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各プラットフォームのCOVID-19関連のアップデートをまとめる
4月7日に新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の感染拡大を抑止するため、東京、大阪など7都府県で緊急事態宣言が発令されてから、はや2週間が過ぎました。筆者を含めテレワークで働いている方々は、外出を極力せず、自宅とオフィスが一体化した「職住融合」の環境にストレスを感じつつも、自分なりの生活のペースをつかみ慣れてきた頃かと思います。
当メディアの連載「少し先の、広告運用の現在 〜A future state of AdOps 2020 第二回 :広告運用者が提供できる価値」では、このような非常時には、運用者の運用力が、ビジネスを成長させるうえで重要な役割を担うとまとめています。以下、抜粋したものです。
広告運用者は、広告アカウントを「設計」「実装」して広告配信を実施し、結果を「分析」して「最適化」を進めます。そして、このプロセスを繰り返すことで、初めてクライアントのビジネスゴールに伴走できると考えています。外部環境の急激な変化と、これによる活用可能な資源の制約に対して、高い「運用」スキルが求められることは言うまでもありません。
参考:
本コラムでは、この状況下で運用者が具体的にできることを筆者の視点で考察していきます。前編では、各プラットフォームのCOVID-19関連のアップデートをまとめ、後編では、そのアップデートを踏まえて運用者ができることを紹介していきます。
Google:キャンペーンの運用方法の公開、ショッピングタブに無料で商品掲載が可能に
Googleは、COVID-19の感染拡大に応じたキャンペーンの運用方法を公開しています。公開された情報では広告表現の見直しを推奨しており、特に地域社会の情勢と広告トーンを合わせることが非常に重要だと伝えています。ヘルプにある「保護」、「検査」、「予防」、「ウイルス」のような直接的な表現だけではなく、「外出自粛」や「やむを得ないオフィス出勤」を煽るような表現についても、一定の広告効果をもたらす一方で炎上してしまう可能性があります。広告表現を選ぶ際は、ユーザーがどのような印象を受けるかをチームメンバーで話し合い、慎重に選定することが大切です。
参考:
また、Googleは、4月21日にGoogle検索のショッピングタブに無料で商品を掲載できるようにするアップデートを発表しました。購入検討のためにGoogleにアクセスする何百万人もの人に、自社商品を露出させることのビジネスインパクトは相当大きいといえます。米国で先がけて4月中に提供が開始され、日本では年内に提供が開始される予定です。
すでにショッピング広告を利用されている方は特別対応が不要で、新規の方もGoogle 広告への登録はせず、Merchant Centerへの登録のみで利用を開始できます。
参考:
Yahoo!:はじめての検索広告利用で1万円分の広告料金支給
Yahoo!は、4月23日にYahoo!広告 検索広告(以下、検索広告)に新規申込者に対して、1万円分の広告料金を支援するキャンペーンを実施することを発表しました。また、キャンペーン期間である2020年4月23日〜2020年6月30日の間に限り、クレジットカードでの入金による最低金額は3千円から千円にまで引き下げられ、少額運用が可能になりました。
参考:
Facebook:業界別の事例/アイディアの紹介
Facebookは、「レストラン・カフェ」、「小売り」、「サロン・スパ」、「フィットネス・レジャー施設」、「パートナー・広告会社」、「メディア・パブリッシャー」の業界別に、変化する状況に対応するためのヒントを紹介しました。詳しくは Facebook ビジネスリソースハブをご覧ください。
特に事業継続の方法として紹介されている「ギフトカード」は重要な施策です。事業者は認定パートナーをセットアップし、自社のストーリーズコンテンツと一緒に「ギフトカード」や「食事の注文」のストーリーズステッカーを使用して、ユーザーからの支援を促す施策を行うことができます。日本でも4月27日(日本時間)に実装が発表され、順次展開を始めているようです。条件を満たしている事業者は無料で利用可能ですが、日本国内においては「ギフトカード」機能のみ未対応になっていますのでご注意ください。
参考:
Amazon:よくある質問の開示
Amazonは、在庫管理や広告についてよくある質問のリストを開示しました。在庫管理については、フルフィルメントセンターでの受け入れに家庭用の必需品、医薬品、その他の必需品などを優先しており、日本でも一部影響が出ています。また、広告は、広告を掲載している商品の在庫が無くなった時点で自動的に一時停止され、広告主側で何か操作する必要はないようです。他に、キーワードの規制についてもまとめています。(以下参照)
スポンサー広告キャンペーンで現在使用しないほうが良いキーワードはありますか?新型コロナウイルス感染症をうけ、現在衛生用マスク、ハンドサニタイザー、医療用手袋や関連キーワードの広告を規制しています。引き続き、出品商品に関連したキーワードを選択してください。
参考:
Twitter:非常時のブランドコミュニケーションのヒント公開
Twitterは、ブランドがコミュニケーションをとる上で気を付けるべきポイントを整理して発表しました。ユーザーとの綿密なコミュニケーションが可能というプラットフォームの特性上、使い方によっては効果的に機能する一方でその危うさもあると提唱しています。昨日と今日で受け取られ方が変わるため、最新動向を追ったうえでメッセージのトーンを調整することを重要視しています。
また、同ページ内「コンテンツのアイデアとソリューション」の項目では、フォロワーからの質問を募り、経営層が応答するなどのコンテンツアイデアが紹介されています。質疑応答しやすいプラットフォームの特性をうまく活かして、自社サービスに対して懸念されていること/期待されていることを把握する施策を試してみるのも良いかもしれません。
参考:
前編では、COVID-19の影響下で各プラットフォームが発表した対策を紹介しました。ここで紹介した情報をもとに、後編ではもう一段深く落とし込んだ具体的な施策を紹介していきます。COVID-19によりユーザー行動の多くがデジタルに集約する中、これまでのビジネス構造からの変革を迫られている企業も多いかと思います。こうした状況において、デジタルマーケティング領域から示唆を得た運用者が率先してビジネスをリードし、このピンチをチャンスに変えていきたいですね。後編も、ぜひお付き合いください。