GoogleはGmail 広告キャンペーンを廃止し、ファインド広告キャンペーンにその機能を統合すると発表しました。本アップデートの適用は2021年7月1日を予定しているとのことです。
具体的なアナウンス日は公式ヘルプページでは明かされていないものの、Search Engine Journalの以下記事によれば、Gmail キャンペーンを広告アカウントに持つ広告主に対して1月19日にGoogleからメールが送られたとのことです。
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適用以降、Gmail 広告キャンペーンで新しいGmail キャンペーンの作成も、既存のGmail キャンペーンに変更を加えることもできなくなるとのことです。適用後にGmail 広告を作成する場合は、ファインド広告として作成する必要があります。
以下で詳細を説明します。
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目次
Gmail 広告の仕組み
Gmail 広告とは、無料で利用できるGmailの「ソーシャル」と「プロモーション」のタブで表示される広告を指します。
Gmail 広告は受信トレイの各タブの上部に表示される広告で、一部はエキスパンド広告となっています。エキスパンド方式の Gmail 広告をクリックすると、メールと同じ大きさの、動画や画像を含む広告が展開されます。エキスパンド方式のフォーマットは、さまざまな種類の広告目標の達成に役立ちます。
※引用元
Gmail 広告は配信面がGmailの受信トレイに限られているため、それ以外の配信面を指定するターゲティングを行うことはできません。一方で、アフィニティカテゴリや購買意向の強いオーディエンス、ユーザー属性など、ディスプレイネットワークのほとんどのターゲティングが設定可能です。
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これまでのGmail 広告とファインド広告でのGmail 広告の違い
これまでGmail 広告はディスプレイ広告の一部でしたが、2021年7月からはファインド広告の一部になります。ファインド広告とは、Googleサービスにネイティブ広告を表示することができる広告形式で、最大30億人のユーザーにアプローチできます。広告出稿が可能な配信面は以下です。
- YouTube ホームフィードや次のおすすめフィード
- Google Discover
- Gmailの[プロモーション]タブや[ソーシャル]タブ
これまでのGmail 広告のようにGmailのみに配信する事はできず、Googleのオーディエンスとユーザーの意向シグナルに基づき、広告主のブランドを知った場合に利用する可能性の高いユーザーを対象に、上記の配信面から配信先が決定されます。
ファインド広告で利用できる入札戦略は「コンバージョン数の最大化」または「目標コンバージョン単価」です。拡張クリック単価など、これまで利用できていた入札戦略は利用できません。入札比率などの細かな調整はできず、大部分をGoogleの機械学習に任せるキャンペーンだといえます。ファインド広告では配信面などのターゲティングはできないものの、全てのオーディエンスターゲティングが可能です。
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Gmail 広告をファインド広告で作成する際の注意点
これまでGmail 広告で配信していた広告をファインド広告に移行させるには、ファインド広告に合わせた設定を行う必要があります。Googleの推奨する設定は以下の通りです。
ファインド広告における予算の設定
ファインド広告キャンペーンの予算は、Gmail 広告キャンペーンの予算より多くする必要があるとされています。配信面がGmailだけでなくなることからもリーチの増加が見込まれるため、その増加分を考慮して、Gmail 広告キャンペーンの 2 倍の予算をファインド広告キャンペーンに割り当てることが推奨されています。
ファインド広告における入札単価の設定
前述の通り、ファインド広告で利用できる入札戦略は「コンバージョン数の最大化」または「目標コンバージョン単価」です。適切な目標コンバージョン単価を設定する場合、これまでの平均コンバージョン単価よりも20%引き上げる必要があります。
Gmail キャンペーンの作成時に推奨された入札単価、または Gmail 広告の過去 30 日間の平均コンバージョン単価を 20% 引き上げた単価を使用します。目標コンバージョン単価は、機械学習によってファインド広告の掲載結果が向上するのに合わせて、時間の経過とともに引き下げることができます。
※引用元
ファインド広告におけるターゲティング
Gmail 広告のオーディエンスターゲティングで利用していたのと同様のオーディエンスを選択できます。Gmail 広告でキーワードをターゲットに設定している場合においては、これまで配信していたGmail 広告キャンペーンで、コンバージョン数が上位のキーワードに基づいてファインドキャンペーン用のカスタムオーディエンスを作成し、選択できます。
Google 広告は、これまで幾度となくスマート自動入札と機械学習に委ねた運用を推奨するアップデートを重ねてきました。今回のアップデートの理由は明らかにされてはいませんが、スマート自動入札と機械学習の組み合わせに委ねさせようとする流れの一環だと思われます。広告配信設計の根幹である、機械学習による最適化を考慮に入れたアカウント設計や「誰に広告を出すか」の設計、ターゲットに最適なクリエイティブの作成などが、今後の広告配信での差別化できるポイントとなります。運用者として、根幹の戦略やクリエイティブのブラッシュアップなどを行っていく必要がありますね。