Google 広告 違反警告システムの刷新を発表
2021年7月20日、Google 広告はポリシーを守らないアカウントを罰するシステムを刷新すると発表しました。本措置の適用は2021年9月からを予定しているとのことです。本記事では、どのような場合において違反となるのか、複数回の違反によってどのような影響がアカウントに生じるのかを説明します。
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Google 広告 違反警告システムは信頼できる広告体験を実現するための措置
多くの媒体でユーザー保護のためのポリシーが一層厳しくなってきていますが、そうした状況においても、Google 広告のポリシーは比較的罰則が厳しくありませんでした。
例えば、Yahoo!広告は広告の品質向上およびユーザー保護への取り組みを段階的に拡大しているため、広告審査において「重大な違反表現」が認められた場合、違反表現を修正したとしても対象商品自体の広告掲載が拒否されることが決まっています。対象商品になってしまうと、異なるアカウントや代理で広告掲載を申し込んでも掲載できなくなる程の罰則も設けています。
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Google 広告において悪質な違反が判明した場合は、違法行為およびユーザーへの深刻な被害を防止する有効な手段が強制停止しかない場合に限り、広告主のアカウントは予告なく直ちに強制停止されますが、多くの場合は違反の内容とポリシーを遵守するための対策を記した警告が、強制停止の7日前までに送信されます。
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このように比較的罰則に厳しさがなかったGoogle 広告ですが、安全でない広告や有害な広告をプラットフォーム上に表示させるのを防ぎ、信頼できる広告体験を実現するため、違反警告システム(three-strikes system)を発表しました。
違反警告システムでは、「不正行為を助長する商品やサービス」、「不承認の薬物」、「危険な商品やサービス」の各ポリシーへの違反に対して事前警告と違反警告が発行されるとのことです。
この対象には、これまでも違反項目であった「人を欺く行為を助長する広告」、「文書の偽造」、「ハッキング」、「スパイウェア」などの商品やサービスの広告、タバコ、薬物、武器や兵器などを宣伝する広告が含まれています。違反となる項目は大きく変わりませんが、今後は違反警告の回数に応じてより厳しい罰則が科されるところが以前との違いです。
Google 広告から警告を受けた場合
警告を受けた広告主が広告掲載を再開するには、指摘された違反を修正し、確認フォームを提出する必要があります。これまで同様、広告主は審査に関して再審査請求はできるものの、同じポリシーに対する違反の指摘を続けて3回受けるとアカウントが強制停止することになります。
違反の指摘自体は90日間で失効するとのことです。メールで指摘を受け、問題を修正し再審査にかけると、修正後90日間同じポリシーに違反しなかった場合には、これまでの警告がリセットされます。つまり同じポリシーに対する2回の違反警告までに限り、違反の修正を行ってから90日が経過すれば、次の違反は再び最初の警告タイプに戻るということです。3回目の違反警告を受ければリセットはありません。
現段階では違反警告システムは広告ポリシーの試験的プログラムであり、「不誠実な行為を可能にする」、「承認されていない物質」、「危険な製品やサービス」のポリシーにおいてテストされていますが、対象となるポリシーは今後段階的に拡大していく予定とのことです。現時点ではグローバル適用ではなく、今後グローバルに展開していくとも記載されています。
すでに日本語のヘルプページが作成されており、Google 広告チームより「Google 広告 – 違反の繰り返しに対する措置プロセスの更新」というタイトルの通知メールが配信されていることから、日本は9月からの適用対象国となっているのでしょう。
今回の発表により違反実績のある広告主に対する罰則がようやく強化されることとなったGoogle 広告ですが、今回のアップデートを経た後であっても強制停止まで猶予があり、Yahoo!広告ほど厳しい罰則は設けていません。
「同じポリシーへの違反に対し、事前警告含め3回まで猶予を与える」ということは、修正後も同じポリシーに抵触したままになっている広告主がそれだけ多いということだと推察します。この試験的プログラムから、ポリシーは確実に厳しくなっていきますが、まっとうに広告を運用しているアカウントに対しては大きな影響はないでしょう。
「再審査にかける際はポリシーに準拠した修正を加える」、「複数人で運用している場合は1人1人が勝手に再審査にかけないようにする」という点を気をつければ問題ないと思われます。広告運用者としてユーザーの広告体験を守るためにも、ポリシーのアップデートは注視していきたいですね。