目次
- 1 「プライバシー保護」と「広告の成果・計測」の両立
- 2 P-MAXキャンペーン
- 3 個人情報についてのGoogleの方針
- 4 Cookieの無い世界への変遷
- 5 これからの計測のためにやるべき事
- 6 カスタマーマッチの利用要件緩和
- 7 Consent experience in Tag Manager
- 8 Modeled behavioral reporting in Google Analytics
- 9 New advertiser experience
- 10 YouTube & Display in data-driven attribution
- 11 レスポンシブ検索広告と部分一致とスマート自動入札の活用
- 12 画像表示オプションのフルローンチ
- 13 Product feed in ads
- 14 Demand forecast
- 15 マッチタイプのアップデート
- 16 GoogleとShopifyのパートナーシップ拡大
- 17 ローカル在庫広告
- 18 Maps and YouTube local ads
- 19 Deals results
- 20 Business identity attributes
- 21 Competitive visibility report
- 22 Track your open carts in one Chrome tab
「プライバシー保護」と「広告の成果・計測」の両立
米国時間 2021年5月27日(木)、GoogleはGoogle 広告、Google アナリティクス、Google Marketing Platform(以下、GMP)などの広告関連プロダクトに関するアップデートや、開発の方向性を発表するGoogle Marketing Livestream 2021(以下、GML2021)をオンラインで開催しました。
このイベントは一昨年5月に行われたGoogle Marketing Live 2019(以下GML2019)を引き継ぐイベントです。前回の発表については以下の記事をご覧ください。
※参考リンク:
GML2021のオープニングトークは、Googleの最高業務責任者であるPhilipp Schindler氏が務めました。同氏は、大小数多の企業が困難に直面している昨今の状況において、Googleの最優先事項は、人生で一度きりのデジタライゼーションの瞬間を手助けをすることだと言及しました。
その取り組みの一環として、Google ホテル広告経由の予約がキャンセルされた場合、いかなる理由でも費用を発生させないことでホテル事業会社を支援したり、激しい需要の変動にも小売業者が対応できるような製品の開発に力を入れたりしたとのことでした。
本記事では、GML2021のキーノートスピーチで発表された主要なプロダクトを以下にまとめています。Unyoo.jpで既に記事にしているものもありますが、この機会にぜひまとめてご一読いただければ幸いです。
P-MAXキャンペーン
続いて広告部門のヴァイスプレジデント兼ゼネラルマネージャー(以下VP / GM)のJerry Dischler氏が登壇しました。
同氏は、インサイト ページやローカル在庫広告に商品の店先受け取りの可否を表示する機能やLocal Services Adsなどの直近リリースした機能にも触れつつ、現在一部の広告主に提供されているP-MAXキャンペーンを、2021年後半に正式リリースする予定だと言及しました。
P-MAXキャンペーンとは、完全に自動化されたキャンペーンで、検索、YouTube、ディスプレイ、Discover、Gmail、マップに広告が配信されます。
※参考リンク:
また、P-MAXキャンペーンのインサイトページでは、どのような最適化が働いているか、配信状況の確認ができるようになるようです。
個人情報についてのGoogleの方針
同氏は、プライバシー保護はGoogleにとっての最優先事項として捉えているとし、「個人情報を販売することはない」「センシティブな情報(健康、人種、宗教など)は広告に使わない」「Drive、Gmail、Photoなどで作成および保存したコンテンツを使用しない」ということを明言し、これらの原則は決して変わることはないと言及しました。
また、2021年3月に発表した、3rd Party Cookieのサポート終了後、それに代わるウェブ上で横断的に個人を追跡する代替的識別子の構築を行わず、それらを広告製品において使用しないことについても触れました。
※参考リンク:
Cookieの無い世界への変遷
Googleは、Cookieの無い世界へと徐々に舵を切っており、その際に重要な指針として、「同意を得て取得された1st Party データの活用」「機械学習による予測」「Privacy Sandboxのようなプライバシーを守る新しい技術」を挙げました。
これからの計測のためにやるべき事
続いてGoogle 広告の購入、分析、計測部門のVP / GMのVidhya Srinivasan氏が登壇し、測定の未来を守るために何をすれば良いかについて言及しました。
同氏によると、サイトワイド タグと1st Party データの基盤により、測定ソリューションが連携することでより多くのコンバージョンを計測が可能となり、より正確なコンバージョンモデルを確認できるとのことです。
Cookieが利用できない場合でもコンバージョンを計測する新しい方法として、Enhanced conversion measurementにより、同意済みの自社データを使用することで、ユーザーが広告を利用した後にどのようにコンバージョンしたかを、より正確に把握することができるとのことです。また、コンバージョンモデリングも改善されるため、ユーザーが別のデバイスでコンバージョンした場合の測定も改善するそうです。
※参考リンク:
カスタマーマッチの利用要件緩和
カスタマーマッチがほぼ全ての広告主で利用できるようになるとのことです。Google 広告ヘルプページによれば、2021年秋より利用要件は緩和され、過去に広告ポリシー違反や支払い遅延のない優良なGoogle 広告アカウントについては、以下全ての利用要件を満たさずとも、モニタリング設定(入札単価調整比の設定不可)でのオーディエンス設定や除外設定に限ってカスタマーマッチの機能を利用することができるようになります。
- これまでポリシーを遵守してきた実績があること
- これまでお支払いに関して問題が発生していないこと
- 90日以上の Google 広告の利用実績があること
- 利用金額が全期間で5万米ドルを超えていること(米ドル以外の通貨でアカウントを管理している広告主の利用金額は、その通貨の月別平均換算率により米ドルに換算されます)
なお、ターゲティング設定でのカスタマーマッチ利用は引き続き上記条件を全て満たす必要があるとのことです。
Consent experience in Tag Manager
データの利用に関して、各個人ができるだけ簡単に可否を選択しやすくするために、Google タグ マネージャーに新しい機能が追加されました。サイト内で既に同意管理ソリューションを使用している企業の場合、サイトのコードを変更することなく、タグマネージャーと直接統合・管理できます。
※参考リンク:
Modeled behavioral reporting in Google Analytics
Google アナリティクス 4 プロパティの行動レポートに最高クラスのモデリング機能が提供される予定とのことです。
New advertiser experience
Google アナリティクスで、広告キャンペーンの成果に関する深いインサイトや、クロスチャネルパフォーマンスや広告の指標、推奨事項が確認できたり、アトリビューションモデルを比較できたりするようになり、その結果最適な予算配分の判断ができるようになるとのことです。
YouTube & Display in data-driven attribution
検索キャンペーンとショッピングキャンペーンに加えて、ディスプレイとYouTubeも間もなくデータドリブンアトリビューションに組み込まれるとのことです。Google アナリティクスからインポートしたコンバージョンでも同様に機能します。
レスポンシブ検索広告と部分一致とスマート自動入札の活用
続いてGoogle 広告のプロダクトマネジメントVPのDarshan Kantak氏が登壇し、自動化のベネフィットを享受する方法の一つとして、レスポンシブ検索広告と部分一致、スマート自動入札の活用について言及しました。それぞれを組み合わせて活用することで、CPAは同水準のまま、コンバージョン数を20%増加させる事例が出ているとのことです。
画像表示オプションのフルローンチ
2020年にベータ版として公開された画像表示オプションがフルローンチとなりました。YouTubeの検索結果を含む検索広告に画像を付与することができる機能で、Googleによれば、モバイルで画像表示オプションを使用するとクリック率が平均10%上昇するとのことです。
※参考リンク:
Product feed in ads
Google マーチャントセンターのフィードを、動画アクションキャンペーンとファインドキャンペーンに接続し、YouTube、Discover、Gmail、Google Play、Google アプリに広告を配信できるようになります。
Demand forecast
今後数週間のうちに、インサイトページに需要予測を反映するとのことです。今後90日間の検索行動に関連する変化を予測します。これらの統計データは、キャンペーンセールや在庫などの準備に活用できます。
また、Google 広告ヘルプページによれば、この需要予測に加えて、「消費者の興味や関心に関するテーマ」「オーディエンス分析」の分析情報も追加予定とのことです。
※参考リンク
マッチタイプのアップデート
直近、フレーズ一致や部分一致の拡張性に関するアップデートが続いています。詳細は以下を参照してください。
※参考リンク:
GoogleとShopifyのパートナーシップ拡大
続いてコマース、決済、Next Billion UsersイニシアチブのプレジデントであるBill Ready氏が登壇し、GoogleとShopifyのパートナーシップが拡大したことについて言及しました。これにより、googleとshopifyの間で、商品の在庫を簡単に公開できます。また、ShopifyマーチャントのShop Payを有効にすることで、Googleに掲載された商品の支払いオプションとして利用できます。
ローカル在庫広告
続いてリテイル広告のプロダクトマネジメントディレクターのStephanie Shum氏が登壇し、ローカル在庫広告において、今すぐの店舗での受け取り、店頭受け取り、後日受け取りを強調表示できるようになったと明言しました。
Maps and YouTube local ads
店先で受け取れるのか、店内で購入可能なのかというラベルを、Google マップやYouTubeにも拡張表示できる機能です。
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Deals results
2021年の後半、検索とショッピングタブに新しくてお得な情報を提供するページが追加される予定とのことです。
Business identity attributes
続いてプロダクトマネジメントシニアディレクターであるJenn Liu氏が登壇し、約7割の消費者は、価値観を共有する企業から商品を購入することを好むというデータを提示し、ブランドのアイデンティティに関する情報を提供するBusiness identity attributesを紹介しました。
下図は、検索とGoogle マップに黒人所有の企業であるというラベルが表示される、今年の初めにリリースした機能です。今後は、過小評価されたコミュニティが所有・主導する、例えば女性が主導するような企業や、その他のeコマース企業に対象を拡大するとのことです。
Competitive visibility report
続いてマーチャントショッピング部門のVP / GMのプレジデントであるMatt Madrigal氏が登壇し、消費者の行動に迅速に気づき対応できるよう、Google マーチャントセンターにて、競合他社の状況など外部要因を確認するレポートを提供する予定との発表がなされました。このレポートを活用することで、自社製品の売り上げが突出して伸びているのか、業界全体として伸びているかなどが確認できるようです。
Track your open carts in one Chrome tab
Chromeで新しいタブを開いた際に、開いているカートをまとめて表示できる新機能が導入される予定です。本機能により、一度カートから離脱して他サイトを閲覧した際などに、中断したところからすぐに買い物を始めることができます。
※参考リンク:
以上が、GML2021のキーノートの内容を簡単にまとめたものになります。2年前のGML2019では、ファインド広告、ギャラリー広告、キャンペーン単位のコンバージョン設定、季節性の調整などの発表があり、新機能の登場に胸が高鳴りました。今回のイベントでは、プライバシー保護と広告の成果・計測のどちらも重視していて、両者とも蔑ろにしないGoogleの姿勢が強く伝わってきました。新機能については、これから詳細がリリースされるものもあるため、引き続き新情報を追っていこうと思います。