Google 広告、動画キャンペーンにテスト機能を追加する旨を発表

Google広告、動画キャンペーンにテスト機能を追加する旨を発表

運用型広告レポート作成支援システム glu グルー2021年4月6日、GoogleはGoogle 広告の動画キャンペーンにテスト機能を追加すると発表しました。今後数週間のうちに、YouTubeでどの動画広告がより効果的かを判断するためのテストが行えるようになります。本記事では、アップデートの背景、YouTubeを用いた動画テストの実行方法、結果の評価の行い方、テストの重要性について説明します。
 
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Google 広告、動画キャンペーンにテスト機能を追加する背景

 
マーケティング戦略を成功させるためには、テストは欠かせないものです。結果に裏付けられた施策を繰り返すことによって、より効果的なキャンペーンを大規模に展開していくことができます。変化が激しく、多くのものに前例がない時代には、まずはテストを行い、その結果を踏まえた戦略を立てることが重要だとGoogleは提唱しています。
 
2020年4月に公開されたThink with Googleの記事でも、マーケターにとってテストが不可欠である理由や、組織全体で「テストを行い、そこから学ぶ」というマインドセットが重要であることが説明されていました。
 
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2017年10月に公開されたニールセンの記事でも言及されていたことですが、販売促進において、クリエイティブの影響力が非常に大きいことが分かっています。
 
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これらの事実を踏まえ、Googleは今後数週間の間に、Google 広告において動画テストの実装を全世界的に開始すると発表しました。このテストは簡単に設定でき、結果をすぐに出すことができるものとなるそうです。コロナ禍でより一層変化の激しくなった現代において、さまざまな企業がマーケティング戦略を成功させるためにも、Googleは動画テストを手軽に行えるようにしたのではないかと考えられます。
 
動画テストを行うことにより、広告やクリエイティブがブランド、コンバージョン、またはCPAに与える影響を測定したり、YouTubeでの成果を向上させたりするための、より多くの情報に基づいた意思決定を行うことができます。
 

このように、クリエイティブや効果的なアプローチへのインサイトを素早く得られるようにするために、テスト機能を使用することが推奨されます。Google 広告では検索キャンペーンやディスプレイキャンペーンにおいては、すでに「テストと下書き」の機能があり、活用されています。今後は動画キャンペーンでもテスト機能が利用できるようになるため、素早くインサイトを得られるフォーマットが増えた形となりました。

 

YouTubeを用いた動画テストの実行方法

 
動画テストでは、同じ視聴者を対象に異なる動画広告をテストします。テスト結果に基づき、どの広告がより視聴者の心に響くかを判断することができます。こちらでは動画テストを行う際に必要な用語や設定方法について説明します。
 
※参考リンク:


 

動画テストに関する用語

以下の用語は最低限押さえておくべきとして、ヘルプページにも記載があります。動画テスト機能を使用する場合は、これらを理解した上で設定を進めることをおすすめします。
 

  • 【仮説】・・・動画テストにおける仮説とは、動画テストで答えを出すための問いのことです。
  • 【テスト群/Experiment arm】・・・テスト群とは、特定の設定を持つキャンペーンまたはキャンペーンのグループのことを指します。動画テストでは、少なくとも二つのテスト群を用意し、それらの間でパフォーマンスを比較できるようにする必要があります。
  • 【トラフィックの分割】・・・トラフィック分割は、テストをどのように分割するかを示します。二つのテストを行う場合、ほとんど場合で50%の均等なトラフィック分割を行います。
  • 【統計的有意性】・・・二つ以上の変数の間の関係が偶然ではない何かによって引き起こされていると判断することを指します。つまり、テストが統計的に有意であれば、その結果は単なる偶然や運以上のものであるということを意味しています。

 

テストを始める前に必要なもの

  • テスト戦略を決定するために、まず仮説を立てる必要があります。そして仮説はキャンペーンの全体的な目標と結びつける必要があります。例えば「顧客獲得キャンペーンでコンバージョン率が高いのは、2分のチュートリアルと15秒のダイレクトオファー動画のどちらの動画広告か」などが仮説といえます。
  • テストを設定する前に、異なるクリエイティブで、少なくとも二つの動画キャンペーンを作成します。各キャンペーンで同じ設定(オーディエンス、入札、広告フォーマットなど)を使用し、他のキャンペーン特性とは別に各動画広告のパフォーマンスを把握します。

 

動画テストの作成方法

  1. Google 広告のアカウントにログインします。
  2. 左側のページメニューで「下書きとテスト」を展開し「動画テスト」をクリックします。ページ メニューに「下書きとテスト」が表示されていない場合は「もっと見る」をクリックしてメニューのオプションを表示します。
  3. プラスボタンをクリックして、新しいテストを開始します。
  4. テストの名前と目的を入力します。
  5. テスト群ごとに名前を入力します。
  6. 「キャンペーンを選択」をクリックして、各テスト群にキャンペーンを割り当てます。キャンペーンはテスト群ごとに一つしか選択できません。
  7. (オプション)テスト群を追加するには「テスト群を追加」をクリックします。デフォルトでは二つのテスト群がありますが、最大で四つのテスト群を含めることができます。
  8. 「指標を選ぶ」のドロップダウンをクリックし、成功指標として「ブランド効果測定」または「コンバージョン」を選択します。
    ※テストを設定すると、インサイトや推奨事項がGoogle 広告に表示されます。インサイトや推奨事項が、緑色の場合はテストを進めることができますが、黄色または赤色の場合はテストを保存する前にメッセージで示された問題を解決する必要があります。
  9. 保存をクリックします。

 

注意点

ブランド効果測定は、全てのGoogle 広告アカウントで利用できるわけではありません。動画テストでブランド効果測定を使用するには、Googleアカウントの担当者に問い合わせる必要があり、Googleアカウント担当者がいない場合は、テストでブランド効果測定を使用することはできません。
 
また、動画テストにおいては、検索広告やディスプレイ広告のテストでは使用できる「下書き」の機能はなく、キャンペーンを直接作る必要があります。この下書きがないところが、これまでのテスト機能と大きく違うところなので押さえておきましょう。
 

動画テストの終了方法

テストの実行中は、トラフィックがキャンペーン間で均等に分割されます。キャンペーンに変更を加えたい場合、テストを終了する必要があります。テストを終了すると、キャンペーンは以前のトラフィック配分に戻ります。

  1. Google 広告の 動画テストにアクセスします。
  2. 終了したいテストを見つけます。
  3. 「テストを終了する」をクリックします。

 

動画テストの結果の評価の行い方と注意点

 

動画テストのパフォーマンスを確認する

動画テストを設定した後は、Google 広告でそのパフォーマンスを確認することで、テスト群の中で最もパフォーマンスの高い動画広告を見いだすことができます。テストでどの広告のパフォーマンスが優れているかが分かることで、どのキャンペーンを継続し、高い予算を割り当てるべきかに、情報に基づいた判断を下すことができます。
 

以下で動画テストのパフォーマンスの確認方法を説明します。
 
参考リンク:


 

  1. Google 広告のアカウントにサインインします。
  2. 左側のページメニューで「下書きとテスト」を展開し「動画テスト」をクリックします。ページ メニューに「下書きとテスト」が表示されていない場合は「もっと見る」をクリックしてメニューのオプションを展開します。
  3. キャンペーンのテストを選択すると、その結果が表示されます。

 

結果の評価を行う際に注目すべき指標

動画キャンペーンのクリエイティブテストをモニタリングするためのレポートカードを見て、結果を評価します。結果を評価する際には、あらかじめ決めておいた成功指標に基づき、全体的なブランド効果測定またはコンバージョンに変化がないかに注目します。これらの指標に着目することで、テスト群間のパフォーマンスの大きな変化を見つけやすくなります。
 

動画テストの注意点

  • コンバージョン数で統計的に有意な結果を得るためには、テスト群ごとに少なくとも100件のコンバージョンが必要とのことです。テストに含まれるキャンペーンに少なくとも100件のコンバージョンがない場合、Google 広告で結果を見ることができません。
  • テスト群間で予算が均等に分割されているにも関わらず、片方のキャンペーンのインプレッション数が偏っている場合は、キャンペーンが異なるオークションに参加し、異なる入札額で落札されていることを意味しています。より低いコストでより多くのオークションに勝利したキャンペーンが、多くのインプレッションを獲得することになるため、一方に偏ることになります。テスト機能は、当該テスト群のユーザーと別のテスト群のユーザーが重複しないことのみを保証します。

 

結果が出た際に行うこと

Google 広告のヘルプページには、結果を解釈した後のベストプラクティスが記載されています。

結果を踏まえて行動しましょう
あるテスト群で統計的に有意な結果が得られた場合、他のテスト群を一時停止し、より有意な結果が得られたテスト群に全ての予算を配分することで、インパクトを最大化することができます。
 
過去の学習を基に、次の施策に生かしましょう
例えば、異なる視聴者層向けにカスタマイズされたビデオアセットの方が、全ての視聴者に同じ一般的なアセットを見せるよりもパフォーマンスが高いことが分かった場合、この結果を今後のビデオアセットの開発に生かします。
 
結論が出ていない結果も、有益な情報となります
例えば、テストでは二つのクリエイティブが同じくらいのパフォーマンスを示した際は、一方のクリエイティブはもう一方のクリエイティブよりも制作費が安い場合があります。

 
参考リンク:

 

テストの重要性

2019年と2020年に実施されたグローバルスタディでは、動画テストを利用してYouTubeでのロウワーファネルパフォーマンスの最適化に成功した広告主は、パフォーマンスの高いクリエイティブからの獲得単価の中央値が30%低下したといいます。また、アッパーファネルへの影響を最適化するために動画テストを行った広告主は、パフォーマンスの高いクリエイティブの方が低いクリエイティブよりも広告想起率が60%高い結果が得られたと報告されたそうです。成功したテストは、テスト群間でブランド効果測定に有意差があったものです。
 

環境や消費者の行動が急速に変化している時代において、常に変化のペースについていくことは難しいですが、テストを行うことによって結果やインサイトを導き出すことはできます。YouTubeでテストを行うことで、スピーディに仮説とその検証を行えるようになり、効果的なアプローチとそうでないアプローチをマーケターが理解できるようになります。

 
どのような動画テストを行うにしても、テストを行うことでデータに基づいて動画広告を改善していくことができるようになります。このテストの最終的な目的は、ただ単に動画キャンペーンのパフォーマンスを向上させることだけでなく、ブランドや視聴者にとって何が有効かのインサイトを得ることにもあるとされています。テストから得られるインサイトは、広告主のビジネスに一貫して良い結果をもたらす動画広告を作るために非常に重要なものです。今回アップデートされたテスト機能によって、より迅速にパフォーマンスの向上をしていきたいですね。
 


 


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