Googleは2020年11月16日、既存キーワードで部分一致に変更すべきものを最適化案で提示すると発表しました。スマート自動入札を用いている場合でのみ提示されるそうです。本記事では、どのような条件下において部分一致が推奨されるか、どのように確認すべきかを説明します。
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最適化案でスマート自動入札における部分一致キーワードの使用促進を強化
消費者の需要や検索は常に変化しています。それゆえに、担当の広告アカウントに関連する検索を予測することも難しくなっています。前年には想像もしていなかった検索が、今年は爆発的に増えるということも珍しくありません。Googleが示した例では、”support local businesses”(地元企業を支援)という検索が、世界的にみて前年比20,000%の伸びを見せているとされています。
このような予測できない検索に対応するために、スマート自動入札と部分一致の併用をGoogleは推奨しています。全てを予測して入札することは困難ですが、部分一致のキーワードとスマート自動入札を組み合わせることで、想定していなかった関連性の高い検索クエリとマッチする可能性があるとのことです。
どのような条件下で推奨されるか
全てのキーワードが部分一致の対象なのではなく、どのキーワードを部分一致として登録すべきかの推奨を受けます。Googleは既存のキーワードの中から部分一致に切り替えるとパフォーマンスが向上する可能性の高いキーワードを特定し、自動的に表示していくそうです。これは最適化案のページで確認できるようになります。
以下の3点が満たされる条件において、部分一致化は推奨されます。
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- スマート自動入札戦略のいずれか 1つキャンペーンで使用している場合
- コンバージョン数の最大化
- コンバージョン値の最大化
- 目標コンバージョン単価
- 目標広告費用対効果
- スマート自動入札戦略のいずれか 1つキャンペーンで使用している場合
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- 有効なフレーズ一致のキーワードまたは絞り込み部分一致のキーワードがキャンペーンに含まれており、同じキーワードがアカウント内で部分一致として使用されていない場合
- フレーズ一致キーワードと 絞り込み部分一致キーワードを部分一致に変更することでコンバージョン数が増加することが予想される場合
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しかしながら、いかにGoogleが推奨したとしても、部分一致で拡張されすぎてしまうことを懸念される広告運用者も多いことでしょう。ましてや9月から確認できる検索クエリが「多くのユーザーが検索したもののみ」になっています。既に検索クエリの確認も以前ほどできなくなった状況下では、部分一致に変更する選択を取りがたいものです。
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キーワードと検索クエリの調整を機械学習に委ねる
Googleはスマート自動入札の予測シグナルをセーフティネットとして利用することで、パフォーマンスに影響を与える検索クエリのコントロールができると述べています。それは電通の子会社である広告代理店iProspectの事例で詳しく紹介されています。
Advertising agency iProspect, a dentsu company, used broad match with Smart Bidding to generate long-term growth while keeping performance steady. “We had our doubts using broad match, since we’ve tested it in the past and found we had less control over search queries that impacted performance. With Smart Bidding’s predictive signals as the safety net, we saw an increase in unique search terms generated by broad match, leading to a 20% increase in conversions,” said Kasper Spanjer, PPC strategist.
(電通の子会社である広告代理店iProspectは、部分一致をスマート自動入札と併用することで、パフォーマンスを安定させながら長期的な成長をしました。「以前、部分一致をテストした際に、パフォーマンスに影響を与える検索クエリをコントロールできないことがわかったので、部分一致を使うことに懐疑的でした。スマート自動入札の予測シグナルをセーフティネットとして利用することで、部分一致で生成されたユニークな検索クエリが増加し、コンバージョン数が20%増加しました」と、PPCストラテジストのKasper Spanje氏は述べています。)
※引用元
Googleの内部データによれば、目標コンバージョン単価を適用したキャンペーンで、絞り込み部分一致やフレーズ一致を部分一致に変更した広告主は、コンバージョンが25%増加する可能性があるそうです。目標広告費用対効果を適用したキャンペーンでは、絞り込み部分一致やフレーズ一致を部分一致に変更した場合、コンバージョン値が12%アップするというデータもあります。
以前、検索語句レポートで確認できる検索クエリが減ると報じたUnyoo.jpの記事でも、キーワードを用いたターゲティングから、機械学習を用いたターゲティングへの過渡期であるとお伝えしました。今回のアップデートもまさに、これまで以上に機械学習に委ねることを推奨したアップデートとなります。
これまで運用者が予測して登録したり、検索クエリのチェックで追加登録・除外したりしていたキーワードの調整作業は、より一層機械学習に任せる流れとなっています。ブラックボックス化している状況において、本当に関連した検索クエリにのみマッチしているのかを確認することは難しいですが、今回のアップデートは全てのキーワードを部分一致に変更することを勧めているのではなく、「部分一致に変更したほうが成果が出る可能性がある」とGoogleの機械学習が特定したものを最適化案で提示するというものです。試す際は費用対効果が以前に比べて上がっているのか確認しながらモニタリングしていきたいですね。