新型コロナウィルス感染症(以下COVID-19)のパンデミックはもちろん、プライバシー保護強化のトレンドや反トラスト法(独占禁止法)違反での提訴など、2019年にも増して2020年はGoogleにとって逆風の吹いた年であったといえるのではないでしょうか。
このような状況下で、Googleは生活者の消費行動の変化を捉え、この変化にローカルビジネスやブランドが迅速に対応することを支援するアップデートを特に検索、YouTube、ショッピングの分野で積極的に打ち出していた印象を受けます。
そこで本記事では、2020年のGoogleの広告関連の主要アップデートを以下4カテゴリーに分類したうえでピックアップしました。Unyoo.jpで取り上げたアップデートはもちろんのこと、それ以外についても触れていますので、2020年の復習ならびに2021年の予測も兼ねてぜひご一読ください。
目次
- 1 検索
- 1.1 「検索アトリビューション」を「アトリビューション」と変更し、アトリビューションレポート画面を刷新
- 1.2 アトリビューションレポートにYouTubeを追加したクロスネットワークアトリビューションのベータ版公開
- 1.3 キーワードプランナーに不必要なキーワードの除外機能が追加
- 1.4 説明機能で、費用、表示回数、クリック数の指標に加え、コンバージョンについても確認できるように
- 1.5 レスポンシブ検索広告で「地域の挿入機能」、「カウントダウン」の利用が可能に
- 1.6 画像表示オプション(ベータ版)が発表
- 1.7 検索語句レポートに表示される検索語句を「多くのユーザーが検索した語句のみ」に限定するアップデート
- 1.8 最適化案でスマート自動入札における部分一致キーワードの使用促進を強化するアップデートが発表
- 1.9 [インサイト] ページをベータ版として公開することが発表
- 2 YouTube
- 2.1 YouTube動画広告用の動画制作ツールである「YouTube Video Builderベータ版」が提供
- 2.2 テレビ画面でのYouTube視聴時間の急増を受けて、ブランドリフト調査の対象デバイスとしてCTVを追加
- 2.3 「Google Preferred」を「YouTube Select」というグローバルコンテンツソリューションにリブランド
- 2.4 モーメントやトピック、関連性、人気度などに基づいた動的ラインナップをリリース
- 2.5 スキップ可能なインストリーム広告、ローカルキャンペーン、アプリキャンペーンにエンゲージビューコンバージョンを導入
- 2.6 YouTubeで動画や音声を聞いている視聴者に焦点を当てたYouTubeオーディオ広告(ベータ版)を提供開始
- 3 ショッピング
- 4 その他
検索
「検索アトリビューション」を「アトリビューション」と変更し、アトリビューションレポート画面を刷新
3月、GoogleはGoogle 広告の「検索アトリビューション」を「アトリビューション」と変更し、アトリビューションレポート画面を刷新したことを発表しました。
※参考リンク:
アトリビューションレポートにYouTubeを追加したクロスネットワークアトリビューションのベータ版公開
6月にはアトリビューションレポートにYouTubeを追加したクロスネットワークアトリビューションのベータ版プログラムが公開され、10月からは、利用要件を満たしたアカウントは、アトリビューションのセクション内でオプトインすることで、コンバージョン経路、アシストコンバージョン、経路の指標レポートに、検索ネットワークだけでなくYouTubeも表示できるようになりました。ディスプレイネットワークの追加も今後予定しているとのことです。
※参考リンク:
キーワードプランナーに不必要なキーワードの除外機能が追加
同じく6月に、キーワードプランナーに不必要なキーワードの除外機能が追加されました。キーワードから新しいキーワードを見つける際、キーワード候補を分類し、ビジネスに関連のない分類に該当するキーワード候補を除外することが可能です。例えば以下画像では、「乾燥肌(dry skin)」に関連するキーワード候補が、「ブランド関連またはそれ以外(Brand or Non-Brand)」や「体の部位(Body Part)」「肌のタイプ(Skin Type)」に大分類されており、チェックを外した分類のキーワード候補を候補から除外することができます。
説明機能で、費用、表示回数、クリック数の指標に加え、コンバージョンについても確認できるように
また、説明機能で、「費用」、「表示回数」、「クリック数」の3つの指標に加え、6月から新たに「コンバージョン」についても変化の要因が確認できるようになりました。
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Google 広告ヘルプページによれば、説明が表示されるのは「個別単価設定か拡張クリック単価を使用している検索キャンペーン」に限られるとのことですが、筆者の運用するアカウントでは、目標コンバージョン単価制の検索キャンペーンにおいても説明が表示されており、本機能の適用範囲は今後も拡大していくのではないでしょうか。
レスポンシブ検索広告で「地域の挿入機能」、「カウントダウン」の利用が可能に
7月には、レスポンシブ検索広告で「地域の挿入機能」、「カウントダウン」の利用が可能になりました。地域の挿入機能を使用すると、レスポンシブ検索広告上でユーザーの所在地や関心のある地域に応じて、広告文に国名、都道府県名、市区町村名を動的に挿入できます。
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画像表示オプション(ベータ版)が発表
同じく7月に、画像表示オプション(ベータ版)が発表されました。3月時点で既にごく一部のアカウントで存在が確認されていましたが、この発表を機にオープンベータへ移行したようです。12月現在でもベータ版の状態は続いており、正式ローンチが待たれます。
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検索語句レポートに表示される検索語句を「多くのユーザーが検索した語句のみ」に限定するアップデート
9月には、検索語句レポートに表示される検索語句を「多くのユーザーが検索した語句のみ」に限定するアップデートがありました。明確な閾値も公表されておらず、運用者の間で話題になったことも記憶に新しいですね。
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最適化案でスマート自動入札における部分一致キーワードの使用促進を強化するアップデートが発表
11月には、最適化案でスマート自動入札における部分一致キーワードの使用促進を強化するアップデートが発表されました。具体的には、有効なフレーズ一致または絞り込み部分一致のキーワードが登録されているスマート自動入札を適用しているキャンペーンが対象となり、マッチタイプを部分一致に変更することでコンバージョン数が増加することが予想される場合のみ最適化案として表示されます。
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[インサイト] ページをベータ版として公開することが発表
同じく11月、 [インサイト] ページをベータ版として公開することが発表されました。以下画像はペットショップのGoogle 広告アカウントの例で、「犬関連のサブスクリプションボックス」と「犬のおもちゃ」に関連する検索の増加トレンドを示しています。
トレンドの詳細では、増加している検索語句や地域別の検索インタレストを確認することができ、素早く変化を察知し具体的なアクションに落とし込むことをサポートする機能と言えるのではないでしょうか。
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YouTube
YouTube動画広告用の動画制作ツールである「YouTube Video Builderベータ版」が提供
4月、YouTube動画広告用の動画制作ツールである「YouTube Video Builderベータ版」が提供されました。COVID-19の感染拡大により、動画撮影がはばかられる状況下にあっても、ロゴと画像、テキストを数点だけ準備するだけで、簡単かつ短時間で動画を制作することができます。
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テレビ画面でのYouTube視聴時間の急増を受けて、ブランドリフト調査の対象デバイスとしてCTVを追加
5月、テレビ画面でのYouTube視聴時間の急増を受けて、Googleはブランドリフト調査の対象デバイスとしてテレビ画面(以下CTV)を追加するアップデートを発表しています。
※参考リンク:
Digidayが報じるところによれば、Googleは2021年上半期中に、CTV上でのブランドリフト調査結果からCTVにおいて最も効果的なクリエイティブに関するインサイトを提供予定とのことで、2021年もCTV領域は引き続き注力していくようです。
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「Google Preferred」を「YouTube Select」というグローバルコンテンツソリューションにリブランド
同じく5月には、「Google Preferred」をリブランディングした「YouTube Select」と呼ばれる新しいグローバルコンテンツソリューションを発表しました。要件を満たした広告主向けの予約サービスで、YouTubeで人気の高い上位5%のチャンネルで広告を表示できます。
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モーメントやトピック、関連性、人気度などに基づいた動的ラインナップをリリース
9月には、モーメントやトピック、関連性、人気度などに基づいた動的ラインナップをリリースしています。動的ラインナップは、YouTubeで使用できる次世代のコンテンツターゲット「拡張コンテンツターゲティング」を活用しており、Googleの機械学習ベースで分類された動画ラインナップを選択することで、成果を上げるために必要な規模で、対象オーディエンスの固有の関心やニーズに適切にアプローチすることができます。
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スキップ可能なインストリーム広告、ローカルキャンペーン、アプリキャンペーンにエンゲージビューコンバージョンを導入
同じく9月、Googleは2020年の終わりまでに、スキップ可能なインストリーム広告、ローカルキャンペーン、アプリキャンペーンにエンゲージビューコンバージョンを導入することを発表しました。YouTubeとGoogle ディスプレイネットワークでの動画広告に特化したコンバージョンで、ユーザーが動画広告をクリックせず、5秒後にスキップ可能な動画を10秒以上視聴してから、計測期間内にコンバージョンに至った場合にカウントされます。
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YouTubeで動画や音声を聞いている視聴者に焦点を当てたYouTubeオーディオ広告(ベータ版)を提供開始
11月には、YouTubeで動画や音声を聞いている視聴者に焦点を当てたYouTubeオーディオ広告(ベータ版)を提供開始しました。数ヶ月に及ぶアルファテストの結果、オーディオ広告の75%以上がブランド認知度を向上させたことが判明したとの報告もあり、動画キャンペーンと同様の測定、視聴者、ブランドセーフティ機能を備え、リーチ拡大とブランド認知に効果があるとされています。
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ショッピング
他国に先行して米国でGoogle検索のショッピングタブに無料で商品を掲載できるように
4月、他国に先行して米国でGoogle検索のショッピングタブに無料で商品を掲載できるようになりました。10月末頃から日本含めグローバルでも適用開始となっており、運用者の間でも大きな話題となったアップデートだったのではないでしょうか。
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ローカル在庫広告に「ピックアップ」バッジを表示するアップデートが発表
5月には、ローカル在庫広告に「ピックアップ」バッジを表示するアップデートが発表されました。バッジを追加できるのは「本日店舗受取可」機能を有効にした小売店で、COVID-19のパンデミック下におけるローカルビジネス支援を意識した積極的なアップデートはこれ以降も続きました。
※参考リンク:
スマートショッピングキャンペーンで新規顧客の獲得目標を設定可能に
7月、スマートショッピングキャンペーンで新規顧客の獲得目標を設定可能になりました。新規顧客1人あたりの価値を設定することで、より多くの新規顧客を獲得できるようになります。
※参考リンク:
住所表示オプションの設定方法として、Googleによって作成されたビジネスチェーンリストからビジネス情報を選択できるオプションが導入
9月には、住所表示オプションの設定方法として、Googleによって作成されたビジネスチェーンリストからビジネス情報を選択できるオプションが導入されました。Google マイビジネスアカウントとのリンクをせずとも、住所表示オプション作成画面で「キュレーション地域を選択する」をクリックすると、アカウントに関連付けられた国において最適と判定されたチェーン店がリストアップされます。
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店舗での販売コンバージョンを重視したスマート自動入札「店舗での販売の統合向けスマート自動入札」が発表
同じく9月、店舗での販売コンバージョンを重視したスマート自動入札「店舗での販売の統合向けスマート自動入札」が発表されました。小売店とレストラン向けの機能で、店舗での販売を最適化対象とします。2019年に来店重視のスマート自動入札が可能となりましたが、さらに一歩進んだスマート自動入札と言えるでしょう。
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その他
ZapierのGoogle 広告連携機能でオフラインコンバージョンデータの自動インポートが可能に
1月、ZapierのGoogle 広告連携機能でオフラインコンバージョンデータの自動インポートが可能となりました。8月には同機能でカスタマーマッチリストの自動更新も可能となり、Google 広告とCRMの連携を促進するアップデートと言えるのではないでしょうか。
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Ads Data Hubに関する複数のアップデートが発表
4月には、Ads Data Hub(以下ADH)に関する複数のアップデートが発表されました。ADHの活用により、Google Cloud PlatformのデータウェアハウスであるBigQuery上で、Google 広告やGoogle Marketing Platformの広告キャンペーンのイベントログデータと、ブランドやエージェンシー、3rd Partyベンダーの保有するデータを突合し、プライバシーに配慮したかたちでユーザーレベルでの広告パフォーマンス分析が可能となります。
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同じく4月、2019年のGoogle Marketing Live(以下GML)で発表されて以降ベータ版であったファインドキャンペーンがフルローンチとなりました。YouTube ホームフィードや次のおすすめフィード、Gmail のプロモーションタブやソーシャルタブ、Discover等のGoogleプロパティと、スマート自動入札をフル活用できるキャンペーンタイプで、運用経験のある方もすでに多数いるのではないでしょうか。
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カスタムオーディエンスがローンチ
9月には、同じく2019年のGMLにて発表されていたカスタムオーディエンスがローンチとなりました。カスタムアフィニティとカスタムインテントを統合した機能で、興味関心ベースはもちろんのこと、Google.comやYouTubeなどにおけるユーザーの検索語句に基づいたターゲティング設定が可能です。
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以上、2020年のGoogleの広告関連の主要アップデートまとめでした。2021年もあらゆるビジネスを支援するアップデートは続くでしょうし、Unyoo.jpとしても引き続き読者の皆さまにアップデート情報をタイムリーに発信していくことで、直接的あるいは間接的にビジネスを支援していきたいと考えております!