Google 広告などプラットフォームの動きと広告運用者が新型コロナ影響下にできること(後編)

Google広告など広告プラットフォームの動きと広告運用者が新型コロナウイルス影響下にできること(後編)

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各プラットフォームの状況や機能を踏まえ、広告運用者ができる施策をより具体的に紹介

昨今、生活行動の変化をまとめた調査データを頻繁に目にします。先日、インテージが前年比で販売額の増加率と減少率が大きい消費財のランキングを発表していました。筆者の実感として納得のラインナップが多いなかで、販売額が伸びているランキング4位に「ビデオテープ」が入っていることに驚きました。

リンク:
コロナで「売れた」「売れなくなった」商品TOP30(東洋経済オンライン)

この結果は、もともとテレビ番組をビデオテープで録画している高齢の方の録画頻度が、外出自粛により増えたことによるもののようです。新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の影響によって、これまで見えていなかった生活者のライフスタイルや消費者心理が浮かび上がってくることを実感する出来事でした。こうしたインサイトを知ることは運用型広告を運用する上でも非常に重要ですが、他にも、こうした状況下において広告運用者としてできることは多々あると筆者は考えます。本コラムでは、COVID-19の影響下で運用者が具体的にできることを筆者の視点で考察していきます。

前編では、各プラットフォームのCOVID-19関連のアップデートをまとめました。

参考:

後編では、各媒体の状況や機能を踏まえ、運用者ができる施策をより具体的に紹介していきます。より大枠の考え方である、運用者の取るべきスタンスや提供価値の方向性は、下記コラムにまとめてありますので、ぜひ、こちらも併せてご一読ください。

参考:

 

市場・競合状況を把握する

多くの企業が広告への投資を抑えている一方、外出が減ったことでオンライン媒体に余暇時間を費やす人が急増したことで、各媒体のCPCおよびCPMが下がっています。FacebookとInstagramでは、CPMが過去最低値にまで引き下がっています。3月11日の時点で、FacebookとInstagram全体での米国の平均CPMは5.14ドルで、それ以来低下し続けており、4月5日には1.96ドルに下がっています。これは、1カ月足らずで62%の値下げでした。

各媒体のCPCおよびCPM

Image Source:GUPTAMEDIA

上記のような市場状況のなかで、競合はどのような入札をしているかを把握し、入札の戦略や訴求方法を考えることは重要です。Google 広告の場合、「オークション分析」を確認することで、競合が入札を強めているか弱めているかを推測したり、プレイヤーに変化がないかを把握したりすることが可能です。これらを把握することで、競合の入札状況の背景にある要因を探り、そこから得られる考察に基づいて適切なアクションを選択できます。また、プレイヤーが変われば、ユーザーは自社とそのプレイヤーを比較検討するため、そのプレイヤーの訴求を考慮して自社の訴求方法を改めて見直すアクションも取れます

他媒体での競合の入札状況把握に参考になる指標も下記に記載します。例えば、Facebook広告は「オークションの競争度」(注意:キャンペーンタイプ「トラフィック」「アプリのインストール」「リード獲得」「コンバージョン」のみで使用可能で、ダイナミック広告は対象外)で競合の入札状況を確認し、その情報をもとに自社状況を「品質ランキング」や「コンバージョン率ランキング」で探ります。
(Yahoo!広告は「(最)上部のインプレッションシェア」、Criteoは「Com.Win%」)

参考:

Google 広告 ヘルプ:オークション分析レポートで掲載結果を比較する

Yahoo!広告ヘルプ:ページ上部とページ最上部への広告掲載について

Criteo用語集

 

自社に期待されていることを見定める

自社が生活者に期待されていることは変化している可能性があります。仮想のサイトでイメージしてみます。

アウトドアのオンラインストア「ABC OUTDOOR」のサイトへのアクセス数が3月頃から伸長しているとします。本来のシーズンであるキャンプシーズンは7月中旬からなのでだいぶ早い伸長です。アクセスデータの詳細を見ると、アウトドアチェアや保存食ページの閲覧数が急増していました。さらに、流入元の検索クエリーを見ると「ベランダ 椅子」「食料品 備蓄」が多くありました。
以上から、「在宅勤務の気晴らしにべランダで外にいる気分を味わいたい生活者」や「買い占めの対策として保存食を探している生活者」が想像できます。そのような需要を先取りし、自宅で外を体感してもらう特集ページを新設し、広告で打ち出す商品を変更して売り上げを伸ばすアクションを取ることも可能です。

上の例のように、例年求められているサービスへの需要が減少していても、別の切り口でそのサービスを売る機会を見出すことや、他のサービスへの需要が増加した場合はセールスリソースをそちらへシフトさせるなどの対応が考えられます。Search Consoleやそのほかの流入クエリ分析ツールを使用して、生活者が自社に何を期待しているかを読み解くことはぜひ行いたいです。

参考:

 

広告表現を再考する

多くの媒体が推奨している地域社会の情勢にあわせた広告表現の見直しは、重要なアクションです。「ウイルス」「検査」等の直接的な表現を控えるのはもちろんのこと、「外出自粛」や「やむを得ないオフィス出勤」を煽る表現になっていないかも注意が必要です。

参考:

このアクションは、広告運用担当者のみで行うのではなく、他のメンバーも巻き込んで意見を出し合うことをおすすめします。それにより、メッセージの受け取り方の違いを微調整し、炎上リスクを回避できる可能性が高まります。また、大人数の意見を集約する意義は、ネガティブチェックの精度を高めるだけではありません。生活者の新たなニーズを発見し、訴求に活かすこともできます。自宅に閉じられた生活を送る人が多くなったことで、日々の過ごし方や習慣が変化していますが、その実態は見えづらくなっています。多様なメンバーと新しい習慣や課題感を話し合うことで、新しいライフスタイルに気づき、自社サービスの新しい訴求ポイントが見つかることもあるかもしれません

 

機能を適切に適応する

COVID-19の対応策として行った設定が正しく機能していない可能性があります。その一つがGoogle 広告のスマート自動入札で設定できる季節調整です。COVID-19によって、多くのビジネスに影響を与え、コンバージョン率の急増または急激な低下が発生していると思いますが、Google 広告の季節調整を使用することは適切ではありません。この機能は、1〜7日の期間に最適です。例えば、3日間のセールキャンペーンを計画していて、設定した期間中にコンバージョン率が40%上昇すると予想する場合は、期間中に季節調整を設定します。COVID-19は短期的なイベントではないので、季節調整は適切ではないのです。その他の機能も、今使用して適切にワークするかをよく吟味しましょう。

参考:

今回のコラムでは、COVID-19影響下での生活も約2カ月が経った現在、改めて運用者ができる施策を具体的に挙げていきました。今回のコラムを書きながら筆者は、COVID-19によりユーザー行動の多くがデジタルに集約する状況では、運用者の役割の重要性は増していくと確信しました。

多くの企業が広告の出稿を控えていることから、運用者の役割は縮小しているように見える方もいるかもしれません。ですが、広告がなくともデジタルマーケティング領域から示唆を得られる運用者の存在は企業にとって非常に重要です。また、広告は企業と生活者のコミュニケーション方法で必要なものなので、過去の歴史からみても出稿状況は今後緩やかに戻ると予想されます。先の見通しを立てることが難しい状況下でも、デジタルを通して生活者や企業の状況を読み解き、攻めの姿勢を心がけていきたいですね!

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