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広告レポ-ティングの意義と可能性
広告運用者として実施する作業の一つに「広告レポーティング」があります。日々の進捗・ミーティング用のレポート・分析など用途は様々です。企業によっては、レポーティング業務のみを担当としているケースも少なくありません。
その広告レポーティングもここ数年で大きく変化しています。運用者の工数削減のために、APIを活用したレポート作成支援ツールやBIツールの導入が進んでいるなか、広告運用者にとっての「レポーティング」はどのような変遷を遂げているのでしょうか。
本記事では、そもそも広告レポ-ティングの意義とは何か、そして、今あるテクノロジーを使った「アクションに繋げるレポーティング」を作るための方法や可能性について、考えていきたいと思います。
広告レポーティングは何のためにあるか
まずはじめに、広告レポーティングが何のためにあるかを考える必要があります。数値報告や資料作成、進捗の確認などレポーティングの目的も様々です。2019年には「広告レポーティングのお作法」として、それぞれの識者にレポーティングへの考え方を伺いました。
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多くの運用者は、口を揃えて「レポーティングはアクションに繋げるものである」と言います。GoogleデータポータルやDOMO・TableauといったBIの台頭によって、広告代理店と広告主が双方で数値をモニタリングできる状況が生まれ、多様なデータを取得・集計・可視化できる環境が整ってきました。
BIが浸透するにつれて、レポーティングが単なる「数値報告」を超えて「組織の行動・アクションを促す」方向へ進んでいるのも事実です。
また、クライアントの担当者は広告の数値だけを見ているわけではないので、クライアント内部で保有しているデータを統合して可視化することで、担当者の意思決定をより促すことができるでしょう。
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レポート自動作成ツールでデータを収集・BIで可視化
では、「アクションに繋げるレポーティング」を作成するには、どのような道筋を辿ればよいでしょうか。主に以下が考えられます。
1.手動レポーティングからの脱却(=レポート自動作成支援ツールの導入)
2.BIの活用
3.データ統合
手動レポーティングからの脱却
まずは、手動レポーティングからの脱却(=レポート自動作成支援ツールの導入)です。レポート自動作成支援ツールの導入は、運用者の工数・人的ミスの削減と、運用者自身が広告の分析・改善に注力するための一助にもなります。取得したいデータに応じて様々なレポート自動作成支援ツールがあります。今回は以下2つをご紹介します。
Supermetrics
必要なマーケティングデータをGoogleスプレッドシート・Googleデータポータル・BigQueryに取り込むことができるSupermetricsは、柔軟性があり使いやすいツールです。データ取得日時のスケジュールを設定すれば自動更新も可能です。
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Google Ads・Google Search Console・Google My BusinessをはじめとしたGoogle製品、Facebook Insights、Moz、SEMrushなど多くの接続先が存在します。
運用型広告レポート作成支援システム glu
APIを活用してレポーティングデータを取得・統合・可視化できるツールの1つに「glu」があります。
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Google 広告・Yahoo!広告、Amazon広告をはじめとした30以上のメディア連携や、DOMO・Tableau・GoogleデータポータルといったBI連携も容易であり、データ取得・レポート出力において高い柔軟性があります。
BIツールの活用
1でデータを自動取得する環境が整えば、運用者はレポーティング作業にかけていた時間を分析・改善に割くことができるため、工数削減が最終的に顧客体験の向上にも貢献するかもしれません。一方でこのままだと、レポートの自動生成が広告運用者の工数削減にはつながるものの、本来の目的である「アクションに繋げるレポーティング」の達成とは程遠い状態です。そこでBI・ダッシュボードが登場します。
BI・ダッシュボードは、DOMO・Tableau・Googleデータポータルをはじめとした多くのツールがしのぎを削っています。目的に応じた使い分けが重要ですが、シンプルに「アクションに繋げる」という点ではどのBIツールにおいても共通認識であると言えます。
以下はある広告ダッシュボード自動化実行シナリオの一例です。Phase.1はメディアから手動でレポーティング、Phase.2は「glu」のようなレポート自動作成支援ツールでデータを取得する段階となります。そして、取得したデータ(今回はGoogleスプレッドシートに取り込み)をBIに繋げる段階をPhase.3としています。
Phase.3ではレポート自動作成支援ツール(運用型広告レポート作成支援システム「glu」を使用します)を通してGoogle 広告・Yahoo!広告・Googleアナリティクス等のデータを収集し、Googleスプレッドシートに自動出力しています。GoogleスプレッドシートからBIに取り込まれ、BIツール上でダッシュボードを柔軟に作成します。(Tableauを使用)
あとは作成したダッシュボードをクライアントの担当者と共有すれば、お互いに数値をモニタリングできる状況が作れます。
Phase.3でデータ量の制限などボトルネックが発生する場合は、RDB(リレーショナルデータベース)を用いて大量のデータを柔軟に活用するPhase.4への移行をお勧めします。Phase.1からPhase.4に移行するにつれて運用工数は削減され、一方で得られる示唆は多くなります。
データ統合
1でデータを自動取得し、2で効果的なダッシュボードを作成してクライアント・代理店双方に数値をモニタリングする環境が整えば、お互いの視座も合いやすくなり、意思決定のスピードが向上します。
ただし、ダッシュボードを構築するうえで多くの方は「データ統合」で躓くのではないでしょうか。メディアやアプリケーションが年々増加し企業が保有するデータも増えている一方で、それらのデータを統合することで、これまでにない新たな示唆も得られるはずです。
各データソースがどのような取得方法であるか、そしてデータの型や統合するキー(ディメンション)を意識して統合できれば、ビジネスの目標達成に繋がる要素も増えます。
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広告データに加えてCRMや営業データ、在庫情報など自社のデータと統合することで、企業の経営判断にも使えるダッシュボードに様変わりします。広告レポーティングの域を超えていますが、外部データとの統合によって、より意思決定に繋げられるのではないでしょうか。
Excelか、BIか、ダッシュボードか
今回は広告運用者を助けるダッシュボードについてご紹介しました。
広告運用者として「Excel・BI・ダッシュボードでどれが一番良いですか」という質問をよく受けますが、どれが一番良いというものではなく、企業規模や目的に応じて適切に使い分けるべきだと思います。また、「BI」と「ダッシュボード」でもそれぞれ用途は異なります。
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データから知見を得るためか、常にアクションに繋げるためか、によってもどのBIツールを使用するか変わるでしょう。BI業界は群雄割拠な状態であり、今あるツールが今後淘汰されていく可能性もありますが、各種BIツール側もそうなるまいと自分の色を出してきています。用途に合わせてデータ取得・統合をどこまで進めるべきか考えることをお勧めします。