Googleは2021年2月5日(金)、フレーズ一致と絞り込み部分一致の拡張性を改善し、絞り込み部分一致を段階的に廃止することを発表しました。
日本語への適用時期は、2021年7月を予定しています。それまでの間は、従来の定義が適用されます。※英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語、オランダ語、ポルトガル語、ロシア語については、2021年2月より順次導入されます。
※参考リンク:
フレーズ一致はどのように変わるのか
フレーズ一致と絞り込み部分一致のマッチング動作は同じになり、広告として設定しているキーワードと類似した意味を含む検索語句であれば広告の表示対象となります。
また、新しいマッチング動作では、語句の順序も意味を踏まえて解釈されます。
たとえばフレーズ一致キーワード “moving services NYC to Boston”(「引っ越しサービス ニューヨーク市からボストンへ」)の場合、”affordable moving services NYC to Boston”(「低価格引っ越しサービス ニューヨーク市からボストンへ」)などに一致する点は変わりませんが、これに加えて、従来は絞り込み部分一致でしか一致しなかった “NYC corporate moving services to Boston”(「ニューヨーク市 企業向け引っ越しサービス ボストンへ」)などにも一致するようになります。フレーズ一致では、語順が逆になった検索 “moving services Boston to NYC”(「引っ越しサービス ボストンからニューヨーク市」)などは広告表示の対象とはなりません。
以下は、フレーズ一致による拡張がどのように変化するかを示した例です。 ※()内は、意訳です。
絞り込み部分一致は、どのように変わるのか
追加済みの絞り込み部分一致キーワードは、新しいフレーズ一致と同じマッチング動作で引き続き利用できますが、今回のアップデート以降は、絞り込み部分一致キーワードを新たに追加することができなくなります。
また絞り込み部分一致を、キーワード内の一部の単語にのみ適用することはできなくなります。たとえば『+引っ越し サービス』というキーワードの場合、両方の語が絞り込み部分一致としての扱いになり、『+引っ越し +サービス』や『”引っ越し サービス”』と同じように動作します。
以下は、絞り込み部分一致による拡張がどのように変化するかを示した例です。
本変更により、絞り込み部分一致キーワード(特にキーワード内の一部の単語だけを絞り込み部分一致にしているもの)については、トラフィックが減少する可能性があります。
以下は、トラフィックの減少を抑えるための推奨事項です。
- ユーザーの検索語句を追加
- キーワード プランナーの活用
- 最適化案やキーワードの追加時に表示される提案の活用
- 通常の部分一致(例:「引越し サービス」)の使用。特にスマート自動入札を利用している場合はこの方法が推奨
以下は、絞り込み部分一致に関する注意点です。
①キーワードの入札単価とURLは引き続き編集可能だが、キーワードのテキストを編集するとマッチタイプがフレーズ一致に更新される。
②既存の絞り込み部分一致キーワードをフレーズ一致の形式に変換してもパフォーマンス上のメリットはない。
③絞り込み部分一致キーワードをフレーズ一致の形式に変換した場合、絞り込み部分一致キーワードのこれまでの掲載結果データは引き継がれない。
またアカウントに絞り込み部分一致とフレーズ一致の同じキーワードがそれぞれある場合、オークションにおける扱いに違いはありません。基本的には広告ランクの最も高いキーワードが採用されます。ただし例外もあるため、Google 広告アカウント内の類似のキーワードについてをご覧ください。
※参考リンク:
また絞り込み部分一致からフレーズ一致への変換を手軽に行うためのツールを年内にリリース予定とのことです。加えて、同じ広告グループ内のフレーズ一致キーワードと重複している絞り込み部分一致キーワードがある場合、削除するための案内も表示されます。
マッチタイプの変更遍歴
Googleは、以前よりマッチタイプのアップデートを行ってきました。
2014年:「完全一致」「フレーズ一致」のキーワードに対して、誤字や表記ゆれなどの検索語句に対しても広告が配信されるように
※参考リンク:
2017年:前置詞、接続詞などによる区別を撤廃したり、語順違いにも対応したり、完全一致キーワードの広告配信対象を拡大
※参考リンク:
2018年:完全一致の類似パターンに、キーワードと同じ意味をもつ類似パターンが含まれるように
※参考リンク:
2019年:フレーズ一致と絞り込み部分一致の類似パターン拡大
※参考リンク:
これらの過程で、部分一致とスマート自動入札を組み合わせて、パフォーマンスを向上させた実績も発表されており、マッチタイプとスマート自動入札の性能が向上していることが伺えます。
※参考リンク:
※参考リンク:
広告運用者がすることは何か
以下は、今回の仕様変更に伴うベストプラクティスです。
- 除外キーワードの設定
- スマート自動入札と部分一致の併用を検討
- パフォーマンスを監視し、必要に応じた予算のシフトや入札調整
- 最適化案の定期的な確認(「新しいキーワードを追加する」や「競合する除外キーワードを削除する」が有効)
今回の発表の中でGoogleは
We’re phasing out support for broad match modifier.(絞り込み部分一致のサポートは段階的に廃止されます。)
と言及しているため、いずれは絞り込み部分一致の利用ができなくなる可能性も考えられます。
数年前では、スマート自動入札と部分一致の活用で成果がでるというのは、にわかに信じがたいものでしたが、Googleはその精度を上げて、成果が向上している事例も出てきています。広告運用者として、この波に乗り遅れないよう、仕様の把握と機械学習の活用の両輪を上手く回していきたいですね。