テレビ画面でのYouTube視聴時間が急増
2020年5月7日、Googleはテレビ画面におけるYouTube視聴インサイトとブランドリフト調査のテレビ画面対応を発表しました。
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5月4日にComscoreが開催したウェビナーで公開されたレポートによれば、2020年3月時点で米国の7240万世帯がストリーミングコンテンツをテレビ画面で視聴しており、2019年4月の6460万世帯と比較して12%増加しています。3月上旬よりテレビ画面でのストリーミングコンテンツ視聴世帯が急増したことが主な要因で、新型コロナウィルス感染症拡大防止を目的とした外出自粛規制が大きく影響していることが推測できます。
YouTubeも例外でなく、外出自粛規制の影響で2020年3月のテレビ画面での視聴時間は前年同月比で80%も増加したとのことです。2019年10月時点で広告付きストリーミングサービスとしてリーチ数と視聴時間がトップで、米国におけるサブスクリプションサービスと広告付きストリーミングサービスの全視聴時間の4分の1を占めていましたが、これを機会にテレビ画面での視聴が浸透することで、その地位をさらに確固たるものにしたのではないでしょうか。
Googleは、YouTube(グローバル)とYouTube TV(米国)においてテレビ画面での視聴時間が大きく増加した一部カテゴリーにおける前年同期比の成長率を以下画像の通り公開しており、長編映画(Feature length movies)やテレビ番組(TV shows)はYouTubeとYouTube TVともに高い成長率となっています。
また、YouTubeでは新しいコンテンツが視聴される傾向が強く、テレビ画面でのサインイン済み視聴者の60%は過去7日以内に公開されたコンテンツを視聴しているとのことです。モバイルと異なりテレビ画面でのYouTube視聴は複数人でされるケースが多く、NielsenがGoogleに委託を受けて実施した調査によれば、全視聴時間の26%で18歳以上の複数の視聴者が一緒にコンテンツを視聴し、リニアTVの22%を若干ではありますが上回っています。
YouTubeのブランドリフト調査がテレビ画面に対応
テレビ画面でのYouTube視聴時間の急増を受けて、Googleはブランドリフト調査の対象デバイスとしてテレビ画面を追加するアップデートを早急に進めているとのことです。YouTubeアプリについては今後数週間以内に、YouTube TVについては2020年第三四半期の早い段階でアップデートを予定しており、以下はYouTubeアプリ上でのブランドリフト調査のアンケート画面サンプル画像となります。
Googleによれば、Google 広告もしくはディスプレイ&ビデオ 360の予約型とオークション型のキャンペーン両方でテレビ画面でのブランドリフト調査は可能で、これによりマーケターはテレビ画面向けキャンペーンが広告想起、ブランド認知度、購入意向といった重要なブランド指標に与える影響を判断し、リアルタイムでの最適化が可能になるとのことです。
存在感を増すYouTubeマストヘッド広告のテレビ画面配信
2019年11月に正式ローンチとなったYouTube マストヘッド広告のテレビ画面配信は、以下画像の通りクリエイティブがテレビ画面上のYouTubeアプリのホーム画面に大きく表示、かつ自動再生されるため、アッパーファネル向けの強力なプロダクトととして注目を集めていました。
今回の発表の中で、GoogleはUberの成功事例を紹介しています。Uberのメディア部門グローバル責任者のTravis Freeman氏によれば、YouTube マストヘッド広告のテレビ画面配信は#MoveWhatMattersイニシアチブの認知獲得において非常に重要な役割を果たしており、容易にメッセージを増幅するだけでなく、テレビ画面での視聴が増えている現在だからこそ、Uberのオーディエンスへのリーチを可能にしたとのことです。
The Masthead on TV screens has been a critical component to build awareness for our #MoveWhatMatters initiative—which offers 10 million free rides and food deliveries for frontline healthcare workers, seniors and people in need. The Masthead, deployed in both the US and Canada, enabled us to easily amplify our message and reach our audiences where they are watching now more than ever.
テレビ画面、すなわちコネクテッドTVが動画視聴のメインデバイスとして急速に浸透していくなか、Googleはグローバルで月間のログインユーザー数が20億を超える巨大動画プラットフォーム YouTubeを着実にコネクテッドTVへ最適化しています。すでにリニアTVのリーチ規模を上回る事例も出ていますが、コネクテッドTVへ進出することにより、YouTubeがアッパーファネル向けキャンペーンの最重要チャネルとなる日もそう遠くはないかもしれません。