BIツール導入におけるチーム構成のベストプラクティス

BIツール導入におけるチーム構成のベストプラクティス

アタラ BIツール導入コンサルティングサービス
※本記事は、アタラ合同会社 Official noteにて公開中のコラムを転載したものです。

 

こんにちは。アタラでBI導入コンサルタントをしている、村田です。本日は「BI導入プロジェクトにおける、チームメンバー構成のベストプラクティス」について、ご紹介したいと思います。

はじめに:これからのテーマは”Data Agility”

3月に開催された、Domo社主催のイベント「DomoPalooza 2021」。

コロナ禍におけるデータ活用の重要性や、それに対してDomoができること、新たな機能や事例の紹介がなされるイベントです。

本イベントでは、これまでにはなかった革新的な新機能紹介が続き、「そうそう、これが欲しかった!」というものが多く、感心しながらオンラインで視聴していたのですが、私が最も興味を持ったのは「いかにBIを社内に浸透させるか?」というテーマで語られたセッションでした。

少し自己紹介をさせていただくと、私がアタラに入社したのは今年の1月ですが、前職では人材系の会社のDX推進担当のような部署に所属していて、Domoを使って全社のデータ活用を推進していくミッションを担っていました。

いかにリッチなデータを持っていても、どれだけカッコイイビジュアルのダッシュボードを作っても、それだけではデータ活用ができている・浸透できている、とは言えません。ここを勘違いして何度も遠回りをしてきました。

それもあって、情勢や他社の動向に遅れないように常に変化し続ける、データの内容や使い手側のニーズに応えられるような、柔軟でスピード感のある担当チーム構成こそが、BI活用の最も大事な鍵だと、これまでの経験を踏まえて感じています。

また、「DomoPalooza 2021」では「Data Agility」というキーワードが繰り返し登場していました。Agilityは敏捷性という意味であり、まさにここが、BI活用におけるポイントだと感じました。

ということで、今回は新機能などの技術的な話ではなく、チームについての記事をまとめました。

該当セッションは、「データスペシャリスト(後ほど登場します)進化のための新機能紹介」というような、ひとつのポジションについて深堀りするような講演内容だったのですが、本記事はその前提となる、チームの核となる5つのポジションとその役割分担についてがテーマです。

ここまでで既に何度も、BIとDomoというワードが混在しています。Domo社によるTIPSを下敷きにした記事のため、Domoを前提にした書き方になってしまいますが、ツールを問わずBI全般に共通する考え方だと思いますので、ぜひDomoユーザーでない方も参考にしていただけると嬉しいです。

チームを構成する5つのポジション

まずはチーム構成の核となる、5つのポジションについての紹介です。一覧表にまとめるとこのような形になります。


図を見てもらえるとわかる通り、社内での役職や、データやBIに関する知識レベルなど、様々です。

(私の独断と偏見に基づき、イメージしやすいよう某映画のキャラクターを模してみました。アイコンだけみると超ドリームチームですね)

各ポジション個別の紹介がないとイメージが沸かないと思いますので、早速詳細な紹介に進みましょう。

ExecutiveSponsor(エグゼクティブスポンサー)

エグゼクティブスポンサーは、スポンサーという名前がついている通り、BI導入の決裁権を持っている上層役職の方が担われることが多いポジションです。

「BIを導入することで解決したい、経営上の課題は何か」という課題意識を常に持ち合わせている人で、
「どうできるか」よりも「何をしたいか・何を決めたいか」を意識し、最終的な意思決定を行います。

いわば監督役で、選手という訳ではないので、実際にBIを作成する機会はあまり多くなく、BIやデータに関する知識は最低限持ち合わせていれば問題ない、と言えるかもしれません。

MajorDomo(メジャーDomo)

メジャーDomoは、社内のBIのオーナーということで、具体的にはBI導入プロジェクトのPMとなる人です。

経営からの課題感を共有しつつ、データでいかに課題解決を実現できるか、どういう形にすれば可視化でき、事業にフィットさせられるかを考える必要があり、経営・事業・データへの理解がハイブリッドに求められます。

プロジェクト管理のポジションでもあるので、各担当間の調整、進行管理、優先順位決めなども併せて行う必要があり、立ち上げ期には最も大変なポジションかと思います。

DataSpecialist(データスペシャリスト)

データスペシャリストはグラフやダッシュボードの作成や、その元データとなるデータセットの作成、それらを作り出すデータフローの構築を行う人で、一言でいうと「テクニカル領域のプロ」です。

システム系の部署からコンバートされることが多く、BI導入時には誰よりも多く実際にBIを触って、使い慣れていく必要があります。

アタラでクライアントへの伴走型BI導入支援を行う際も、立ち上げ期にはデータスペシャリストの方との相談や会話が最も多く、チャットでよくQ&Aが飛び交っています。

TeamChampion(チームチャンピオン)

ここから紹介する2つのポジションは、BI導入プロジェクトの立ち上げ期からアサインされていることは少なく、ある程度BI活用が進んできたタイミングで必要になるケースが多いです。

BI活用が進んでくると、事業側からのダッシュボードのカスタマイズのニーズが、より具体的で細かく頻繁に出てくるようになります。

そうなるとデータスペシャリストだけで対応しきることが難しくなるため、それを補佐する形で「事業側に所属していながら、ダッシュボード作成も行う」といったポジションが、チームチャンピオンです。

イメージしやすい例でいうと「営業部内で最もDomoに詳しい人」という感じで、営業マンが必要なダッシュボードを代わりに作成する、といった作業を行います。

つまり、事業側の言葉や文化と、データの専門的な用語や知識の両方を理解する必要がある、バイリンガルのポジションです。(なのでC-3POです)

事業との距離が近いので、他のどのポジションより「事業側にとって必要な形」がすぐにイメージできるため、チームチャンピオンを担う人が現れると一気にBI活用が浸透します。

誰かに任命される形ではなく、立候補でやりたい人が現れるとプロジェクトメンバーは泣いて喜びます。

DomoMaster(Domoマスター)

最後に、Domoマスターはチームチャンピオンと同じく、事業とデータを結びつけるポジションですが、チームチャンピオンよりもデータや技術的な領域を担う必要のあるポジションです。

それまでデータスペシャリストがキャッチアップしきれなかった、細かな事業側のニーズを理解し、テーブル構造やグラフに形を落とし込んでいきます。

Domoマスターになるためのキャリアパスとしては、事業部出身のチームチャンピオンがテクニカルな知識を強化していきDomoマスターになっていくか、データチーム出身者がより事業側に寄り添う形で進化していくかの大きく2パターンがあるかと思います。(私は前職で前者のパターンでした)

ただ形にするだけでなく分析力も持ち合わせて事業に対してアドバイスなどができる、いわばデータアナリストとしての役割を、Domoマスターが担えると、チーム力はより高まっていきます。

各ポジションの守備範囲(立ち上げ期ver)

立ち上げ期にはチームチャンピオン、Domoマスターはまだいない・できる人がいないケースが多いので、他の3ポジションでBI導入プロジェクトがスタートします。

この場合、メジャーDomoがハブとなり全体の理解と管理を進めていく必要があり、エグゼクティブスポンサーとデータスペシャリストも、本来の守備範囲からはみ出して、隣り合う領域をカバーする必要があります。

各ポジションの守備範囲(拡大期ver)


BI導入が進み社内でデータ活用を拡大していくフェーズになると、より細かく役割分担をするためにチームチャンピオン、Domoマスターを仲間に加えられるとベストです。

ユーザーから上がってくるニーズへの対応をチームチャンピオン、Domoマスターがカバーできるようになると、エグゼクティブスポンサー、データスペシャリストはメインの専門担当領域に専念できるようになります。

またメジャーDomoは個別の対応からは手離れし、「全社でのデータ活用戦略を考える」という経営・統括に近い業務が主軸になっていきます。

おわりに

アタラのコンサルタントとして日々実感していること、前職で事業会社にいた際に経験したことを織り交ぜながらまとめてみました。いかがでしたでしょうか。

文章にすると簡単ですが、どのポジションにおいても隣り合う領域のことを新たに学んでいく必要があり、このドリームチームが完成するにはそれなりの期間が必要です。

ですがそのゴールのイメージ、目指すべきチーム像のイメージの想起に、本記事を役立てていただけると嬉しいです。

BI導入プロジェクト発足時には、データ連携構造、契約、料金周りなど、確認すべき点が非常に多いので、チーム体制については二の次になってしまいがちではないかなと思います。

より長く・広く・深くBIを活用していくためには、人の力に勝るものはなく、チームでの機能がとても大切です。

ぜひ参考にしてみてください。

 

※当記事の内容、所属、肩書きなどは、記事公開時点のものです。

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