ほぼ1ヶ月に一回のペースでクリエイターに関連するニュースが発表されていました。ごくごく簡単に、各発表の内容を振り返ります。
5月:リールとライブ配信のインサイトを追加、ビジネスやクリエイターのアカウント運用をより効果的に
2021年5月24日(米国時間)、Instagramリールとライブ配信に関するインサイトをアプリ内で閲覧できるようになったことが発表されました。また、ビジネスやクリエイターがより効果的にアカウントを運用できるよう、どのフォーマットの投稿が自身のアカウントのリーチに貢献しているのかの情報もインサイトに表示されます。
6月:Instagram、クリエイターの収益化サポートを強化、バッジ機能やショップ機能を拡充
このアップデートでは、
1. バッジ機能のアップデート
ユーザーが Instagram ライブを視聴中にバッジを購入し、お気に入りのクリエイターやビジネスを応援することができる機能で、2020年10月に国内でもテストが開始。今回のアップデートでは、一回のライブ配信中にファンが複数のバッジを購入できるようになり、バッジ機能を使って所定の条件を満たすと、一定の金額がクリエイターに支給されるコミッション制度を導入。
2. アフィリエイト機能のテストを開始
今後、数ヶ月のうちに、クリエイターがチェックアウト機能*に対応している商品のショッピングタグ(商品名や価格を表示し、商品詳細ページに遷移させることができるタグ)を自身の投稿に追加することができるアフィリエイト機能のテストを開始。投稿を通じてタグ付けした商品の売上があると、クリエイターはコミッションを受け取ることが可能に。
3. クリエイターもショップ機能を利用できるように
自身のブランドを持っているクリエイターは、ショップ機能を活用し、個人アカウントのプロフィール画面にショップへのリンクを追加できるようになります。これまではショップ機能を利用するためにはブランドのInstagramアカウントである必要がありましたが、今後はファンに自身の商品を紹介することがより簡単に。
の三つが同時に発表されました。いずれも発表のタイトルにある通り、機能拡充とコミッション制度の導入によってクリエイターの収益化を助けるものになっています。
6月:Instagram、東京都の後援で中小ビジネスを支援するオンラインイベント「INSTA MIKKE TOKYO」を7月5日から開催
2021年7月5日(月)から11日(日)の1週間、東京都の後援のもと、都内を拠点とする中小ビジネスと利用者の出会いを創出するオンラインイベント「INSTA MIKKE TOKYO(インスタ ミッケ トーキョー)」が Instagram 上で開催されました。
本イベントは「ミッケよう、ミッケてもらおう」というコンセプトのもと、Instagram ユーザーには自分の興味関心に合う商品やサービスを発見する機会に、中小ビジネスには Instagram を活用することで顧客に自社の魅力を発見してもらい、ビジネス成長につなげていただきたい、という思いから生まれたものです。
7月:クリエイターの収益化サポートを加速、22年末までに10億米ドル以上を投資
2021年7月14日(米国時間)、クリエイターが Facebook や Instagram 上で制作するコンテンツで収益を得られるよう、2022年末までに10億米ドル以上を新たな取り組みやインセンティブプラグラムに投資することを発表しました。
発表された投資には、対象となるクリエイターが Meta のクリエイティブツールや収益化ツールを使用して一定のマイルストーンを達成した場合に支払う新しいボーナスプログラムや、クリエイターがコンテンツを制作するための準備資金の提供などが含まれ「一人でも多くのクリエイターが当社のプラットフォーム上で持続的かつ長期的な成功を収められるように支援することを目標」としています。
10月:Instagram、ライブ配信のスケジュールを事前設定・告知できる新機能を導入
2021年10月13日(米国時間)、配信予定の Instagram ライブを開始するスケジュールを予め設定し、フィード投稿を通じて告知できる機能を日本を含む全世界で導入することを発表しました。
10月:国内クリエイターやメディア向けアカウント @creatorsjp が始動、フォローして最新機能・トレンド情報をキャッチアップ
2021年8月、国内のクリエイターやメディア向けの公式Instagramアカウント「@creatorsjp」が開設されました。このアカウントでは、Instagramの最新機能や国内外の注目トレンド、招待制セミナーのお知らせなどが日本語で発信されます。
※なお、アカウントのフォローについては
現時点では非公開アカウントとなりますので、スムーズに承認できるよう、お手数ですが フォロー申請時にDMで社名もしくは媒体名とお名前をお送りください。編集部員・ソーシャル担当・公認ライターの皆さまも歓迎です!
とのことです。
11月:クリエイター&メディア向けイベント「INSTAGRAM CREATOR DAY IN JAPAN」を11月24日に開催!TV番組とのコラボや人気クリエイターの登壇も
2021年11月24日(水)、クリエイターおよびメディア向けのオンラインイベント「INSTAGRAM CREATOR DAY IN JAPAN」が開催されました。
クリエイターとして実現したい夢や目標、メディアとしてのビジネス目的を達成するために、どのようにInstagramを活用すべきか?をテーマに、最新事例やベストプラクティス、Instagram としての今後の展望などが紹介されました。
11月:Facebook上でインストリーム広告を提供開始し、クリエイターの収益化を支援
2021年11月16日(日本時間)、Facebook 上の動画コンテンツの前後や途中に挿入できる広告であるインストリーム広告を日本で提供開始することをが発表されました。これにより利用資格を満たしたクリエイターは、自身が Facebook に投稿した動画にビジネスの広告を挿入可能になり、継続的な収入を生み出すことができます。
※詳細はこちら
Instagram に近隣の人気スポットを検索できる地図検索機能を導入
2021年6月17日(日本時間)、近隣の人気スポットを検索できる地図検索機能を日本国内でローンチすることが発表されました。
発見タブの地図アイコンをタップすると、カフェやレストラン、観光名所などの人気スポットが地図上に表示されます。また、一部のハッシュタグの検索結果ページにも地図が表示され、そのハッシュタグに関連する近隣のスポットを発見することができるようになります。
発見タブの右上に新たに設置された地図アイコンをタップすると、近隣の人気スポットが、その位置情報をつけてシェアされたフィード投稿と一緒に表示されます。
「カフェ」「美容院」「観光名所」のようにカテゴリー別に表示することもできるため、利用者は興味があるスポットを簡単に発見することができ、位置情報とアカウントが一致している場合はビジネスの公式アカウントも表示されるため、店舗や施設を持つビジネスオーナーにとっては、ユーザーに発見してもらう機会にもなります。
本機能は国内利用者の多くが飲食店や観光スポットなどを発見するために Instagram を活用していることから開発し、日本で段階的にテストを行っていたもので、今回のアップデートで国内利用者に向けて正式に導入されることになりました。日本のインスタグラムユーザー発信で生まれた国産機能のようです。
実店舗を持つビジネスオーナーにとっては来店のきっかけを生む貴重な機会となり得ますし、Facebook ではすでに提供されているような、ユーザーの位置情報を使ったローカルビジネスを宣伝する広告製品の Instagram 版をローンチする布石とも受け取れます。
リール広告の提供開始を発表、ブランドコンテンツ広告もリールで配信へ
2021年6月17日(米国時間)、30秒以内の短尺動画を楽しむことができる機能である「リール」において、広告の提供を開始することが発表されました。発表当日より、日本を含むリールが利用できる全ての国と地域で利用可能になっています。
リール広告はストーリーズ広告と同様に縦長の全画面で表示され、通常のリール動画の合間に表示されます。リール専用タブだけでなく、発見タブ、ストーリーズやフィードなどに表示されるリール動画をタップし、リールだけが再生される全画面ビューアーに移動すると、次々に再生される動画の合間に広告が表示されます。
ビジネスは最大30秒までの動画を広告として出稿することが可能で、広告もリール動画のように一度再生が終わるとループで再生されます。
2020年8月に TikTok の対抗馬としてロールアウトされたリールですが、今や Instagram のサービスとしても浸透しているようで、株式会社パスチャーが実施した調査によれば視聴人気は1対1と、後発のサービスとしては健闘を見せています。
調査を実施したメディアの「Petrel」が10~20代の女性に特化したメディアということで、アンケート回答者には偏りがありますが、コアターゲットの利用率を大まかに捉えられるデータとしては興味深いものでした。
続いて2021年10月22日(米国時間)「ブランドコンテンツ広告を通じたクリエイターとビジネスの協業を加速させるため」として、リールでの広告配信を含むさまざまなアップデートを行うことが発表され、米国ではアフィリエイト機能を利用しているクリエイターがショップを開設できるようになるテストなども開始しています。
ブランドコンテンツ広告をより使いやすく拡充
2019年6月、ブランドコンテンツ広告はクリエイター(インフルエンサー及びパブリッシャー)が投稿したオーガニックのブランドコンテンツを、協業関係にあるビジネスもしくはクリエイター自身が広告として配信できるものフォーマットとして提供を開始しました。
これまではフィードとストーリーズでのみ配信可能でしたが、今回のアップデートにより、リールでもブランドコンテンツ広告を配信できるようになりました。
アフィリエイト機能を利用するクリエイターもショップを開設できるように
上述したクリエイター向けに実施されたアップデートの中でも触れましたが、クリエイターの収益化をサポートするためのツールとして2021年6月にテストが開始されたアフィリエイト機能は、クリエイターがお気に入りのアイテムの商品タグを自身の投稿に追加し、売上に貢献した際にコミッションを受け取ることができる機能です。
発表以降、アフィリエイト機能のテストに参加している米国の一部クリエイターは、自身のプロフィール画面にショップを開設し、紹介している商品を一箇所にまとめて表示させることができるようになります。
ビジネスがショップ機能を使ってショップを開設したり、クリエイターが自身のブランドのショップを個人のプロフィールに追加するときと同様、クリエイター用のショップも投稿にタグ付けした個々の商品を表示するだけでなく、複数の商品をコレクションとして紹介することが可能になっています。
ブランドコンテンツパートナーシップ機能のテストを米国で開始
さらに米国では、ブランドコンテンツを通じて協業するパートナーを探しているクリエイターとビジネスが互いを発見しやすくしたり、Instagram のアプリ内でより簡単にコミュニケーションが取れるよう、新しいブランドコンテンツパートナーシップ機能のテストが開始されています。
パートナーシップ機能を使って、クリエイターが協業してみたいビジネスをリストに追加しておくと、そのビジネスが協業するクリエイターを探しているとき、検索結果に優先的に表示されるようになります。
ビジネスが協業するクリエイターを探す際には、前述の機能を使って自社とコラボレーションしたいといっているクリエイターのリストを見たり、フォロワー数や年齢などのフィルタをかけてクリエイターを検索し、キャンペーンに最適なパートナーを発見することが可能です。
アクションボタンを美容サロン予約にも拡大
2021年11月10日(日本時間)、ビジネスがより簡単にユーザーのアクションを促すことができるツール「アクションボタン」の対象を、国内で初めて美容サロン予約に拡大することが発表されました。美容室やネイルサロンなどのビジネスは、Instagram のプロフィールに「予約する」ボタンを表示し、利用者に来店予約を促すことができるようになっています。
アクションボタンの導入によって、利用者は美容室やネイルサロンを発見する段階から、来店予約というアクションに至るまでを、アプリを閉じることなく Instagram 上で完結することが可能になりました。
日本国内では、これまで飲食店向けのレストラン予約のアクションボタンのみ利用可能でしたが、今後は Instagram のビジネスプロフィールを利用しているアカウントで、連携パートナーが提供する予約サービスに加盟している美容サロンであれば、無料で同機能を利用することができます。
今回、美容サロン予約において連携するパートナーサービス名は以下の通りで、株式会社EPARK メディアパートナーズの「EPARKビューティー」も追って連携予定と報じられています。
- かんざし(パシフィックポーター株式会社)
- ビューティーメリット(株式会社サインド)
- minimo(株式会社ミクシィ)
美容業界ではヘアスタイリストやネイルアーティストなどの個人が Instagram アカウントを持ち、積極的に発信している傾向が見られますが、今後はそういった方もビジネスアカウントに切り替えれば、プロフィールにアクションボタンを設置することが可能になるそうです。
また、本機能を設定した美容サロンについては、上述した地図検索機能上でも「予約する」ボタンが表示されるため、近隣の美容室やネイルサロンを探しているユーザーに対して来店予約を簡単に促すことができますので、積極的に活用したいところですね。
以上、2021年の Facebook / Instagram 関連の主要アップデートまとめでした。
2020年は COVID-19 の影響により、Meta から頻繁に発せられるキーワードは「スモールビジネス」や「(オンライン)ショップ or ショッピング」が多く、2019年から続きセキュリティ強化に開発リソースを割いていたことで、広告製品に関するアップデートは少なめでしたが、今年は広告に関連するニュースが多い一年でした。
COVID-19は相変わらず少しの油断も許さない中、ついに広告業界のゲームチェンジャーである iOS 14.5 がローンチされ、ただでさえ変化の激しいこのデジタルマーケティングの世界ですが、2021年は際立って慌ただしい時間をお過ごしだったことと思います。2021年という荒波を乗り越えたマーケターのみなさま、本当にお疲れ様でした!
来年は改正個人情報保護法が施行されますし、なんだか毎年申し上げている気がしますが、例年同様に来年もまた変化の大きい一年になるかと思いますので、年末年始でしっかりと休んで英気を養いましょう。
あとがきが長くなりましたが、2021年、Unyoo.jp にお付き合いいただきありがとうございました。2022年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします!