2020年7月10日、GoogleはApp+Web プロパティに新しい予測機能を追加したことを発表しました。
本アップデートでは、取得したデータからアクションを予測する「Predictive metrics(予測指標)」と「Predictive audiences(予測オーディエンス)」が導入され、分析画面でデータ分析をすることができます。
二つの予測指標と予測オーディエンス
まず、新しい二つの指標が追加されます。「Purchase probability(購入確率)」は、アプリやサイトで過去28日間のアクティブユーザーが、今後7日間に特定のコンバージョンイベントを記録する確率を予測するものです。「Churn probability(チャーン確率)」は、アプリまたはサイトで過去7日間のアクティブユーザーが、今後7日間でアクティブにならない可能性を予測します。
また、「Predictive metrics(予測指標)」から「Predictive audiences(予測オーディエンス)」を生成することができます。
「Purchase probability(購入確率)」から今後7日間に購入する可能性が最も高いユーザーを含オーディエンスを作成し、「Churn probability(チャーン確率)」から今後7日間にサイトまたはアプリにアクセスする可能性が低いユーザーの作成が可能です。
従来のGoogleアナリティクスでは「商品をショッピングカートに入れたが購入しなかったユーザー」を購入確率が高いと考えてユーザーリストを作成していたことも多いですが、App+Webプロパティでは過去のデータをもとに購入確率の高いユーザーを予測します。そのため、例えば対象の商品を選んでいないユーザーもリーチの対象となります。また、「今後7日間に購入する可能性が最も高いユーザー」に対してパーソナライズされたメッセージを届けることができます。
その他、予測指標を使って分析することも可能です。例えば、ユーザーのライフタイム分析を行い、購入確率の高いユーザーを獲得するキャンペーンを特定します。
機械学習に関連したアップデートが続く
App+Web プロパティは、誕生から間もなく1歳を迎えます。
本アップデートは、App+Web プロパティで取得したイベントヒットのデータをもとに将来を予測する機能でしたが、従来のGoogleアナリティクスにも「セッションの品質」など機械学習を活用したレポートがあります。しかし、従来のGoogleアナリティクスの計測では学習できるデータに制限があるため、活用の幅が狭いのが現実です。
一方、App+Web プロパティは基本的にイベントヒットでデータを取得するため、機械学習に幅広く対応できます。App+Web プロパティ自体がデータを柔軟に計測でき、機械学習に対応していることを理解すれば、今後も機械学習を中心に機能アップデートが続くと予想できます。
これからは、どのようにデータを取得しデザインするかがより求められるようになりそうです。1年前のApp+Webプロパティのローンチから変遷を見る限り、Googleも「データ分析」を超えた「データの自由な活用」へシフトしていると言えます。