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『広告運用者のためのLooker Studio(旧Google データポータル)活用講座』連載の趣旨
広告運用者がBIツールを導入し、広告パフォーマンスを管理・分析するニーズが高まっている中、Looker Studio(旧Google データポータル)は無料で利用できる点もあり、注目を集めています。本連載では、広告運用者が広告を運用するにあたって便利なLooker Studioの機能やダッシュボードを使ったレポートのサンプル、分析方法、ダッシュボード作成の際のコツなどを紹介します。
前回は、当月の予算やKGI、進捗率などをLooker Studioに反映する方法について触れました。本記事では、当月のみでなく、先月以前の予算やKGI、達成率などもLooker Studioへ反映する方法について紹介します。
※参考リンク:
Looker Studioサンプルダッシュボードのご紹介
以下は、今回紹介する仕組みで実現できるサンプルダッシュボードです。デフォルトでは当月を表示する設定となっていますが、先月や先々月を選択すると、該当月の予算やKGI、達成率を表示します。
2種類のデータソースの用意
過去の予算やKGI、達成率なども反映したレポートを作成するためには、まず2種類のデータソースを用意します。
一つ目は広告データです。以下はサンプルです。今回は日別キャンペーン別数値を用意しています。広告グループ別など別の視点でも作成できるため、目的にあったデータソースを用意する必要があります。
二つ目は、「年月」「昨日の日付/最終日」「経過日数」「残日数」「予算」「目標コンバージョン数」の項目を記載したGoogleスプレットシートを用意します。以下はサンプルです。
昨日の日付(B2セル)は「=IF(TODAY()-1<A2,"",IF(TODAY()<A3,TODAY()-1,A3-1))
」で計算しています。意味合いとしては、「昨日の日付」を基準に「年月(A列)」が、未来の場合は「空白」を返す。当月の場合は「昨日の日付」を返す。過去の場合は「該当月の最終日」を返すという内容になっています。
経過日数(C2セル)は「=IF(TODAY()<B2,"",IF(TODAY()<B3,DAY(TODAY())-1,""))
」で計算しています。意味合いとしては、「昨日の日付」を基準に「年月(A列)」が、当月の場合は「経過日数」を返す。それ以外の場合は「空白」を返すという内容になっています。
残日数(D2セル)は「=IF(TODAY()<B2,"",IF(TODAY()<B3,EOMONTH(TODAY(),0)-TODAY()+1,""))
」で計算しています。意味合いとしては、「昨日の日付」を基準に「年月(A列)」が、当月の場合は「残日数」を返す。それ以外の場合は「空白」を返すという内容になっています。
今月の「予算」と「目標コンバージョン数」は手入力します。
以下は、計算用Google スプレットシートのサンプルです。計算式などは、以下を参照してください。
データの統合
2種類のデータソースは「昨日の日付」をキーとして結合します。以下はデータの統合イメージです。
先ほど紹介した計算用データの「昨日の日付/最終日(B列)」の列には、「昨日の日付」を基準に「年月(A列)」が当月の場合は「昨日の日付」が反映されるように関数を組んでいますが、先月以前の場合は、該当月の最終日が反映されるように関数を組んでいます。そのため、Looker Studioで先月や先々月を選択した際は、「広告データの該当月の最終日」と、「計算用データの該当月の最終日」が、結合キーとして統合されるため、該当月の予算や達成率を自動計算して反映することができます。
データの統合機能については以下を参照してください。
※参考リンク:
計算フィールドの作成
作成した混合データを利用することで、以下項目の追加が可能です。レポートサンプルでは、以下項目をスコアカードとして追加しました。※赤字は計算式
- 【予算】
AVG(予算)
- 【目標コンバージョン数】
AVG(目標コンバージョン数)
- 【目標CPA】
AVG(予算)/AVG(目標コンバージョン数)
- 【予算進捗】
SUM(コスト)/AVG(予算)
- 【コンバージョン数進捗】
SUM(CV数)/AVG(目標コンバージョン数)
- 【理想進捗率】
AVG(経過日数)/(AVG(経過日数)+AVG(残日数))
- 【残日数の推奨日予算】
(AVG(予算)-SUM(コスト))/AVG(残日数)
- 【コスト着地見込】
SUM(コスト)/AVG(経過日数)*(AVG(残日数)+AVG(経過日数))
- 【コンバージョン数着地見込】
SUM(CV数)/AVG(経過日数)*(AVG(残日数)+AVG(経過日数))
利用時の注意点
以下は、本仕組みで作成するLooker Studioのダッシュボードを利用する際の注意点です。
- 期間設定は1ヶ月単位(今月、先月、先々月など)で表示する必要があります。選択した期間内に、結合キーである「昨日の日付/最終日」が複数存在する場合、それぞれの数値が集計されて反映されるため、誤った数値が反映される可能性があります。
- 先月以前の期間を設定した際は、「理想進捗率」「残日数の推奨日予算」「CV数着地見込」は表示されません。
- 期間設定内に「昨日の日付」または「該当月の最終日」が含まれない場合、予算など今回追加した項目は表示されません。
おわりに
今回の計算用データには、「予算」と「目標コンバージョン数」の項目のみを用意していましたが、「目標売上」「目標クリック数」などの項目も追加できます。また、商材ごとに異なるKGIを設けている場合、それぞれのKGIを項目として追加しておくことで、同様に管理することが可能です。
誤った判断や使い方をしないように、どのような仕組みで反映されているかは理解する必要がありますが、本仕組みを上手く活用することで、進捗確認や過去数値との比較がしやすくなります。
次回の連載では、Looker Studioのレポートを複数人で管理する際のおすすめの方法を紹介します。