売上高187億ドルで前年同期比11%増、前期比でも+5.4%の増収
Facebook が発表した2020年第二四半期(4−6月:以下「Q2」)の決算報告によれば、今期の売上高は186.9億ドル、1株あたりの利益は1.80ドルでした。
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Q2は引き続きCOIVD-19による広告需要の減少が予想されたほか、ヘイトスピーチ投稿への対応が不十分だとして、多くのブランドが広告出稿をボイコットする「#StopHateforProfit」運動もあり、Q1の売上高177億ドルを下回るアナリスト予想でしたが、見事に逆風を跳ねのけた結果になりました。
売上高の実に98%を占める広告収入ですが、地域別では北米地域が前期比 +8.1% と最も大きな伸びを見せ、次いでヨーロッパ地域が +5.8%、アジア太平洋地域が +2.3%、その他地域のみ前期比割れの -7% としています。
なお、「Other」収入に含まれる Portal from Facebook や Oculus などのハードウェア事業も前期比 +23%、前年同期比 +40% と大きく伸長した3.66億ドルで着地しています。
MAUが27億人に到達、DAUも順調に増加
まず月間アクティブユーザー数(Monthly Active Users:以下「MAU」)ですが、前期比 +3.8% で27億人に到達しました。2019年Q4まで停滞気味だった北米・ヨーロッパ地域もSTAY HOMEの影響もあり大きく成長させ、MAU構成比では最も大きな割合を占めるアジア太平洋地域は +4.5% の成長、最も増加させたのがその他地域で、+4.8% の成長を見せています。
続いて1日あたりのアクティブユーザー数(Daily Active Users:以下「DAU」)ですが、前期比 +2.9% の17.9億人としました。
DAUでもその他地域が前期比 +4.8% と最増加エリアであることはMAUと変わらず、重要マーケットである北米地域とヨーロッパ地域は北米地域が +300万人 で前期比 +1.5% と成長を見せていますが、ヨーロッパ地域は ±0 で停滞しました。
ユーザー数が増加しても毎日の利用率(DAU/MAU)は高水準を維持しており、前期からは1ポイント下落しましたが 66% をマークしています。
総ユーザー数が31億人を突破
2019年Q4の決算報告から、「Family Daily Active People (DAP)」、「Family Monthly Active People (MAP)」という指標で Facebook ファミリーの総ユーザー数があらためて発表されるようになりました。Q2のMAPは30億の大台を突破し、31.4億人まで増加させています(前期比 +5.0%)。
DAPは前期から1億人超を増加させ、前期比 +4.7% の24.7億人まで伸長しています。Facebook 単体のDAUが前年同期比 +12.5% だったのに対し、DAPは前年同期比 +15.4% と若干ですが成長率が上回っていますので、Instagram など他のサービスが Facebook を超える勢いで成長していることが分かります。
また、毎日の利用率(DAP/MAP)が Facebook 単体に比べ依然高い数値をマークしており、Q2に関しても過去1年間同じだった値を更新したQ1と同じ 79% としています。
結果的に、ユーザーの獲得という観点ではCOVID-19による巣ごもりは Facebook にとってポジティブな影響をもたらし、時間制限なしで最大50人が同時通話できる「Messenger Rooms」などニーズにあった新製品のローンチも相まってか、ユーザー数を増やしつつ利用率を維持することに成功しています。
#StopHateforProfit のボイコット運動は2020年7月に入っても継続されましたが、今回の決算報告で同月の第1-3週の広告売上について言及し、Q2の前年同期比である +10% とほぼ一致する成長率を記録していると伝えており、Q3全体についても同程度の成長が予測されています。
Revenue – In the first three weeks of July, our year-over-year ad revenue growth rate was approximately in-line with our second quarter 2020 year-over-year ad revenue growth rate of 10%. We expect our full quarter year-over-year ad revenue growth rate for the third quarter of 2020 will be roughly similar to this July performance.
(収益 – 7月の第1-3週の前年同期比広告収益成長率は、2020年第2四半期の前年同期比広告収益成長率10%とほぼ一致しました。2020年第3四半期の通期の広告収入成長率は、この7月の実績とほぼ同程度になると予想しています。)
ボイコット運動は同年7月31日をもって公式に終了しましたが、最大手広告主達の広告出稿停止の影響は Facebook にとって極めて軽微なもので、パンデミックで危機にさらされる事業者に向けた機能・リソースの拡充などもありスモールビジネスの予算を離さなかった Facebook に軍配が上がったと言えるでしょう(収益面に関しては)。
参考:
なお、発表の中でCCPA(California Consumer Privacy Act:カリフォルニア州消費者プライバシー法)に関する言及もなされていました。
headwinds related to ad targeting and measurement, including the impact of regulation, such as the California Consumer Privacy Act, as well as headwinds from expected changes to mobile operating platforms, which we anticipate will be increasingly significant as the year progresses.
(カリフォルニア州消費者プライバシー法などの規制の影響を含む広告ターゲティングと広告効果の計測に関連する逆風や、モバイル・オペレーティング・プラットフォームの変更による向かい風が予想されますが、これらは今後ますます重要になると予想しています。)
Facebook はIDをベースにした計測を実現しているものの、モバイルブラウザにおいては Cookie を使用するシーンも多くありますし、今秋リリース予定の iOS 14 に対応する Facebook SDK へアップデートする必要があるなど、少なからず自社のプラットフォームにも影響が出ると予測しているようです。
クッキーレス時代に Facebook がどのような歩みを見せるのか、今後も注目したいと思います!